セルフレジとは?仕組みやメリット・デメリット、セミセルフレジとの違いなどを解説

2022.04.21

2020.12.04

新型コロナウイルスの蔓延を受けて、店舗の接客において不必要な接触を避ける「非接触」が推奨されるようになった。そのような状況の中で、スーパーやコンビニなどで導入が加速しているのがセルフレジだ。

セルフレジには、スキャンから決済まで全てお客が行うタイプと、スキャンのみ店員が担当するセミセルフレジと二通りに大別される。

本記事では、具体的な導入事例を交えつつ、セルフレジの導入が加速する背景や、導入のメリット・デメリットを解説していく。

セルフレジとは?

スキャンを含めてすべて自分で行う「セルフレジ」

スーパーなどのレジでは最近、買い物客が買った商品の代金を、自動精算機で支払っている光景をよく目にするようになった。「セルフレジ」が、普及しているからだ。

ひと昔前までは、POS(販売時点情報管理)システムつきのレジ(POSレジ)が、スーパーのレジの主流だった。POSシステムは、バーコードの読み取りシステムなどを使って、顧客と金銭のやり取りをした時点での販売情報を把握するITシステム。POSレジは、「キャッシャー」と呼ばれるレジ係が、売価などの商品情報をPOSシステムで読み取って代金を請求し、顧客が支払う仕組みだ。多くの人が、POSレジでの精算を経験しているだろう。

それに対して、セルフレジとは、基本的にキャッシャーがおらず、文字通り顧客が自分で精算を行うレジのことだ。「無人レジ」と言うこともある。

POSレジでは、商品についているバーコードの読み取りや精算、袋詰めといった作業をキャッシャーが行ってくれるが、セルフレジでは、そうした作業を顧客がすべて自分で行う。バーコードシステムのセルフレジなら、顧客が購入する商品を一つずつスキャナーにかざして、バーコードを読み取るわけだ。

ただし、「バーコードのスキャンを忘れた」「バーコードの読み取りがうまくいかない」といったトラブルに備えて、店舗のスタッフが待機しているので、レジ回りが完全に無人になるわけではない。

セルフレジでも、現金だけでなく、キャッシュレス決済などのさまざまな支払い方法に対応できるようになっている。バーコードシステムだけでなく、RFタグ(RFIDの記事参照)を活用したセルフレジも登場している。

スキャン作業は店舗のスタッフが行う「セミセルフレジ」

セルフレジにはもう一つ、「セミセルフレジ」がある。商品をスキャンする作業は店舗のスタッフが行うが、支払いのみを別の自動精算機で顧客自身が行う仕組みだ。セルフレジよりも小売業界で広まっている(セルフレジをセミセルフレジと区別するため、フルセルフレジと呼ぶケースもある)。なぜなら、顧客にとっては、セミセルフレジのほうが、セルフレジよりも受け入れやすいからだ。

セルフレジは、顧客にとってスキャンなどの作業が面倒なうえ、顧客がレジ操作に不慣れなため、さまざまなトラブルが起こりやすい。会計作業が滞って、レジ待ちの時間が長くなり、顧客満足度が下がってしまいがちだ。その点、セミセルフレジなら、顧客は精算だけ自分で行えばいいので負担が軽く、レジ操作上のトラブルも少ない。会計作業もスムーズで、レジ待ちの混雑を緩和できるのだ。

セルフレジは1997年、米国で初めて登場し、2003年に日本にも初めて導入されたと言われる。しかし、セルフレジに慣れていない顧客から不評でなかなか普及せず、代わりにセミセルフレジがお目見えしたという経緯がある。

スーパー等がセルフレジの導入を進めている背景には、小売業界の深刻な人手不足がある。セルフレジによって少しでも生産性を高め、人手不足をカバーしたいのだ。

全国スーパーマーケット協会によれば、SM275社の調査データに基づいた19年の推計値では、SMの11.4%がセルフレジをすでに設置しており、13.9%が「新たに設置したい」、11.6%が「設置台数を増やしたい」と考えているという。

セルフレジの導入メリット・デメリットとは?

セルフレジの導入メリット

スーパー等にとって、セルフレジを導入するメリットとは何か? セルフレジとセミセルフレジについて、分けて考えてみよう。

セルフレジのメリットとしては、一つ目に大幅な人件費の圧縮が考えられる。基本的にレジ係が不要になるからだ。導入直後は、レジの操作方法がわからない買い物客をナビゲートするスタッフも必要だが、導入してしばらく経てば、操作に慣れた買い物客も増えてくるので、スタッフの数を減らすことも可能だ。

また、顧客に対して有料レジ袋を購入するかどうかを確認する作業がなくせることが挙げられる。レジ袋が欲しい顧客は別途、購入すればいいわけだ。

二つ目に考えられるのが会計作業の際、顧客とスタッフの接触機会をなくせること。とりわけ、コロナ禍では注目されるメリットだろう。スタッフの感染リスクが大幅に減らせるだけでなく、顧客にとっても感染リスクが減らせるので、満足度アップが期待できる。

セミセルフレジの導入メリット

セミセルフレジのメリットとしては、一つ目にレジの待ち時間を短縮できることが挙げられる。商品のスキャンは手慣れた店舗のスタッフが行うので、セルフレジのように、会計作業が滞る心配はない一方で、代金の受け渡しの手間が省けるからだ。

商品をスキャンする機械とは別に自動精算機を設置して、空いている自動精算機に買い物客を誘導すれば、精算までの流れもスムーズになる。顧客満足度が高まるうえに、会計作業が効率化されることで、レジのスタッフの削減といったコストダウンも期待できる。

二つ目としては、セルフレジほどではないにせよ、現金のやり取りといった顧客とスタッフの接触機会が減るため、衛生を保ちやすくなる点が挙げられる。新型コロナウイルスなどへの感染リスクも減るだろう。

セルフレジ導入のデメリット

セルフレジには、メリットだけでなく、デメリットもある。

セルフレジのデメリットとしては、レジ操作に慣れていない顧客が多いという前提条件がある場合、一つ目として顧客満足度の低下が大きいだろう。顧客は、会計作業を全部自分で行わなければならないため、手間がかかり、ストレスが増えてしまう。さらに、トラブルが起これば、クレームにつながることもある。会計作業のスピードが下がり、レジの待ち時間が長くなることもある。とりわけ、セルフレジに順応しにくい高齢の顧客が多いスーパー等の場合、客足が遠のくリスクもある。

二つ目としては、臨機応変の対応ができない点。例えば、酒類のように年齢確認が必要な商品は、レジのスタッフがその場でチェックできないセルフレジには、不向きだといえる。

三つ目としては、セキュリティ上のリスクが高まる点。精算を買い物客に任せるため、支払いに漏れや不正がないよう対策を講じる必要がある。

例えば、セルフレジには、センサーが購入前と購入後の総重量を比べて、スキャンされていない商品があれば自動的に感知し、漏れや不正がないかどうかを確認できるシステムもあるという。

また、監視カメラを設置したり、セルフレジに搭載した指紋認証機能で個人を特定したり、カード払いといった個人を特定できる決済方法を指定したりする方法もある。しかし、そうした方法には、監視カメラや指紋認証システムを導入するための新たな費用がかかったり、指定された決済方法を利用していない顧客を逃したりする難点もある。

セミセルフレジの導入デメリット

セミセルフレジには、セルフレジで挙げたようなデメリットはほとんどないが、セルフレジのように、ドラスチックにスタッフを減らし、人件費を圧縮することは望めない。また、高齢者などの場合、機械での精算も自分では難しいケースがあるので、セミセルフレジでも、顧客満足度が下がってしまうことがある。

さらに、セルフレジとセミセルフレジに共通のデメリットがある。それは、セルフレジシステムを導入するには、多額の初期投資と運用コストがかかるという点だ。

人件費が削減できたとしても、セルフレジの導入コストで、“いってこい”になってしまうケースもあるので要注意だ。とりわけ、セミセルフレジの場合、人件費の削減効果があまり見込めない。レジの更新時期などに、コストと利益のバランスをよく考えてから、導入を決めたほうがいいだろう。

スーパー、コンビニにおけるセルフレジ導入事例

ここで、セルフレジ、セミセルフレジを活用しているスーパーマーケットやコンビニの事例を、いくつか見てみよう。

①:西鉄ストア

店舗が駅近の好立地にあるため、顧客のレジ待ち問題に慢性的に悩まされていた。そこで、セミセルフレジを導入したところ、レジ待ちの行列が解消。さらに、レジ台数や人員の最適化にも成功した。

②:せんどう

「茂原緑ヶ丘店」でセミセルフレジを導入したところ、ストレスの大きい顧客との金銭授受業務がないことから、40人のスタッフ募集に対して約150人もの応募があり、人手不足の課題をクリアできた。

③:マミーマート

セミセルフレジを導入したことで、店内労働時間の約3割を占めるレジ業務を効率化。人手不足の解消やレジの待ち時間の短縮、スタッフの負担の軽減といった効果につながった。

④:ローソン

顧客の「人との接触を少しでも減らしたい」という要望を踏まえ、店舗従業員との接触時間を減らせるセルフレジの活用を進めている。店舗のPOSレジは、簡単な操作によってキャッシュレス専用のセルフレジに切り替えることができる。20年2月末には約1800店舗で運用し、4月末には約4500店舗に増やした。

⑤:イオンリテール

お客自身が店頭に設置された専用のスマートフォンで商品のバーコードをスキャン、専用端末機で会計をする仕組み「レジゴー」を展開している。5月15日にオープンしたイオンスタイル有明ガーデン(東京・江東)では、東京都内初展開となるレジゴーを導入。オープン約1カ月後の6月17日の段階で使用率は30%近くにまで高まっている。

2021年4月16日にオープンしたイオンスタイル千葉みなとでは、レジゴー の精算機に非接触パネルを導入し、ニューノーマル に対応した店舗環境を整えている。

⑥:ライフコーポレーション

11月11日大阪市北区にオープンしたライフ中崎町駅前店では、駅前立地ということもあってショートタイムショッピングを意識。レジの面では、セミセルフレジやセルフレジを導入することで買物時間の短縮を狙う。そのうち3台はキャッシュレスのセルフレジとするなど、非接触に関心が高まっている「新しい社会環境」に対応している。

⑦:セブン-イレブン

セブン-イレブン・ジャパンは、2020年9月から商品のスキャン以外の精算部分の操作をお客自身が行うセミセルフタイプの「お会計セルフレジ」を全国の店舗に導入を進めている。

セブン-イレブンがセミセルフレジの導入を進める背景には、お客がレジに並ぶ時間の短縮および、従業員のレジ接客に要する時間の短縮、そして、従業員が現金に接触しないようにすることで新型コロナウイルス対策としての効果を期待している。

⑧:トーエイ

広島県庄原市のスーパーマーケットのトーエイは、2021年5月に、自社店舗で使用している既存セルフレジに広島県の支援を受けて、知能技術製のタッチパネル非接触化センサを導入した。

山間部での医療崩壊やパンデミックの防止のため、不特定多数の人が触るタッチパネルを非接触して、接触感染防止に務める。

上述の通り、イオンリテールが導入を進めるレジゴー の精算機でも非接触タイプのタッチパネルの導入が始まっており、今後も様々な店舗で導入が広まっていくと考えられる。

⑨:マルエツ

食品スーパーマーケットとしては首都圏最大級の店舗数を誇るマルエツは、2020年11月から、カスミ、マックスバリュ関東との連合であるユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)が開発したスマホ決済機能「スキャンアンドゴー・イグニカ」の導入を開始している。

「スキャンアンドゴー」は、専用のアプリでお客自身が商品をスキャンを行い、決済もスマホアプリ上で完結することができる。

最初の導入店舗は、マルエツ プチ新大塚店から始まり、2021年2月27日(土)には、導入店舗を63店舗まで拡大している。

セルフレジの代表的なメーカー

株式会社寺岡精工

寺岡精工は、東京都大田区に本社を置き、POSシステム、電子計量値付システムを製造している。創立1934年と長い歴史をもち、日本初の「商業用バネばかり」や世界初の「デジタル料金はかり」を製造したメーカーとして知られ、2002年には国内で最初にセルフレジの販売を開始している。

そんな寺岡精工が展開しているのが「HappySelf」という、対面セルフレジ、フルセルフレジ、セルフ精算機の3つの機能を搭載した業界初のマルチセルフレジだ。

出所:https://www.teraokaseiko.com/jp/products/PRD00374/

ハード/ソフト共に簡単にカスタマイズできる、よりフレキシブルな新しいPOSレジになっている。

また、お客自身がスマートフォンでバーコードをスキャニングをして決済を行うシステム「Shop&Go」と、その専用精算機で「Web3800S」も展開。

縦型画面(21.5インチ)で操作性を高め、”Shop&Go”で利用するスマホのイメージを精算時でも実感できるようなチェックアウト端末になっている。

出所:https://www.teraokaseiko.com/jp/products/PRD00375/

富士通フロンテック株式会社

富士通グループに属する電子機器の開発・製造メーカー。「TeamStore/M」というPOSレジ筐体や、食品スーパー向けのPOSシステム「TeamStor」などを提供している。

富士通フロンテックは、2013年からセミセルフレジ[TeamPoS/SP]を展開している。

出所:https://www.fujitsu.com/jp/group/
frontech/solutions/industry/retail/pos/teampossp-m50/

また、富士通フロンテックは外食産業向けに、「TeamStore/F SelfOrder」というセルフオーダリングシステムを提供している。お客自身がスマートフォンで店外から商品を事前注文・会計ができる機能や、店内端末にてセルフオーダリングする機能が備わっている。

東芝テック株式会社

東芝テック株式会社は、POSレジのシェアNo1メーカー。

出所:https://www.toshibatec.co.jp/products/wpss900.html

東芝テックは、セルフレジ「WILLPOS-Self(ウィルポス・セルフ) SS-900シリーズ」を展開。独自の画像認識技術を用いた、業界初の「青果が認識可能な新スキャナを搭載」や、同じく業界初の、レジを中断させない、オーバーフロー硬貨自動出金機能を搭載している。

出所:https://www.toshibatec.co.jp/products/semiself_ss900.html

東芝テックはセミセルフレジ「分担制チェックアウトシステムSemiSelf(セミセルフ)」も展開している。サッカー台の下に収納していた制御部と、ディスプレイを一体化し、サッカー台もスッキリさせるなど、チェッカーが快適に利用できるような工夫がなされている。

株式会社ビジコム

ビジコムは、東京都文京区に本社を置くソフトウェアベンダで、POSシステムをメインに展開している。

出所:https://www.busicom.co.jp/product/bcpos/dispenser/

ビジコムが展開するPOSレジ「BCPOS」は、小規模店舗・1店舗からでも導入可能でセミセルフレジ・セルフレジの両方に対応できるのが特徴。店舗の運営方針や状況に併せて、利用することが可能。

セルフレジの将来的な展望

小売店舗でのセルフレジ、とりわけ、顧客にとって受け入れやすいセミセルフレジの導入は、拡大すると見込まれる。コストが高いことは、セルフレジの普及にとって、大きな足かせになるが今後、量産化や技術革新によってコストが下がれば、導入に弾みがつくだろう。

セルフレジは今のところ、さまざまなデメリットがあって普及を妨げているが、技術革新によって顧客の利便性が高まれば、普及が加速する可能性もある。そこで、セルフレジの新しいタイプとして、注目されているのがRFIDを活用したセルフレジだ。

RFIDは、商品に商品名や価格、製造年月日といった電子情報を入力した「RFタグ」をつけ、「リーダライタ」でRFタグの電子情報をやり取りすることで商品情報を管理するシステムだ。

RFIDのセルフレジは、買い物客が商品の入ったカゴを専用の機械に入れると、RFタグのデータを一括で読み取り、精算金額を算出する仕組み。バーコードシステムを使ったセルフレジのように商品を一つずつスキャンする必要がなく、会計作業が格段にスピードアップする。買い物客の負担が極めて少なく、レジの待ち時間も短縮が見込めることから、顧客満足度の向上も期待できる。

少子高齢化が進み、労働人口が減る中、小売業界の人手不足も、簡単には解消できそうもない。小売店舗には、今後もさらなる業務効率化と生産性アップが求められ、その武器の一つとして、セルフレジが活躍する余地は広がっていくと考えられる。

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