いまさら聞けない「RFID」とは? 導入メリットから最新の活用事例まで解説

2020.11.26

更新:2020.11.29

小売・流通業でも普及するRFIDとは?

最近、商品流通の現場で、よく聞くようになったRFID。とはいえ、「何のことだかよく分からない」という人も、多いのではないだろうか?

RFIDは、Radio Frequency Identificationの略称で、食品などの商品に商品名や価格、製造年月日といった電子情報を入力した「RFタグ」を付け、「リーダライタ」でRFタグの電子情報をやり取りする、一種の通信システムのことだ。

RFタグは、メモリが内蔵された大きさ数㎜ほどの記憶媒体。メモリは、電波などによって非接触で電子情報を入力したり、消去したり、書き換えたりすることができるようになっている。リーダライタは、RFタグの方向にかざして、RFタグの電子情報の読み取り(スキャン)を行ったりする機器だ。

リーダライタから発信した電波を、動力源として稼働する電池非内蔵の「パッシブ型」、RFタグから発信される電波を、リーダライタが受信することでメモリの情報を読み取る電池内蔵の「アクティブ型」といったタイプに分かれる。

すでに、鉄道などで使われる交通系ICカードの「Suica」や電子マネーの「楽天Edy」がRFIDを採用するなど、流通業界でも普及しつつある。

ところで、RFIDが普及する前から、商品情報読み取りシステムとして「バーコードシステム」がお馴染みだが、RFIDとどういう違いがあるのだろうか?

バーコードは、「バー」という線やバーとバーの間のスペースの太さ、それらの組み合わせによって、数字や文字といった情報を表す技術。バーコードの情報を「バーコードリーダー」という専用スキャナーで読み取るのが、バーコードシステムだ。スーパーマーケットやコンビニのレジなどで使っている光景を、よく目にするだろう。

データをスキャナーで読み込むのは、RFIDもバーコードシステムも同じだが、バーコードシステムには、RFIDに比べていろいろな難点がある。

バーコードのすぐ近くでスキャンしないとデータを読み込めないし、1回のスキャンで1つのデータしか読み込めない。また、バーコードが汚れていたり、破けていたり、バーコードとスキャナーとの間に障害物があったりすると、データが読み込めないといった問題もある。

RFIDは、データの読み込みだけでなく、書き込みができるものがある。それに比べて、バーコードは、データを読み込むことしかできない。さらに、RFIDは、バーコードシステムに比べて、記憶容量が格段に大きいのも特徴だ。

一方で、商品流通のITシステムでよく使われる「ICタグ」もあるが、RFIDと関係があるのだろうか?

ICタグは、実は、先ほどのRFタグの別称。なので、RFIDには欠かせない電子部品だ。ICチップ(集積回路)と無線通信用のアンテナからできている。小さいものでは1㎜ほどの微小な電子タグなので、たいていの商品に装着できる。カード型やラベル型などさまざまな形状がある。

RFIDの導入メリット・デメリット

●RFIDの導入メリット

RFIDは、既存のバーコードシステムに比べて、商品情報の管理システムとして、いろいろな点でメリットがあるといえるだろう。

メリットの1つ目は、RFタグとリーダライタが離れていても、電子情報をスキャンできること。電波の周波数帯によっては、数十m以上離れていても読み取り可能なシステムもあるという。バーコードシステムのように、RFタグを貼り付けた商品を手元に近づけなくても、読み取り作業ができるので、作業効率が優れているといえる。

2つ目は、複数のRFタグのデータをまとめてスキャンできること。バーコードシステムが、商品を1つ1つスキャンしないといけないのに比べると、作業効率は格段に上がる。

3つ目は、RFタグが容器の中に入っていても、電子情報を読み取れること。例えば、段ボールの中に、RFタグがついている商品が詰め込まれていた場合でも、段ボールを開けずに、RFタグの情報をスキャンできる。段ボールから商品を1つ1つ取り出して、スキャンしなければならないバーコードシステムに比べれば、作業効率がはるかに高いことは明らかだ。

4つ目は、RFタグが汚れていても、電子情報の読み取りができること。リーダライタは、RFタグ内部のメモリからデータを読み取れるからだ。そこが、バーコードが汚れたりすると、データが読み取れなくなってしまうバーコートシステムとは違う点だ。

流通業界や物流業界では、人手不足や人件費の高騰に悩んでいるが、RFIDは、店舗や物流センターの作業効率を高めて、生産性をアップさせ、そうした悩みの解消に役立つだろう。商品管理がしやすくなるため、受発注作業の精度も上がり、在庫や食品ロスなどの削減効果も期待できる。

例えば、商品の棚卸し作業でRFIDを活用すれば、箱の中にある商品のデータも、リーダライタで外側から確認できるため、作業にかかる人手や時間を大幅に圧縮できる。在庫の中から、消費期限が迫った商品をピックアップし、売価変更で売り切るといった作業にも使える。万引き防止に使えるともいわれている。

●RFIDの導入デメリット

しかし、RFIDはいいことづくめではなく、デメリットもある。

デメリットの1つ目は、コストが高いこと。一般にRFタグの価格は現在、10円以上するといわれている。そのため、衣料品や服飾雑貨など高単価の商品ならともかく、日用の食料品や住居用品といった単価が安い商品の場合、コストが吸収しにくいので、活用が難しい。

2つ目は、金属の影響によって、電子情報が読み取りにくくなること。例えば、商品をアルミ箔で包むと、リーダライタから発信された電波や、商品に貼り付けたRFタグから発信された電波が、アルミ箔で遮断されてしまうことがある。

3つ目は、プライバシーを侵害するおそれがあること。数十m以上離れてもRFタグのデータを読み取れるケースもあるので、商品を買った顧客の行動も追跡できる。個人情報の保護がRFIDには必要と訴える消費者団体もある。

そうしたデメリットが解消されないと、RFIDは普及しにくいだろう。とりわけ、単価の安い商品を多く取り扱っている小売業にとっては、コストの高さが導入の足かせになると考えられる。

RFIDの最新の活用事例

実際に、小売業界は、RFIDをどのように活用しているのか、最近の事例を見てみることにしよう。

●活用事例①ラピーヌ

婦人服を中心としたアパレルメーカーのラピーヌは、RFIDを活用した商品管理システムを導入したところ、店舗での棚卸し作業が従来の5分の1の時間で済むようになり、従業員の労力も軽減された。また、商品の品質保持にも役立っている。財布などの小物のタグを確認する際、従業員が誤って爪で傷つけたり、指紋をつけたりして商品価値を下げてしまうことがあったが、RFIDを導入してからはなくなった。

●活用事例②ポプラ

コンビニのポプラは、RFIDの活用で食品ロスを削減する経済産業省の実証実験に参加。2020年12月、都内の2店舗で実施する。消費期限の短い弁当やおにぎりが対象で、入荷検品時にRFIDを貼り付け、RFIDのデータを読み込める陳列棚を使って商品情報を管理。販売期限の近づいた商品を別の棚に移動させて、スマートフォンのアプリで消費者に知らせ、値引き販売する。ロス率や労力の低下につながるかを検証する。

●活用事例③ファミリーマート

コンビニ大手のファミリーマートはポプラと同じく、RFIDの活用で食品ロスを削減する経済産業省の実証実験に参加。2020年11月、都内の2店舗で実施した。販売期限の近づいた商品の情報をスマートフォンや商品棚のサイネージで告知し、対象商品を購入するとポイントがもらえる仕組みとした。

●活用事例④髙島屋

百貨店大手の髙島屋は2018年9月、日本橋店のリニューアルオープンに合わせて、RFIDを活用した新しい在庫管理システムを導入。婦人靴売場では、販売員がRFタグをスマートフォンで読み取ると、関東5店舗の在庫状況がその場で分かり、顧客を待たせなくて済む。また、希望の商品がなくても、類似商品を検索できるという。

RFIDの普及は今後も進む

1つ1つの商品の価格や製造年月日といったデータを瞬時にして、まとめて把握できるRFIDは、商品流通を大きく変えると注目されている。RFIDの導入が進めば、小売業界や物流業界の業務効率が大幅に改善され、生産性アップにつながると期待される。

例えば、RFIDによって、生産から販売まで一貫したトレーサビリティが実現できる。食料品の異物混入やパッケージの破損といったトラブルが発生した場合、流通経路のうち、メーカー、卸、運送業、小売店のどの段階で起こったのか、原因は何かといったことが究明しやすくなり、再発防止にも役立つと考えられる。

また、RFIDは、小売業のビジネスモデルの変革を促すかもしれない。一例として考えられるのが、完全セルフレジの普及だ。

現在、小売業界では、生産性の向上のため、セルフレジの導入が進められているが、バーコードシステムによるデータの読み取りはレジ担当者が行い、精算だけを顧客が自分で行うという「セミセルフレジ」が多い。というのも、買上点数が多い場合、スキャンの作業を不慣れな顧客自身にやってもらうと、精算までに時間がかかってしまう。顧客にもストレスを与え、満足度が下がってしまうからだ。

その点、RFIDを導入すれば、レジでのデータ読み取りは、かごごと一括、一瞬で済むことになる。それなら、完全無人レジに転換しても、顧客は手間がかからず、満足度はアップすると考えられる。もちろん有人レジで導入しても、精算がスムーズになり、レジ担当者の生産性や顧客の満足度がアップすることは間違いないだろう。

そうした状況を考えれば、RFタグのコストダウンといった課題はあるにせよ、小売業界や物流業界でのRFIDの普及は、今後も進んでいくと予想される。

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