カクヤスが、データとデジタル技術の利活用で現場課題の解決を目指し、「デジタルイノベーションセンター」を新設
2024.10.01
首都圏を中心に酒類などの販売、デリバリーを手掛けるカクヤスは、飲食店向け、および家庭向け販売サービスの向上、社内業務の効率化を目的として10月1日から同社内のDX(デジタルトランスフォーメーション)化をサポートする「デジタルイノベーションセンター」を新設した。
同センターは、社内のデータ利活用を推進し、需要予測による在庫管理や配送業務の最適化を図るもので、これによって配送員の負担の軽減が見込める他、より柔軟で迅速なサービス提供が可能になることで、お客の多様化するニーズにより適切に応えることが可能となるとしている。
背景には、特にコロナ禍での巣ごもり需要をきっかけに同社の家庭用販売の売上げは大きく増加し、コロナ禍が明けた現在でもその拡大が継続していることがある。
配送件数が増加する中で、200以上点在する倉庫や店舗の配送拠点から、最適なルートで効率的に商品を届けることが大きな課題となっていたという。これまで拠点ごとに最適化していた配送方法を、今後は配送網全体で考えるように変更し、より多くの配送先に、少しでも早く商品を届ける体制を築くことを目指す。
今回のセンターの設立を通じ、点在していたデータを一元管理し、データに基づいた意思決定を実施。また、デジタル技術の積極的な活用により、現場業務の効率化と商品配送の最適化を実現し、さらなるサービス品質向上と拡大を目指すとしている。
センターは「DX推進グループ」と「データ分析推進グループ」の2つのグループで構成され、配達、販売情報の分析から、施策の検証、実行までを一気通貫で行う。
現場経験を経た担当者が「DX推進グループ」として所属し、店舗、物流、営業など各現場の課題を整理し解決策を導き出す。例えばこれまで手作業だった空瓶回収の仕分け作業を画像認識によって効率化するなど、「現場担当者だったからこそ分かる」課題をデータ分析推進グループと共に解決することを目指す。
また、7人のデータアナリストとグループリーダーで構成する「データ分析推進グループ」が、販売、受発注などのデータに加え、これまで各配送拠点で収集してきたデータを一元的に分析し、インサイトを導き出す。例えば販売や注文といった内部データと天候やイベントなどの外部要因を複合的に分析して、地域ごとのトレンド情報を詳細に導き出すことで、各倉庫の在庫最適化や店舗での欠品の最小化を目指す。
今回のデジタルイノベーションセンターを管掌する飯沼勇生・取締役は次のようにコメントしている。
「通常のEコマース事業では、1つの配送拠点から多くのお客さまへ配送する1対Nの配送を実施しています。一方当社では、複数の拠点から複数のお客さまへ商品をお届けするN 対Nの配送を実施しているため、単純なルート最適化では課題解決ができず、配送拠点やお客様のロケーション、拠点ごとの在庫、配送キャパシティ、配送時間など複数の要素を考慮して、最適な配送ルートを導き出す必要があります。この極めて複雑なロジックを構築しシステムとして実装するためには、データ検証やデジタル技術の活用はもちろん、それを実現するための組織が必要となります。今回の当センター設立によって、当社独自のビジネスモデルをさらに強化してまいります。当社は今後も当センターを中心にDX化を推進し、お客さまへより良いサービスを提供できるよう努めてまいります」