三井倉庫ロジスティクスがブロックチェーン活用の物流管理システムを稼働、ドライバー待機時間1日平均45分削減

2024.08.07

LOZIと、ZEROBILLBANKJAPAN(以下ZBB)および東芝デジタルソリューションズ(以下東芝)は、ブロックチェーン技術を活用した物流管理システムを構築し、三井倉庫ロジスティクス(以下MSL)が物流運営を支援する家電量販大手の上新電機(以下上新電機)向けの店舗配送業務において段階的に本システムが導入され、全国にある上新電機の大多数の店舗で本格稼働を開始した。

導入した店舗向けの配送では、ドライバー1人あたりの待機時間について1日平均45分の削減効果を確認できているという。※1

本システムは、LOZIおよびZBBが共同で開発した物流DX支援パッケージ「TraceLedger」を中核に、東芝のブロックチェーン基盤「DNCWAREBlockchain+」を連携して構築した。

今後も導入を拡大し、ペーパーレス化によるドライバーの負担軽減や、ブロックチェーンを活用することによる情報管理の透明性の確保、さらにはサプライチェーン全体の最適化につなげていく。

◾️本システム導入の背景

図1.本システム導入で目指す姿

上新電機における店舗配送業務では、帳票や伝票などの紙書類が大量に使用されていた。紙を使ったやり取りには、事務処理の煩雑化や情報漏洩のリスク、環境負荷の課題に加え、納品書などの帳票印刷や受け渡しのため、ドライバーの拘束時間も長くなっていた。

そのため上新電機では、物流の「2024年問題」に向けて、帳票のデジタル化を推進しペーパーレス化を進めることで、ドライバーの拘束時間を削減することが急務となっていた。

◾️本システムの概要

図2.本システムの構成

本システムは、ZBBとLOZIが共同開発した物流DX支援パッケージである「TraceLedger」を中核に、東芝が提供するブロックチェーン基盤「DNCWAREBlockchain+」を連携し構築することで、ペーパーレス化による業務の効率化だけでなく、サプライチェーンにおけるデータの透明性の確保を実現した。

「TraceLedger」は、LOZIのSmartBarcode技術を活用することで、出荷から販売店舗での検品まで、物流に関わるサプライチェーン関係者がスマートフォンなどの携帯端末でQRコード※2を読み取り、拠点や役務に応じたトレースデータを記録、蓄積、共有することが可能だ。

入力されたデータは、ZBBのブロックチェーン基盤管理プラットフォームを経由して、「DNCWAREBlockchain+」に保存される。「DNCWAREBlockchain+」は、東芝の実績あるクラスタ技術(複数のコンピューターを連携させてひとつのシステムとして動作させる技術)をベースに開発した高信頼なブロックチェーン基盤だ。「DNCWAREBlockchain+」を採用することで、改ざんなどの不正防止を実現した。

◾️期待される効果

①ペーパーレス化によるドライバー拘束時間の削減と環境負荷の低減
帳票や伝票など配送にかかる紙の帳票のデジタル化により、現場とのシームレスなやり取りや事務処理の効率化を実現する。また、システム上で連携し配送情報を事前に共有することで、ドライバーが施設に到着後すぐに検品、積込み作業を開始できるようになり、ドライバーの拘束時間を削減し、直面する物流の「2024年問題」にも対応する。また、紙の削減によりCO2削減効果も見込まれ環境負荷低減にも貢献する。

②物流情報の透明性向上
商品の出荷から納入までの取引履歴をブロックチェーン上に記録することで、リアルタイムでの追跡・管理情報が共有されながら、不正行為の抑止にも貢献する。物流情報の透明性を大幅に向上させることで、安心できる企業間の情報管理が可能になる。

③サプライチェーン全体の最適化
トレーサビリティの可視化や事業者間での情報共有が迅速化されることで、貨物の追跡や異常時のタイムリーな対応が可能となる。物流業務の効率化を加速することで、サプライチェーン全体の最適化を目指す。

※1:上新電機の配送業務に携わる運送会社(内7社)の車両を対象に、各社ごとに紙の廃止前と廃止後の作業時間の差分を集計し算出。

※2:QRコードの商標はデンソーウェーブの登録商標だ。

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