サミットストアエミテラス所沢店がオープン、所沢市初出店、駅近大型商業施設内出店で、多様な来店客からの支持目指す

2024.09.25

2024.09.24

サミットは、埼玉県所沢市に2024年9月24日、サミットストアエミテラス所沢店をグランドオープンした。20日からのソフトオープンを経てのグランドオープン。サミットとしては埼玉県では12店体制だが、所沢市には初出店となる。

西武池袋線、西武新宿線所沢駅から徒歩約4分、西武鉄道所沢車両工場跡地エリアに開発された広域集客型商業施設「エミテラス所沢」の1階部分への出店。

エミテラス所沢は、西武リアルティソリューションズと住友商事が共同で商業開発を行う「所沢駅西口開発計画」の一環で、商業フロア4層、店舗面積約4万3000㎡に及ぶスペースに142店のテナントが集積するエンクローズドモールのリージョナルショッピングセンター。

サミットは同じく住友商事グループのドラッグストアのトモズの他、約1000席のフードコートを含む「食」を集めた1階の核店の位置づけといえる。

天井を貼っていないため、空間の広がりを感じる。ゴンドラごとに吊るしている売場案内には段ボールを使用するなど、環境問題への配慮も感じる

食物販という意味では、サミットの隣に魚の北辰(鮮魚)や千駄木腰塚Dish up!(精肉)、KITANO ACE(加工食品)が出店するなど専門店との競合もある。

ただし、所沢駅には西武池袋線、西武新宿線の急行、快速電車が停車し、都心へのアクセスが良いこともあって周辺の人口、世帯数は共に増加しているエリアとなっている他、施設全体で1700台分の駐車場があることから広域からの来店が期待される。

サミットとしては、「われわれの出店エリアからは少し飛び地になるが、大きな商業施設に出店できるのは非常に大きなチャンスだと思って出店を決めた」(服部哲也社長)経緯がある。

鉄道駅の近く、あるいは大型商業施に出店した既存店もあるが、今回は1日の乗降客数が直近で約10万人の所沢という幹線駅に近く、さらに商業施設としても大型という条件がそろっているため、客層はサミットの中でもかなり広くなるとみている。「本当にいろんなお客さまが、いろんな来店目的、来店動機で来られる施設の中に入ったお店ということになると思う。エミテラスの他のお店を目的に来られた方がついでに寄ったら、なかなか良い店ということで、次はサミットを目指して行こうというお客さまが増えると良いなと思う」(服部社長)

通常は2km圏といった範囲を商圏とするサミットだが、今回は商業施設を目指して来店する10~15km圏というレベルでの商売を想定することになる。

所沢駅周辺には20代~30代の単身世帯が多い一方で、近年は若いファミリーを中心に世帯数、人口共に大きく伸びているという。周辺には大型マンション開発が進み、若年層の流入などもあって、1.5km圏内はこの5年間、世帯数、人口共に大きく伸びている。

一方で、1980年代の住宅開発などもあって高齢者も多いという。スーパーマーケットのサミットとしてはメインの来店手段は徒歩、自転車が多いと見込まれるが、1世帯当たりの自動車保有台数は東京都平均を大きく上回るということからも、特に週末などは広域からの集客が期待できる。

幹線駅の駅前ということで競合店も多く、最寄りの所沢駅周辺には、駅反対側の東側に今年4月にライフコーポレーションが大型店をオープンした他、同じ駅西側には駅側に西武所沢S.C.の地下食品売場、さらに北にはオーケー、ヤオコーやマルエツ、所沢駅併設の施設として西友所沢駅前店、駅中のザ・ガーデン自由が丘グランエミオ所沢店があるなど、競合も多い。

その点、駅からはペデストリアンデッキで直結していることから駅利用者の利用も見込めるなど立地面、さらに車でのアクセス面を含めた商業集積による施設の集客力も高いことからサミットとしては競合の中では優位性が発揮できると考えている。

新商勢圏で磨き込んできたオリジナル商品、サービスを総動員

前述のようにサミットとしては所沢エリアへの初の出店で、認知度は高くないと見る。実際、オープンに当たって募集したパートタイマーにもサミットを知らない人が多かったという。サミットは目指す店づくりの方向性を「生きる糧を分かち合うお店」としているが、今回の店については状況がこれまでと若干異なるという。

「『生きる糧と分かち合う』という、まさにお客さまの気持ちに寄り添って お客さまと共に、そしてお客さまからもフィードバックを得ながら、社員も楽しく働くという店づくりが、このような多種多様なお客さまが来られる店でも果たして効果を発揮できるのか、ということの試金石になってくるのかなと思う」(服部社長)

当然、サミットを知らなかったパートタイマーには、サミットの店作りである「生きる糧を分かち合う」ことについて、まずは理解してもらうことが重要になる。

売場面積は514坪の規模で、初年度年商33億9000万円を目指す。日商では930万円となる。同社が得意とする「即食商品」「簡便商品」や今年3月から発売を開始したプライベートブランド商品の位置づけである「サミットオリジナル」シリーズ、「案内係」「おためし下さい」などこれまで既存店で磨き込んできた特徴的なサービスをそろえ、地域のお客にからの支持を得られるスーパーマーケットを目指すとしている。

お客に寄り添う店作りをする中で、磨き込んできたサービス機能、売場をしっかり踏襲している

売上高構成比計画、アイテム数、ケース本数

部門売上高構成比
(計画、%)
アイテム数オープンケース6尺換算
オープンケース
(冷蔵、冷凍、平台、多段合計)
ゴンドラ
(3尺換算)
青果14.048029.20.0
鮮魚8.036018.70.0
精肉12.058019.10.0
総菜12.529027.00.0
加工22.54,95112.7182.6
菓子5.51,2990.059.0
デイリー18.92,26850.39.0
家庭用品2.11,6550.044.0
ベーカリー4.5742.216.0
合計100.011,957159.2310.6
売場レイアウト

青果売場では、「フレッシュサラダ&カットフルーツ」コーナーにて、インストア製造のサラダやカットフルーツ、そのフルーツを使ったデザートを販売。

今年2月に開店したららテラスHARUMI FLAG店でも好評だった肉、豆などの具材を載せた「サラダボウル」など生鮮総菜も導入、充実させ、即食、簡便のニーズに応える。

青果の総菜として焼き芋や鉄板焼き、チップスなども品揃え。一部は総菜部門のバックヤードで調理している

「農家さんから直送コーナー」には、7人の地場野菜生産者が午前と午後に野菜を納品。その他、ドライフルーツ、ナッツのバイキング、オーガニック野菜、南国フルーツなど特徴ある商品を品揃えし、訴求する。

ドレッシング類は、冷蔵、常温の両温度帯の商品を青果売場で展開する

鮮魚売場では、調理加工を受け付ける「おさかなキッチンコーナー」で旬の生鮮魚を販売する他、「調理の手間を省きたい」「すぐに食べたい」というニーズに応えるため、それらを使った刺身や焼き魚の生鮮総菜も販売する。その他、グリドルを使って焼き上げた鉄板焼きや、店内で製造する燻製商品、海鮮つまみなども品揃えする。

刺身コーナーでは「本まぐろづくしお刺身盛合せ」を定番で販売し、週末には内容量の多い8点盛り、12点盛りなども取り揃える。

干物などは冷凍を主体に販売。「骨取り」の商品も差し込む

精肉売場では、専用のオーブンや鉄板を使用し、店内で調理する生鮮総菜の「グリルキッチン」商品を販売。帰宅時間帯に合わせ、18時以降も陳列量を充実させる。

ローストビーフなど精肉の冷総菜はグリルキッチンと隣接して配置

鶏肉コーナーでは、トレーパックの商品の他、容器がかさばらず冷凍保存もしやすいノントレー商品も品揃え。使い勝手の良い牛肉や豚肉のこま切れ、豚ひき肉などは大容量商品もまとめて販売する。

精肉売場の壁面では牛肉を「メニュー」別にコーナー作り。サミットオリジナルのたれを隣接して販売
精肉は豚鶏ではプロセスセンターを活用。売場ではスライス商品の厚さを案内している

総菜売場では、商業施設内でランチ需要が見込めることから、精肉売場の人気商品「炭火焼ローストビーフ」を使用した「プチローストビーフ丼」や、店内で手揚げしている「えび天」「野菜天」などを盛り込んだ「天丼」を展開。

ローストビーフ丼など冷総菜の商品は電子レンジ加熱のパスタと併せてコーナー化

週末には、ファミリー層に向けたセット商品(おかず、つまみ)や、上質な「にぎり寿司」などを提供する。

また、青果、鮮魚、精肉売場の生鮮素材を店内で盛りつけたレンジアップ商品(蒸し野菜セット、麺類、スープ、味付け肉、肉巻き、肉詰めなど)などは総菜売場でまとめて販売する。

店内加工のセット物は「サミットオリジナル」のロゴを打ち出す
肉、魚の味付け商品も、レンジ調理の簡便商品については総菜売場で展開

インストアベーカリー「ダン・ブラウン」では、各種パンやバーガー、専用窯で焼き上げたナポリピッツァを販売する他、冷蔵ケースでは、精肉売場のローストビーフや合いガモスモークを使用したサンドイッチなど、店内で手作りした商品を提供。

サンドイッチは店内調理で提供することを強みとして打ち出す。青果の素材を用いていることをアピール

週末には、ファミリー層に人気のドーナツを10アイテムそろえ、ミニパンなどの大容量商品も売り込む。

高まる健康志向を捉え、米粉を使用したパン、添加物を極力抑えた食パンなども取りそろえる。

グロサリー売場では、特徴ある商品として「サミットオリジナル」や「素材をそのまま」シリーズなど、オリジナル商品を充実。オリジナル商品は、各部門で開発を進めていて、今期中には100SKUを超える見込み。

オリジナルの冷凍食品も増えている。集合させず、それぞれの品種の売場に置くことで比較購買を促す
冷凍のピザも開発。ピザ売場に置く

商圏内にファミリー層が多いことから、菓子売場では駄菓子や知育菓子を充実させ、国産原料、調味料無添加にこだわった「ノースカラーズ」も品揃えする。

冷凍食品売場には、下処理の手間を省いた冷凍野菜も充実させた。

冷凍食品売場は売場奥、総菜売場と隣接した形で壁面を含め、コーナー化。

また、若年層に人気の「韓国」にちなんだインスタント麺、飲料、菓子、酒も強化。酒売場の近くでは、店内でカットしたナチュラルチーズや店内で製造するスモークフィッシュなど、つまみに最適な商品も販売する。

酒売場はゴンドラの内側に配置せず、総菜売場に面する形で配置。視認性を高めることで目的買い以外での買い上げも促す
「韓国」を打ち出した商品はグロサリー、菓子、酒、冷凍食品などでも強化しているが、日配でも「中華・韓国総菜」としてコーナー化している

高いレベル年商を想定しているが、競合店との差別化を図りながら、商業施設の集客力も生かし、地域の支持を確実にしていきたいところだ。

サミットストアエミテラス所沢店

所在地/埼玉県所沢市東住吉101

オープン日/2024年9月24日(グランドオープン)

営業時間/9時~23時

駐車台数/1700台(施設共用)

駐輪台数/1700台(施設共用)

建物構造/地上4階建て

売場面積/1700㎡(514坪)

バックヤード面積/1149㎡(347坪)

レジ台数/24台(セルフ精算レジ4台、セルフレジ20台)

年商目標/33.9億円

店長/木村典史

従業員数/103.4人(正社員30.5人、パートタイム・アルバイト社員72.9人、パートタイム・アルバイト社員は173時間/月=1人で計算)

商圏内世帯数(人口)/1次商圏(半径0.5km以内)4999世帯(9149人)、2次商圏(半径1.0km以内)2万139世帯(3万8510人)、3次商圏(半径1.5km以内)3万5783世帯(7万587人)

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