カインズつくば店が4月23日にグランドオープン、オリジナル商品、カフェ機能で差別化すると共に店内テナント導入で商品構成強化

2025.04.28

カインズは4月23日、茨城県つくば市につくば店をグランドオープンした。18日のソフトオープンを経てのグランドオープン。つくばエクスプレスのつくば駅から直線で1km強と近く、つくば市の中心部に位置している。

さまざまな世代、ライフスタイルをターゲットとするネイバーフッドショッピングセンター(NSC)の「フォルテつくば」内への出店。SCの開発主体であるスーパーマーケットのベルクと共に核店の位置づけとなる。

ベルクは4月9日に先行オープンし、続いて衣料専門店の「パシオス」、ドラッグストアの「クリエイトエス・ディー」が16日にオープン。

売場はカインズとしては標準的な3150坪。ただし、カインズとしては昨今、店内にテナントを誘致しているため、その分、直営の売場自体は通常よりはコンパクトになっている。テナントはマタニティ・ベビー・子ども用品の西松屋、靴・スニーカーのSHOE PLAZA(シュープラザ)、眼鏡のJINSの3店が入り、商品構成を補っている。カインズとしてはテナント収入も大きいだろう。

また、SC内にドラッグストアがあるため直営の医薬品売場は設けていない。

入口から入って右手の壁面にはテナントが配置されている。カインズ店内のテナント群は正面右手奥から西松屋、SHOE PLAZA、眼鏡のJINSと並ぶ形
西松屋は正面右手の奥に出店。子育て世代の集客を増やすことが期待される
売場レイアウト図

SC内にベルクがあるが、オリジナル商品の飲料、加工食品を中心に強みを打ち出せる商品として取り扱っている。

酎ハイなどのレディトゥドリンクのオリジナル商品を手頃な価格で販売。ばら売り、ケース売りとあるが、すぐ飲む需要というよりはストック需要狙いで、販売のコスト面もあって常温での販売
食品の中でも特に酒は品揃えも厚い。ウイスキーではオリジナル商品の「早稲田の杜」も展開。名前はカインズの本社がある埼玉県本庄市の町名にちなむ
野菜と果物のミックスジュースなどもオリジナルで開発。ナショナルブランドのトマトジュースと並べて販売しているが、比較購買というよりは商品構成を補うといった位置付け

一方で、累計販売数2800万個を突破したマフィンを核商品とするグループ企業運営のカフェ「CAFE BRICCO(カフェブリッコ)」も設置、他社のホームセンターとの差別化要素として訴求する。カフェブリッコは、室内で育てやすい植物や関連用品をラインアップする屋内観葉の売場と連動させた「CAFE & GARDEN」のコンセプトで設置している。

カフェブリッコではマフィンの他、コーヒー、注文後に茶筅でお茶を点てて作るオリジナル抹茶、ほうじ茶ドリンクなどを提供。イートインコーナーを設け、季節感あふれる緑に囲まれた環境でくつろぎながら楽しめるようになっている。

店内で焼き上げる「しっとりふわふわ」食感のマフィンが売りの「カフェブリッコ」
緑に囲まれた「くらし」を体感できるカフェ&ガーデン。カフェブリッコとグリーンを融合させる売場は、これまでもずっと継続してきた

ホームセンターの機能としては、同店を通じて、毎日の家事が「ラクに楽しくなる」カインズオリジナル商品の「楽カジ」シリーズをはじめ、物価高騰が続く中で値下げなども行いながら価格の強みを打ち出す日用品やペット用品などによってお客の支持拡大を目指したいとしている。

フライパンなどベーシックな商品は機能別に開発を進めてきているが、売場でも特徴がすぐ分かるような表示や並べ方を実践。取っ手を付け替えられる仕様のセットなどはエンド横で売り込む
今年3月に発売した最大で4足の靴を干せる「吊るしても立たせても干せるシューズハンガー」。税込み498円。回転させて開く形。縦に連結もできるなど利便性を高めている。こうしたオリジナリティの高い開発商品がカインズの強みだ

価格面ではグランドオープンの23日からはゴールデンウィークに向けた施策として「衝撃価格祭」を5月6日まで実施。ティッシュペーパー、トイレットロール、洗剤、生理用品、寝具、インテリア、レジャー、自転車、家電、園芸、ペット用品などカインズのオリジナル商品121点を含む621点を期間限定で値下げするといった施策を打っている。

「都市部への出店ということで、いまカインズがご提案している『楽カジ』などカインズブランドを中心に情報発信基地になる位置付けの店。競合店と差別化できる点は、つくば駅からの距離の近さと、近隣商圏で開発が進み人口が増加している点、さらにそこに対してモール内で買物を完結できるように利便性を高めた点だ」(橘 誠也店長)

カインズとしての商圏はホームセンターらしくやや広域の10~15km圏、つくば市全域、約26万人をターゲットとする。つくば市は縦長で、中心部から東西に各6~7km、南北に各15kmほどに広がる。SCの集客力と併せて集客を図りたいところだ。

ワッフルのような格子状にすることで、新素材と併せ、非常にやわらかい感覚を実現した「Moffle(モッフル)」など、他社にはない商品をアピール
寝具は体験型のスペースも含めかなり強化している。需要が顕在化してきた抱き枕は売場での存在感も大きい
消耗品などの新商品、お薦め商品をエンドで訴求するようにしてきている

カインズの強みであり、需要も高まっているペットコーナーでは、フードやウェア、ペットシーツなどの消耗品をはじめ、必需品を豊富に取りそろえる。サービス面では、トリミングやペットホテルを導入。テナントが正面右手に入っているため、ペットが正面に位置づけられていることも特徴として打ち出す。

ペットの健康にも寄り添うこだわりのフードもオリジナル商品含め、増えてきている

幅広いライフスタイルを提案するリフォームセンターでは、実際の使用シーンをイメージした展示を取り入れることで、工事後をイメージしながら商品や工事内容を検討できる。専門知識を持つ従業員が相談に乗るなど、より快適な生活空間の実現に向けての提案、サポートを強化。

リフォーム売場は体験スペースも多く設けた。大きな出費になるからこそ、体験しておきたいこともあるだろう

他、つくば店の強化分野に自転車がある。つくば店がある茨城県つくば市は、「自転車のまちづくり」を積極的に推進しているということで、「フォルテつくば」周辺には、住宅地や教育機関も多く、自転車利用が盛んなエリアでシェアサイクルなどもある。

カインズとしても同店は自転車の需要が高いと判断、使用目的や頻度、運転時間や走行距離など、さまざまな視点でお客の「サイクルライフ」に合わせたサポート、提案ができるように、自転車本体や付属品、ヘルメットなどのアイテムまで幅広くラインアップした。

自転車は強化した。幅広いラインアップで多様なサイクルライフをサポートするサイクルコーナー
建築資材なども取り扱うが、どちらかというと、プロが現場で足りなくなった際に買い足しに来る需要を見込んでいる。そのため営業時間も9時オープンとなっていて、早朝営業はしない

また、オムニチャネル対応では、「カインズアプリ」をさまざま機能を持つスーパーアプリ化することでネットでの買物だけでないさまざまなサービスを提供できるようになっている。

チラシやキャンペーンの告知やポイントプログラムといった販促施策の他、来店前の在庫確認、商品の取り置き、取り寄せ、オンラインショップ、商品マップ、さらに2024年11月20日からはお客自らが商品をスキャンしながら買物するカインズ初のスマホ決済サービス「CAINZ Pay」を始め、さまざまな電子決済にも対応。デジタルのサービスも続々提供することで、お客の利便性向上に努めている。

オンラインショップではオンラインで注文、店舗で受け取りも可能。売場内には「PickUpロッカー」や「商品受け渡しカウンター」も設置。ネットを活用した上で、配送、店頭での受け渡しなどあらゆるパータンにも対応している。

カインズつくば店概要

所在地/茨城県つくば市小野崎278-1

グランドオープン日/2025年4月23日

営業時間/9時~20時

売場面積/1万414㎡(3150坪)

駐車台数/600台

店長/橘 誠也

従業員数/正社員11人、専任社員5人、パート社員24人、アルバイト94人(計134人)

お役立ち資料データ

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