コープみらいがコープかすかべ東店を6月10日オープン、春日部市公募型を受けた官民連携施設内のSM店でドミナント強化
2025.06.10
1都7県の生協が連携するコープデリ生活協同組合連合会(コープデリ連合会)の一角を占めるコープみらいが6月10日、埼玉県春日部市にコープかすかべ東店をオープンした。東武鉄道の春日部駅東口から徒歩約7分の場所に立地。
旧春日部市商工振興センターの跡地活用事業として、地域のにぎわい創出と市街地の活性化を図ることを目的に整備された3階建ての複合施設「コープかすかべテラス」の開業に伴い、1階に売場面積約460坪のスーパーマーケット(SM)タイプの店としてオープンしたものだ。
同施設については春日部市が公募型プロポーザルを実施し、コープみらいの提案が選定を受ける形で開発、今回のオープンに至った。建物内には、春日部労働総合庁舎として2階に春日部労働基準監督署が6月2日に移転、開庁した他、3階にハローワーク春日部が6月9日に同様に移転、開庁している。
他、医療機関、調剤薬局、貸し会議室などレンタルオフィス、飲食店などのテナントが出店する「官民連携の施設となっている」(本間伸裕・コープデリ生活協同組合連合会常務執行役員(店舗事業本部長)。

今回のオープンでコープみらいの店数は、埼玉県39店(SM24店、ミニコープ15店)、東京都68店(SM38店、ミニコープ30店)、千葉県18店(SM10店、ミニコープ8店)の合計で125店(SM72店、ミニコープ53店)となった。
駅近ということもあって、半径1km圏に3万4588人、1万5359世帯とそれなりの商圏のボリュームを持つが、西側約350mにある春日部駅など鉄道の存在によって南側とは商圏が分断されがちだという。
春日部駅西口側、方角としてはほぼ真南1km強の場所にはコープみらいのコープ春日部店が約600坪、年間供給高(生協では売上高を供給高とする)を29億円という旗艦店クラスの業容で営業しているが、分断要素があることからこれまで取り切れていなかったともいえる東口側から北方面に広がる商圏を今回のかすかべ東店でしっかりとつかみたいところだ。駅の出口でいうと東口と西口で商圏が分かれる形となり影響は少ないとみる。
今回の出店に当たって組合員の加入を募ったが、春日部店と商圏が重なることから800件を予定していたところ、オープン前日までに1675件あるなど想定の2倍以上あった。「大きくは商圏は重ならない可能性がある」(本間本部長)
コープみらいとしても、「春日部市は宅配、店舗共に重点的に組合員さんのご利用を推進していきたい」(本間本部長)ということで、商圏シェア、ドミナントの観点からも押さえたかった物件といえるだろう。一次商圏は40代が非常に多く、また単身世帯が多い特徴があるという。
コープかすかべ東店は、コープデリ連合会の店舗事業の事業目標「おいしさと安心を、うれしい価格で。」の実現に向けた店づくりを目指すとする。ストアコンセプトは「美味しいものが買えるお店、美味しさの訳が伝わるお店」「安心が見える、伝わるお店」「品質と価格で地域一番のお店」「コープのお店に来れば、きっと何かがあると思える『楽しいお店』」。
農産では、産直商品を中心としたラインアップを充実させる他、季節に応じた重点商品の展開で鮮度を重視した売場を目指す。また、少量から大容量まで、幅広い客層に対応した量目での展開を心がける。地場野菜コーナーではコープ春日部店と同様、JA南彩の商品を展開する。

水産では、丸物を対面販売的に打ち出す他、マグロや刺身などもしっかりコーナー化。


さらに旬の魚や市場からの直送品を活用した「魚屋の惣菜」を展開し、惣菜部門との差別化を図りながら水産部門ならではのメニューを取り入れた売場とする。

「魚屋の寿司」として水産部門が手がける寿司も展開する。水産の寿司は供給高構成比で1%~1.5%、水産部門の惣菜と合わせて3%~3.5%程度の存在感あるカテゴリーになってきている。特に水産の惣菜は既存店でも改装時などに導入し、利用も多いという。一方で、畜産の惣菜は現在は展開していないが、今後については検討中。

畜産では既存店での検証を基に売場、品揃えをアップデートした。暮らしに即したメニュー提案や関連販売を強化し、利用しやすい売場づくり、品揃えに挑戦したという。特にシニア世代に向けては日常使いに適した品目、SKUの展開を重視した。また、オープン日などは和牛を含む牛肉も打ち出すが、東日本ではメインとなる豚をしっかり展開。「国産産直お米育ち豚」を売り込む。

商圏内に単身者が多く、また施設内に行政関係者が滞在するため、昼食、あるいは帰宅時の持ち帰りの需要が高いと考えていることから惣菜、インストアベーカリーは特に重点部門としている。利用者のニーズに対応し、平日と週末、あるいは午前と午後といったくくりで「時間帯別品揃え」を実践。
メインターゲット層であるアクティブシニア層、子育てファミリー層に合わせた商品配置と品揃えを心がけ、「選びやすく」「買いやすい」売場の実現を目指す。インストア製造のサラダをはじめ、手作りのおにぎり、おはぎ、魚惣菜、鉄板を使って調理した卵焼きなどを展開する。
惣菜の供給高構成比は通常9.5%程度のところ、今夏季は10%超えを見込む。




ベーカリーは、こだわり商品と主力商品を軸に売場を展開。単身、子育て世代向けのSKUや時間帯別の売場を構築する。店内手作りのスイーツ、カスクートサンド、卵サラダを使った「サンドイッチ」、夕方以降の「ピッツァ」など品揃えの深さと専門性を高めた商品展開を目指す。
特にベーカリーとしてスイーツ、デザートも強化。生菓子が原料高の中、マーケット全体で値上がり傾向にあることを受け、ベーカリーとして強化カテゴリーに設定。コープ牛乳を使用していることをアピールしながらオリジナリティも訴求する。

加えて今回、ベーカリーではパンでも新商品を投入。「田舎のホテルブレッド」は、北海道産小麦を100%使用した上で、全粒粉を20%配合した商品で、従来の「ホテルブレッド」と併売する。背景には、「健康志向」トレンド、あるいは食料自給率の観点も踏まえた国産を使った商品に対する組合員からの要望があるという。従来の商品と比べやや小ぶりで、フルサイズとハーフサイズを販売。

また、サンドイッチでは、カスクートサンドを3種類開発。「昼食需要に向けて、常温で販売できるサンドイッチを何とか開発したかった」(本間本部長)

日配は、主要カテゴリーを中心にベーシックな品揃えと立地特徴を考慮した商品を展開すると共にコープ商品の品揃えを強化し、「コープファン」の拡大を図る。冷凍食品はコープみらいとして最大のパターンとした。
冷凍食品のSKU数は既存店では600~700SKUといったところだが、今回は885SKUと大幅に増加。水産、畜産で展開している冷凍の商材を合わせるとその数は1000SKUに上るという。同供給高構成比は4~5.5%程度を想定するなど、需要の高まりに応える売場づくりを心がけた。

銘店、外食の商品、ワンプレートおかず、乳幼児用の冷凍食品の「きらきらステップ」などを展開する他、宅配でも好調なオリジナルの冷凍ミールキットを大々的に展開する。また、米が値上がりしていることから、冷凍食品でもチャーハン、ピラフなどの米飯も強化した。





グロサリーもコープ商品を中心とした品揃えで独自性を打ち出すと共に、アレルゲンフリーやベビー関連商品を集約した売場の設置、シニア層向けに簡便、健康食品売場などの充実を図る。
また、今回、特徴的な売場として「防災関連商品」コーナーを設置した。今回のような官民連携のプロジェクトを進めたりする中で、春日部市と防災について話す機会も増えているという。


関連で、施設としては災害時用の「かまどベンチ」「マンホールトイレ」を設置した。コープかすかべテラスの地域交流広場に、平常時はベンチとして使用しつつ、災害時に炊き出し用のかまどとして使える「かまどベンチ」を1基(かまどは2口)設置。燃料などは敷地内の防災倉庫に保管し、通常時は倉庫に鍵をかけているが、非常時に開放して使用できるようにする。
また、災害時に下水管路にあるマンホールの上に簡易のトイレ設備を設けて使用する「マンホールトイレ」を1基設置するなど、施設全体としても防災関連を強化した。

コープかすかべ東店概要
所在地/埼玉県春日部市粕壁東1-20-30
オープン日/6月10日
営業時間/9時~22時
駐車場/3階48台、屋上99台(うち91台は春日部労働総合庁舎優先)
駐輪場/175台
敷地面積/1288坪(4259.79㎡)
延べ床面積/3135坪(10364.92㎡)
直営売場面積/458坪(1517.00㎡)
年商計画/14億円(日商386万円)
店長/横川嘉信
従業員数/正規14人、パート・アルバイト107人(計画)
商圏人口/3万4588人1万5359世帯(0~1km商圏)、内訳500m商圏7149人3289世帯、500m~1km商圏2万7439人1万2070世帯