ヤオコー岩槻本丸店がオープン、さいたま市岩槻区中心部から南、東武野田線南側のエリアを深耕する大型店

2025.10.30

ヤオコーは10月29日、埼玉県さいたま市岩槻区に岩槻本丸店をオープンした。今回の出店で店数は埼玉県106店、千葉県34店、群馬県17店、東京都15店、神奈川県14店、茨城県7店、栃木県6店で全社では199店体制となった。

東武野田線(アーバンパークライン)の岩槻駅から約1.4km、東岩槻駅から約1.3kmと両駅のおよそ中間に位置し、県道2号(埼玉春日部線)に面していることから徒歩、自転車だけでなく車でのアクセスも良い立地となっている。

岩槻本丸店は岩槻駅の東口側に立地する一方、西口側には岩槻本丸店から約1.5kmの距離に既存店の岩槻西町店があるが、東西に走る東武野田線で商圏が分かれることから東口側のシェアが低かった。そのため、岩槻本丸店は主に東口側の岩槻区中心部から南東にかけてのシェア向上を目指すことでドミナントの強化を図る。

周辺は戸建てや中層集合住宅が広がるエリアで、1km圏内では70歳以上が26.2%と高く、次いで50歳代が15%、40歳代が13.9%と続く。一方で3km圏内に広げると40歳代の割合が50歳代、60歳代より高く、商圏が広がるごとにヤングファミリー層の構成比が高くなっている。

1km圏内は人口密度も高めで、世帯の平均人数は2.08人で周辺より高め。人口も微増ながら増加傾向にある。単身世帯、2人世帯がボリュームゾーンだが、4人世帯以上のファミリー層も多く、その傾向は商圏が広がるごとに強くなる。そのため、足元の70歳以上のシニア対応をしつつ、ヤングファミリーに支持される店づくりをしていくという。

また、商圏内は共働き世帯が多く、そのためか1km圏内の世帯収入は岩槻区平均よりやや高い他、高所得者の割合も高い。自家用車保有台数が1.11台で埼玉県平均より高く、平日、週末問わず自動車での移動や買物が中心となっている層が多いとみられる。

ヤオコーとしては、メインの顧客像として40歳~59歳のヤングミドル層に設定。4人暮らし、子どもが小・中学生中心でまだまだお金もかかる他、子ども中心の行動になっている、また、夫婦共働きが多く、買物時間、調理時間が限定されるため簡単に済ませたいニーズや、食品以外の支出も多いことからできるだけ節約したいというニーズを持っている、また、食べ方や調理の仕方が分からないものが多く、メニューが偏りがちで、外食、中食の利用が多いといったことを想定している。

サブの顧客像としては、65歳~75歳のシニア層の2人暮らしを設定。料理に対する知識は豊富な半面、食事は簡単に済ませたい、健康に対する意識も高く、食事にも気を付けているといったニーズを想定している。

同業のスーパーマーケットであるマミーマートの撤退跡地に建て替えの形で出店。ヤオコーを核店とする2層のエンクローズドモール型ネイバーフッドショッピングセンターを形成しており、テナントとしてヤオコーと同じ1階にはATM、証明写真機、クリーニングが出店する他、2階にはドラッグストアのスギ薬局、100円均一店のセリア、衣料品のパシオスの物販の他、歯科クリニックが出店。デベロッパーもヤオコーが担い、テナントは11月5日以降、順次オープンしていく。

同業の跡地に建て替え出店。ショッピングセンターのテナントはそのまま引き継いだ

売場面積は約762坪と同社の中では大型店となる。初年度年商も25億円を見込むなど、ショッピングセンターによる集客効果も相まって、比較的広域を対象にした売上げの大きな店になることが想定される。

ヤオコー岩槻本丸店のストアコンセプトは「すべてのお客さまに【美味しさ】で感動を~ヤングファミリー層獲得に向けて各部の専門性を高めヤオコーのファンを増やそう!~」ということで、「すべてのお客さま」という部分にはヤオコーが目指す「商圏内全住民カスタマー化」、つまり「可能な限り、シェア100%を目指す」という考えが表れていると同時に、特にヤングファミリー層の獲得に重点が置かれていることが分かる。

売場レイアウト図
デリカと青果を第1主通路に配置するパターンを採用

マーチャンダイジング面では随所で専門性を高め、競合と差別化しつつ商圏の広がりを持たせることで、特にヤングファミリー層の獲得を目指す。精肉では、特にヤングファミリーに向けて、「焼肉するならヤオコー」と支持される売場を目指し、黒毛和牛など、平日のおかずからハレの日の本格焼肉までさまざまなニーズに対応。厚切りステーキも強化し、小量目対応で小型の商品も展開する。夕市では切りたて、出来たて訴求を実施する。

壁面の角で展開する焼肉商品
オープン日は黒毛和牛のステーキを平ケースで売り込んだ

即食、簡便ニーズに応えるミートデリカでは冷蔵ローストビーフなどの他、別途作業場を設け、スチームコンベクションオーブンによる温惣菜も展開する。同様に簡便ニーズに向けて「幸の旨」シリーズの味付け肉や、季節商品として自社の肉、野菜を誓った鍋セットなども展開。

精肉としてスチームコンベクションオーブンを導入し、温惣菜を展開。ローストビーフなど冷惣菜の脇に平台を設置して販売
味付け肉では「幸ノ旨」シリーズとして「豚みそ」を展開(右から2番目の商品)
精肉のセット商品。もつ鍋、しゃぶしゃぶ、すき焼きなどを展開
「牛すき焼き鍋セット」、本体価格2980円
ラム肉をコーナー化。競合店にもあるマミーマートの生鮮市場TOP!はラムを強化しているが、それに対応したものといえる。こうした専門性を高めた売場づくりで来店を促す
保存性の高い冷凍肉は平台で展開

鮮魚は、豊洲市場を活用し、生マグロと旬の近海魚を強化。鮮魚アドバイザーによる対面販売でニーズに合わせた商品の提案に努める。夕市では旬の魚の姿づくりや盛り合わせ、洋風メニューとしてボイルエビジュレなども提案。

鮮魚の丸物の売場では、鮮魚アドバイザーなどによる提案力を高めた販売を実践
強化カテゴリーの生マグロはオープン日には大とろ、中とろ、赤身の3点盛りなどが並んだ
漬け魚では山賊焼きのたれで味付けした「まぐろハラモ切身(山賊)」(右端)など新商品を投入

青果は、ここ最近の新店同様、トマトを強化。「木熟トマトシリーズ」や地産トマトの品揃えを充実させ、地域一番のトマト売場を目指す。

トマトはヤオコーが強化するカテゴリーの1つ。売り込み商品の「伊豆の国ミニトマト」は、生産者がパック詰めするなど、収穫から店までの時間を短縮した鮮度重視の商品
カットフルーツは手の込んだものはベーカリーのスイーツの平ケースで展開するが、カットパイナップルは青果の平台に陳列している
「地元野菜」コーナーでは13軒の商品を販売。近隣の同社店舗と提携している農家もある

デリカの惣菜は、ランチニーズに応える品揃えを強化する他、ランチタイムで米飯中心に出来たての商品を提供。随所で新商品も投入した。インストア冷惣菜、夕市での出来たて商品の対面販売などを通じて、「ヤオコーでしか味わえない美味しさ」を訴求する。

ランチニーズに対応する際の主力商品となる米飯は、新商品も投入しながらしっかりと展開
おはぎでは、一部店舗でずんだの原料をリニューアル、香りや色味を向上させた
惣菜のバックヤードでは久喜吉羽店(埼玉県久喜市)でも導入したローラーコンベアを設置。仕掛かり商品などをこちらで移動させることで作業中の人の移動を減らす。作業効率を高めるための施策だが、実際に効果が出ているという

寿司も、ランチタイムにおむすび、ちらし寿司を豊富に品揃えするなど、惣菜と連動してランチニーズに応える一方で、午後はにぎり寿司を中心に展開しながら売場の変化で出来たての鮮度感も演出していく。

デリカと生鮮が一体となったレイアウトのため、惣菜の寿司と鮮魚の売場を隣接させたスムーズな流れを作ることができる

ベーカリーは、国産小麦を使用し、店内手伸ばしで製造したピザを豊富に品揃えする他、ランチタイムにはインストア加工のサンドイッチやバーガーを展開。ピザも強化する。また、スイーツは旬の素材を使用しながら季節感を打ち出す。

インストアベーカリー。菓子パンの存在感が減少し、惣菜パンが増えている。自社ベーカリー商品の「チーズSIX(6種チーズ)」を使用したサンドイッチなども開発
惣菜の鉄板で焼いた卵焼きを使った「厚焼き玉子かつサンド」は、同社の看板商品となりつつある
ベーカリーでは、惣菜系の商品を積極的に開発。ケバブサンドなど、エスニック屋台風の商品として「ローストチキンサンド」を新商品として投入
「旨辛ポークドック」は、惣菜の「香ばしにんにくの柔らか豚重」に使っている具を使用するなど、部門を越えた商品の水平展開が進む
ベーカリーの弁当発想の商品として「パン屋のおべんとう」を展開しているが、今回はピザの商品を投入

グロッサリーの日配ではヤング層の支持の高い韓国の食品ということで「キムチ」を豊富に品揃えすることで地域一番のキムチ売場を目指す。生鮮部門と連動したメニュー提案も実施する。

日配ではヤング層を意識してキムチの品揃えを強化した。漬物類については、「手軽に野菜を摂取する」という提案で売り込む

また、子育て世代で支持の高い冷凍食品の冷凍フルーツを充実させた他、同社で始めとなる駅弁を展開。また、スイーツではスポンジケーキ、ヤオコー限定商品として「贅沢クリームどら焼き」などをコーナー化しながら強化し、「選べる楽しさのある売場」の実現を目指した。

デリカと青果を第1主通路に配置しているため、売場の最後は広大な冷凍食品売場
ヤオコーとしては初めて「冷凍駅弁」を販売
ヤオコー限定商品として「贅沢クリームどら焼き」などスイーツを強化

ドライ食品は、健康ニーズを意識し、レギュラーコーヒーを豊富に品揃え。カフェインレスのコーヒーも2尺で品揃えするなど、幅を広げた展開で専門性を打ち出す。さらに豆菓子やチョコレートとのペアリング提案も実施する。

コーヒーでも専門性を高め、カフェインレスの商品もコーナー展開。デスティネーション売場として集客を促す

酒は洋酒を強化し、さまざまな飲み方提案、ナッツなどつまみ提案する他、高単価のウイスキーなども品揃えし、こちらも専門性を高めた。洋酒はライト層向けの手ごろな価格の商品から、1万5000円クラスのウイスキーなど高級品までそろえるなど、こちらも専門性を強化。

洋酒を強化した上で、高単価の商品も展開。高額品は鍵付きの柵を設けて販売している
カクテルなど飲み方の提案なども売場で細かく実施
飲料などはケース売りも多用している。同店にはネットスーパー用の部屋も設置されていて、今後、ネットスーパーが始まる見込み。重量の大きな商品のまとめ買いが多いネットスーパーのためにも、こうした飲料のケースの在庫は重要になる

住居用品では、ペット飼育率が高い地域ニーズに対応し、ペットフードの品揃えを強化している。

競合店としては1km圏内に北西のベルク岩槻宮町店、南東にマミーマートの生鮮市場TOP府内店の2店を抱える他、2km圏内ではマルエツやベルクスなど12店となっている。

初年度の売上高構成比は生鮮が35%、グロッサリーが47%、デリカが18%の計画。SKU数は生鮮1080、グロッサリー1万7410、デリカが360、計1万8850。レジは通常態勢では、セミセルフ4レーン、精算機8台、フルセルフ14台での運営となる。

ヤオコー岩槻本丸店概要

所在地/埼玉県さいたま市岩槻区本丸3-20-45

オープン日/2025年10月29日

営業時間/9時~21時30分

駐車台数/263台(店頭駐車場46台、北西駐車場118台、北東駐車場99台)

駐輪場/179台(バイク6台)

敷地面積/1万8618.70㎡(5632.16坪)

延べ床面積/7830.49㎡(2368.72坪)

店舗面積/2518.75㎡(761.92坪、ヤオコー売場面積)

店長/嶋崎裕規

従業員/正社員19人、パートナー・ヘルパー・アルバイト138人(延べ人数)

年間売上げ/初年度25億円(予定)

商圏人口/1km圏内1万9000人(9000世帯)、2km圏内6万9000人(3万4000世帯)、3km圏内10万8000人(5万2000世帯)

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