うなぎ商戦「土用二の丑」本当に直前の対策はこれだ!

2024.07.29

今年の「土用の丑」が終わった。まだ詳細は明らかになっていないが、中国産、国産共に相場高の中で思いの外、健闘した企業が多かったようだ。昨年が7月30日で日曜日であったのに対し、今年は24日水曜日、大きく前年割れする予測もあったが、あくまで聞き取りベースではあるが、半分程度の企業、店で土用の丑対比で前年実績を確保できたようである。

年々、中国産の比率が高まりつつある傾向にあるが企業によってばらつきがあり、むしろ好調であった企業に国産うなぎを大きく伸ばした傾向がみられる。

その上で、今年の「二の丑」となる8月5日(月)の強化ポイントを次のように提案したい。

①二の丑は、8月3日(土)~5日(月)の3日間で集中販売

今年の二の丑は8月5日(月)。前週末8月3日(土)から二の丑当日の5日(月)の3日間に集中し、販売強化する。

②中国産比率高まる

二の丑となれば土用の丑と比べて催事的な意味合いも薄まり、買いやすい中国産の比率が高まるものと予測される。

③二の丑こそ、付加価値商品にチャレンジ

二の丑と土用の丑では繁忙度合いがかなり違う。土用の丑にしたくてもできなかったさまざまな仕掛け(加工度アップ、付加価値化)にチャレンジしてはどうか。

仕掛け例① SKU拡大(スライス・カットうなぎ)

特大、大サイズを中心にスライス訴求してはどうか。例えば1匹1480円売価の商品のハーフ分スライスを798円で販売すれば、値頃が追求できて値入率も確保できる。今年の土用の丑についても昨年に続き、うなぎを「1人1匹」ではなく、「特大サイズ1匹を家族でシェアする」購買パターンが増えた。

具体的にはハーフカット、3分の1カット、スライスうなぎなどの動きが良かった。二の丑もスライス、ハーフカット、3分の1カット規格を増やす。

仕掛け例② 付加価値化(うな重、うな丼、ひつまぶし、う巻き、うなちらし寿司)

今年の土用の丑においても、うな丼、うな重、うなぎ寿司、う巻き、ひつまぶしセットなどの展開が増え、しかも動きも良かった。土用の丑よりも作業的に余裕があれば、こうした付加価値商品の比率を増やしてみてはどうか。

④盆商戦に向けたメガパックの拡販

1週間後には盆商戦の帰省がスタートする。真空包装メガパック訴求など盆商戦需要を見越した商品企画や売り込みを強化してはどうか。例えば中国産1匹1480円、2匹2800円、3匹3980円、4匹5000円などでメガパック(買い得)訴求をしてはどうか。賞味期限が長く、ちょっと小腹が空いたときや帰省客へのおもてなしと、何かと便利な真空うなぎ(あるいは冷凍販売うなぎ)の便利性を訴求し、販売を強化する。

⑤真空包装商品や冷凍販売商品の活用でロス率削減

今年の土用の丑で目立ったのは、真空包装商品や冷凍販売商品を増やしてロス削減を果たした企業が多かったこと。具体的には、焼き上げ商品(店で焼き上げ、あるいは温め販売)のD+0、通常の解凍販売商品(冷蔵ケースでの販売)のD+4、真空包装商品(あるいは冷凍ケースでの販売商品)のD+28とある中で、それぞれの商品のメリットを訴求しながら売場展開し、陳列量をコントロールすることで、ロス率の最小化を図ることができたようだ。

お客としても、D+0商品やD+4商品を買うよりも、D+28商品を買って、好きなときに使える便利性に

魅力を感じた人も多かったのではないか。盆商戦を前にしてまさに最適な売り込み方法だと考える。

今後のうなぎ展開を読む

最後に今後のうなぎに関する展開を予測したい。

まずは相場状況。昨年は、土用の丑の販売不調を受け、国産うなぎは原料が値下がりした。製品価格も5%ほど下がった。今年については、今期、シラス漁が不漁傾向。養殖コスト増なども折り込み、新仔の価格は5%ほど上昇する見込み。

中国産うなぎについてはジャポニカ種はシラス不漁を受け、今後においてもオールサイズ価格が上昇し、今後の搬入は少なくなる見込み。ジャポニカ種とロストラータ種との価格差が広がる見込みだ。ドル円の為替が150円台と高値が続くようなら引き続き、値頃に入りにくい状況続くと思われる。

もう1つは、うなぎコーナーの通年展開が増えると思われる。今年も秋物商材(生サンマ、生秋サケ、生スルメイカなど)の不漁、不順が予測される。しかも、9月も気温が高く、真夏日が多くなることが予測され、うなぎかば焼きなど夏商材の出番はまだまだ続くものと思われる。真空包装うなぎが定着することで賞味期限も長く、ロスの心配が減ったことから、うなぎ売場のコーナー化を通年とする企業、店が増えそうだ。

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