ファミマがカウンターコーヒーのスペシャルティコーヒーラインをリニューアル、生産国エチオピア支援も実施

2024.10.15

ファミリーマートは「FAMIMA CAFE」のカウンターコーヒーのスペシャルティコーヒーラインを10月22日、リニューアル発売する。

同社では2020年2月からカウンターコーヒーをWorld Brewers Cup2016優勝の実績を持つバリスタの粕谷 哲氏と共同開発しているが、特に2022年11月に発売されたスペシャルティコーヒーラインの「モカブレンド」はSサイズで本体価格130円(税込み140円)、Mサイズで同195円(同210円)という「コンビニ価格」とも相まってコーヒー好きからの支持も高くなっている。

同社としては、今回、発売から約2年となるタイミングでのリニューアルによって、「華やかな香り」が16%アップしたとしている。焙煎を以前よりも高温、短時間にすることで豆に水分が染み込みやすくなり、香りもより引き出すことができるという。

バリスタの粕谷 哲氏
店舗でのコーヒーマシンは商品ごと、粕谷氏が定めた抽出方法になるようにプログラムされている。SCAJ2024では粕谷自らがマシンについて説明する場面も

ファミリーマートでは、22年からアジア最大のスペシャルティコーヒーのイベントである「SCAJ」(主催/一般社団法人日本スペシャルティコーヒー協会、Specialty Coffee Association of Japan)に出展を開始し、今年10月9日から東京ビッグサイトで開催されたSCAJ2024で3年連続の出展となったが、同会場ではモカブレンドの新旧の飲み比べも実施され、大勢のコーヒー関係者がその違いを実感していた。

今回はスペシャルティコーヒーラインのリニューアルだが、通常ラインの「アイスコーヒー」「ブレンド濃厚」「ブレンド」については今年6月25日に先立ってリニューアル済み。こちらも2年ぶりのリニューアルとなった。豆の選定、配合、焙煎方法を見直し、コーヒー本来の甘味、香り、こく、苦味、酸味を感じつつ、それぞれの調和が取れた仕上がりを目指したとしている。

同社としては、これら一連のカウンターコーヒーのリニューアルによって販売量を110%に伸ばす計画だ。

また、今年10月1日からは同じく粕谷氏と共同開発したプライベートブランド「ファミマル」のチルドカップコーヒーシリーズのリニューアルも実施している。

ファミリーマートとして産地支援

「モカブレンド」にはエチオピアのイルガチェフェ産のモカ豆を使用。最高等級豆100%使用した上で、イルガチェフェ産のモカ豆を60%配合していることが特徴となっている。

ファミリーマートとしては、気候変動によって2050年にアラビカ種のコーヒー豆の栽培適地が現在の50%にまで減少するとされる「コーヒーの2050年問題」といった問題を抱えるエチオピアに対し、持続可能なコーヒー豆の生産を実現するために生産者への教育支援などに取り組む。

今年4月初旬~6月初旬には、親会社の伊藤忠商事と共に、エチオピアの子どもたちの教育環境改善のため、「モカブレンド」「アイスモカブレンド」の購入1杯につき1円の寄付を実施。寄付金はトイレの設置、教科書などの贈呈に使用されている。

昨年からファミリーマートの社員が自らエチオピアを訪問し、現地との対話も重ねているが、そうした中で、学校の代表者、子どもたちとの対話からトイレが足りないこと、特に女性用トイレが足りないため学校に行きたくない女生徒がいるなどの課題が浮かび上がり、支援内容を決定したという。

そうした取り組みについては、SCAJ2024において駐日エチオピア大使のダバ・デベレ・フンデ氏と共に記者説明会を開催して情報発信に努めてもいる。

記者説明会の様子

ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)など情報発信の多様化もあって、昨今では消費においても、サプライチェーン上におけるエシカル(倫理的)な観点に注目が集まるようになり、小売業者としても調達においてエシカルな観点にこれまで以上に配慮しなければならない状況にあるといえる。同様の観点で、商品に関する「ストーリー」が重視される傾向にもあるように思える。

特に食品については、産地での安定供給があってこその商品開発、販売、そして消費となる。ファミリーマートの産地との取り組みは、こうした現代のサプライチェーンで重視すべき点、そして商品のトレンドを象徴しているといえる。

年間計約4180t発生するとされる店舗でのコーヒー抽出後の豆かすを活用した脱臭ポットの設置も進める。コーヒーの豆かすを脱臭ポットに充てんし、脱臭剤として1個につき約360g使用、2日おきに交換した場合、年間約1038tが再利用される

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