シルバーウィーク期間、イオンリテールの首都圏店舗が38都道府県の商品を販売する「小売業の社会的機能」的な意義
2022.04.12
2020.09.20
イオンリテールは9月18日(金曜日)から22日までの5日間、主にシルバーウィークの期間をターゲットに、北は北海道から南は沖縄県まで、38都道府県の約200品目の産品を南関東カンパニーの管轄する東京都、神奈川県、千葉県、山梨県の総合スーパー(GMS)「イオン」「イオンスタイル」77店で展開する。「おうちで旅気分」との統一POPを用いて各店でコーナー展開、合計販売点数は28万点に及ぶ見通し。
通常、シルバーウィークをはじめ連休の前は、帰省などの手土産として銘菓などの需要が高まるため、特に首都圏の店舗では、東京都や神奈川県産などの商品を中心に品揃えしている。
また、例年であれば、「シルバーウィークは、ゴールデンウィークに匹敵するぐらい旅行に出かけたり、帰省したりすることから、南関東エリアでは冷蔵庫を空っぽにして外に出かけて行かれる」(室井英男・南関東カンパニー商品統括部長)。
そのため、どちらかというとこの期間は売上げが減り、期間が終了すると一気に冷蔵庫を補充するためにケ型の商品が売れるという特徴的な傾向を示す。
しかし、今年の場合、新型コロナウイルスの影響で外出や移動を自粛する動きがあるため、お客が自宅にとどまる傾向が強くなるとみられる。
実際、今年はゴールデンウィークや盆の期間も通常のケ型の商品が売れ続け、逆に明けた後にそれらの売上げが大きく高まるという傾向はみられなかったという。
そこでイオンリテールとして自宅などで連休を過ごすお客に向けて、観光地などで土産として買われる銘菓や駅弁、漬物などを取引先の協力を得ながら調達し、販売することとした。1カ月ほど前から準備を進めてきたという。
今回は第一弾として、全国各地の銘菓、駅弁、酎ハイ、漬物などを中心に、北海道、九州など首都圏から遠方に位置する産品を特に拡充(駅弁は19日~22日の展開)。「食」を通じた「旅気分」を提供してきたいとしている。
「お客さまが、家にいても旅行に行った気分になっていただきたいとの思いから、イオンリテール南関東カンパニーとしては初めて、北海道から沖縄までの商品を一堂に取りそろえて、いままでにない規模で展開を計画した」(室井部長)
今回の催事に向けて取引先に製造を依頼した商品も
お客に対して、「旅気分」を提供する今回の企画だが、一方で、商品を供給する取引先にとっても、観光客が激減する中で販路、さらに売上げを確保する意味でこうした企画の持つ意味は大きい。
銘菓の取引先の中には製造数量を調整せざるを得ない企業もある中、今回の催事の実施店舗数が77店と多数に上ることから、イオンリテールとして一部取引先には製造を依頼し、工場を稼働してもらった企業もあるという。
イオンリテールとしては、地域のお客に商品を提供することを通じて貢献すると共に、取引先からの調達を通じて各地域の経済活性化の一助になることも目指しているという。
もともと小売業は、物理的に離れた場所を含むあらゆるところから商品を調達し、提供するという社会的機能を果たしている。そのために連綿と築いてきたノウハウと共に、商流、物流な度に加え、「店」という決定的なインフラをすでに持っている。
今回の新型コロナウイルスによる自粛の動きによって、特に観光地や外食業などは大きな打撃を受けた。離れたところから商品を調達し、販売するという小売業本来の活動によってお客、取引先双方に貢献する今回のような枠組みは、実に小売業らしい、意義深い取り組みといえる。
帰省や旅行の季節に限らず、イオンリテール以外にも多くの小売業が自身の持つインフラを生かした形で、打撃を受けた産地とお客を結ぶ取り組みを積極的に行っている。小売業は変化対応業であるとよく言われるが、新型コロナウイルスによって、社会が大きく変化する中、まさに「小売業として強みを生かした」対応であるといえるのではないか。
展開商品の一例(取扱商品は店によって異なる)
北海道/六花亭マルセイバターサンド、山徳いかめし、石狩鮨(さけ・かに)
東北/萩の月、くるみゆべし、網焼き牛タン弁当、純米大吟醸「あさ開」
関東/桔梗信玄餅、常陸牛と山の恵み弁当、たいめいけんヒレかつサンド
中部・近畿/大須ういろ(愛知)、五平餅(岐阜)、ますのすし一重、ひっぱりだこ飯
中国・四国/もみじ饅頭、母恵夢本舗ベビー母恵夢、夫婦あなごめし、じゃこ天巾着
九州・沖縄/山口油屋福太郎めんべい、明太子高菜、佐賀牛焼肉弁当、久米島の久米仙30