オーケー二宮涼太郎社長が語る「関西の営業状況」「売上げを伸ばすための方策」「出店を含む成長戦略」
2025.06.10
オーケーが埼玉県川口市4店目となる川口栄町店を川口駅東口から徒歩3分ほどの場所に5月27日、オープンした。駅近店として川口駅の西側に川口店がある。「高品質・Everyday Low Price(エブリデーロープライス)」を基本方針としながら低価格を武器に競争力を発揮しているオーケー。標準化されたフォーマットではなく、さまざまな大きさの店舗を手がけることができる柔軟性も併せ持ち、建築コストが高騰する中にあっても年間2桁出店を続け、既存店の確実な成長と併せ高い成長力を誇っている。昨年11月26日には関西1号店の高井田店(大阪府東大阪市)、今年1月23日に2号店の西宮北口店(兵庫県西宮市)をオープンさせるなど関西での多店化も始まった。川口栄町店のオープンに際し、二宮涼太郎社長に近況を聞いた。

目次
川口栄町店の位置づけ
「今回は、オーナーさんの建物の建て替えに際しての出店となります。川口は(東京に近く)利便性が高い地域です。西口側にももともと川口店がありますが、(ハウスカードの)オーケークラブ会員カードのデータを見る限り、(南北に走る)線路の分断要素が大きいことが分かりました。そのため、東側からの集客は期待できます。
売場面積は約450坪(1496.34㎡、452.64坪)。オーケーが得意とする大きさですが、駅に近い立地でこの規模の売場面積を取れることに魅力を感じました。今回の川口栄町店は人通りも多い場所なので、やはり客数が多い店になりそうです。駐車場も屋上と提携駐車場で57台用意できました」
2025年3月期決算の状況
「増収増益でしっかり着地できました。経常利益も伸ばすことができました。経常利益率は前年に比べ若干下がりましたが、増益は確保しています。既存店の売上もしっかり伸ばしましたが、販管費においては電気代や人件費のアップの影響はありました。客数も、大きく伸ばした前年ほどではないですが、増加しています」
関西の営業状況
「現状出店している2店、高井田店、西宮北口店は着実に売上げも伸ばしていますし、この売上水準からスタートできたら良いという手応えはあります。
関東だと開店直後に大きな集客があり、いったん落ち着いてから、徐々に上がるという軌跡をたどりますが、関西でも同じような形にできているので、今後の新店の見通しも含めて順調に進んでいると考えています。関西では、特に(出店の)際に大きく話題に取り上げていただいたので開店時の売上げが良く、その後どう推移するか心配もしましたが、その後も客数を伸ばしています。
また、オーケーの存在を事前にネットなどでご覧いただいていたこともあってか、オーケーオリジナル品の動きが予想以上に良かったです。普通であれば、初めてのスーパーではNB(ナショナルブランド)を買って、オリジナル品はまずは様子見かと思っていましたが、始めからオリジナル品の動きが良いと感じています。
まだ、2店のみですが、客単価は関東とは変わりません。大型店と小型店の違いとして高井田と西宮北口の違いはありますが、傾向は同じです」
値上げ、原材料や経費の高騰といったインフレ傾向の影響
「当然、ここ2、3年の物価高で商品の値段が全体で上がっていて、お客さまの買上点数には影響が出ています。いま話題のお米も、弁当などでは原価アップとなるので、やむを得ず商品の値上げも実施しています。
一方で、まだ商品の見直しなどで、値下げできる商品もありますので、これからも、しっかり下げられるものは下げる努力はしてまいります」

注力する商品分野
「全ての部門が注力分野です。それぞれの部門が売上げを伸ばすために必死に取り組んでいます。
各部門でオーケーの留め型をメーカーさんに作っていただくこともあれば、オーケーのPB(プライベートブランド)もあります。あとは直輸入なども取り扱いを広げています。常温商品に続いて、冷凍食品についても物流を自社物流として整備したので、今後は冷凍の分野も効率化に取り組んでいきます。
一方で、特にオリジナル商品に力を入れるというより、NBの売価強化も引き続き力を入れていますし、目的は各部門が『売上げを伸ばすためにはどうすればよいのか』を考えながら取り組むことと考えています」
経営において重視する数字
「もちろん、いろいろな数字を見ていますが、全ての出発点は『売上げ」であり、シンプルに『売上げ伸ばす』ことに注力しています。
オーケーは、『利益を考えず売上げを取る』ということはなく、基本的には一定の利益率の中で売上げを追求するようにしています。従い、売上げを上げれば当然、利益も後から付いてくるわけです。そういう意味での『売上げ』です。
だから、利益ゼロで売上げだけを取るとか、集客のために(ある商品を)赤字で販売するといったこともやりません。商品部としても、利益を忘れて売上げだけ追求するということがないようにしています」
人口減少局面に入った日本での成長戦略
「当社は人口密集地の国道16号線の内側に出店を続けています。当社の商圏で100%のマーケットを取っていたら、(人口減少が)売上減に結び付きますが、当然、競合のスーパーに行かれているお客さまがたくさんまだいらっしゃいます。
人口減を心配するよりは、まず競合他社に行かれているお客さまにオーケーを選んでいただけるよう磨きをかけていきたいと思います。人口減においても、最後まで選んでいただけるスーパーを目指します。
今後も関東、関西どちらも安定的に、たくさん出店していきます。首都圏では国道16号線の内側が基本ですが、人口によっては16号線の外側も出店エリアに入ります。首都圏でも今年もたくさん出店を予定していますし、実際、競合他社もたくさん出店しています。出店余地はまだあると思います。
首都圏については、まだ出店していないエリアもありますし、継続的にちゃんとお店を出すかどうかは、5年、10年経ったときに大きな差になるでしょう。
今年度は東西合わせて15店出店の予定です。近年の中ではかなり多いですし、来年度も決まっている物件がたくさんあるので、人手不足の中でもしっかり出店し、1店舗1店舗を繁盛させるということに尽きます。
関西にもたくさん出店していきます。もちろん、出店はいろいろなご縁からということもありますが、当然、人口密集地に出すという当社の方針からしても、関西には商圏人口が首都圏とそん色ないエリアがたくさんあります」
出店における店舗規模の柔軟性
「立地に応じてできます。最小店舗は清瀬店(316.69㎡、95.8坪、東京都清瀬市)です。都市部ではないですが、駅前で売上げも高いです。お台場店(東京・港)も同じくらいですが、少し大きい(375.54㎡、113.6坪)です。
小型店から、大型店まで、オーケーとしては経験値を持っているということです。あとはそれを立地によって使い分けるということです。関西も加わっているので、今後出店数は増える見込みです。出店のフレキシビリティは高いと思います。
そのためにも売上げをしっかり上げていくことが重要です。建築コストが高いですが、それはやむを得ないこと。もちろん、その中で値上局面においても価格を引き下げる努力は続けています」