ビーコンとは? 概要や仕組み、他の通信機器との違いやメリット、活用例を解説

2022.04.22

2022.01.26

IT技術の進歩により、通信規格の性能も大幅に向上した。ピンポイントでの精度の高い位置特定やさまざまなデバイス形状での利用を可能にした通信規格が「ビーコン」だ。身の回りの利便性を高める製品やサービスに、ビーコンは多く活用されている。

本記事では、ビーコンの概要と仕組み、他の通信機器との違い、ビーコンのメリットや活用例を解説する。

ビーコンの概要と仕組み

ビーコンの概要や仕組みについて解説する。

ビーコンとは

ビーコン(beacon)とは、赤外線や電波、極低電力の近距離無線通信規格「Bluetooth Low Energy(BLE)」を用いた位置特定技術、および技術を搭載したデバイスを指す。

語源は英語の「beacon」で、水路やのろし、灯台など目印や指標となるものを意味している。

ビーコンの仕組み

ビーコンは数秒に1回、無線で半径数mから数十mの範囲に信号を発信する。発信する範囲内にビーコンの信号を受け取れるデバイスがあると、感知して位置情報をサーバーに送信する仕組みだ。

ビーコンを利用できるデバイスはIT技術の進歩により近年増加している。Bluetoothに対応したデバイスの他、2013年にはiPhoneやiPadでビーコンを利用できる「iBeacon」や、15年にはGoogleのビーコンプロトコル「Eddystone」が発表され、ビーコン専用アプリのないスマートフォンでもビーコンを利用できるようになった。

ビーコンと他の通信規格との違い

ビーコンと混同されやすい通信規格に「GPS」と「Wi-Fi」がある。

GPSとは「Global Positioning System」の略で、人工衛星より発信した信号を受信する位置測位システムだ。GPSは地球規模の広大な範囲での位置測位を可能としている分、ビーコンよりも精度が落ちてしまうデメリットがある。また、衛星からの信号が届かない地下では利用できない。

Wi-Fiとは、さまざまなデバイスを無線によってインターネットに接続する技術だ。Wi-Fiのアクセスポイントを利用して位置情報が収集できるが、ビーコンよりも精度が落ちる。さらにiOSでWi-Fiを利用する場合、ビーコンよりもアクセスポイントの検出がしにくいことがある。

ビーコンのメリットとは?

ビーコンの持つメリットを解説する。

位置測定の精度が高い

ビーコンは信号送信範囲がGPSと比較すると狭い分、数cmから数m単位での高い精度での位置測定ができる。Wi-Fiのように他の信号の影響を受けにくいため、信号が複数発信されている状態でもピンポイントな情報収集や位置測定が可能だ。

幅広いデバイスに対応している

ビーコンは専用アプリや専用リーダーなどの機器がなくても、Bluetoothに対応したデバイスなら利用可能だ。Wi-Fiのように専用アクセスポイントを設置する必要もないため、導入コストが低いのも魅力となっている。

ビーコンに対応したデバイスは、機械に組み込む大型のものからボタン型の小型のものとサイズもさまざまある。

インテリアにもなる据え置き型など、デザイン性に優れたもの、防水防塵タイプやソーラー電池利用タイプ、屋外に設置可能な全天候型など利用シーンに合わせた機能を持つものなど幅広くある。シーンに合わせてデバイスへ必要な機能を付与すれば、活用シーンは数多く広げられるだろう。

電池消費量が少ない

ビーコンは他の通信規格や位置測位システムよりも電池消費が少ないのもメリットだ。かつてはBluetooth対応デバイスも電池消費が多かったが、近年Bluetoothの技術が進歩した。ビーコン対応デバイスも省エネ設計となったため、電池切れの心配なくデバイスの長時間運用ができる。

屋内や地下でも利用できる

ビーコンは信号の発信元、受信元ともにBluetoothに対応したデバイス同士で完了する。GPSのように信号間をさえぎるものがないため、屋内や地下でも利用可能だ。もちろん屋外でも利用できるので、さまざまなシーンで活用できるメリットもある。

マーケティングに活用できる

ビーコンの受信デバイスを設置することで、顧客のスマホから情報を収集するマーケティングツールとして活用できる。

たとえば顧客がスマートフォンに入れたアプリからの情報で顧客の移動経路を把握し、顧客動線に対応したレイアウトへ変更するなどの施策ができる。

顧客がビーコンからの信号を受信したタイミングで情報を発信するなども可能だ。この技術を活かし、受信デバイスの信号を受けると顧客のスマートフォンにクーポンが配布される、ポイントが付帯されるなどのサービスも提供できる。

ビーコンの活用例と事例

屋内や屋外でも使用でき、さまざまなデバイスとして利用できるビーコンは幅広い用途で活用されている。ビーコンが活用されている例を、企業の事例と共に解説する。

VICS(道路交通情報通信システム)

VICSとは、渋滞や交通規制などの道路交通情報を24時間365日カーナビへ提供する道路高都情報通信システムだ。FM放送の他、ビーコンが活用されている。

高速道路に設置された電波ビーコンや、一般道路に設置された光ビーコンが道路の交通状況を情報として収集し、発信する。車内に設置した電波ビーコン受信機と光ビーコンアンテナが電波ビーコンや光ビーコンの信号を受信し、VICS対応カーナビに道路交通情報を提供する。

周辺の高速道路や一般道路の交通情報をビーコンから収集することで、カーナビによるルート検索や渋滞回避などに活用できる。

探し物ビーコン

Bluetoothでひも付ける探し物ビーコンとして製品化されている。たとえば鍵や財布など失くしやすいものに探し物ビーコンを付けておくと、スマートフォンから所在地を特定する、発信機から音を鳴らすなどのアクションが取れる。

所有物の他、荷物置き場で自分のかばんを見つけるとき、車の多い駐車場で自家用車を見つけるときなどいろいろなシーンで応用できるのも魅力だ。

コンパクトサイズ、カードタイプ、貼り付けられるタイプなどさまざまな形状のある落とし物トラッカー「Tile」(Tile Inc.)が代表例だ。

家庭のスマートスピーカーとも連動、世界230カ国に設置されている「Tileアクセスポイント」によって地域のユーザー同士をつなげる「Tile」コミュニティーを展開し落とし物の取得率をさらに上げるなど、独自のテクノロジーが取り入れられている。

アバランチビーコン

アバランチビーコンとは、登山や雪山などで遭難、または雪崩に巻き込まれたときのためのビーコンを指す。雪崩ビーコンとも呼ばれている。ビーコンから遭難者や雪崩に巻き込まれた人の位置情報を信号として発信することで位置を特定し、救助につなげる仕組みだ。

アバランチビーコン自体が信号を発信して、自分が「見つけてもらう」ことはもちろん、他のアバランチビーコンの信号を受信して遭難者や雪崩に巻き込まれた人を「見つける」ことも可能だ。

遭難や雪崩からの救助時間を短くすることで延命率を上げる他、グループ内での救助活動にもつなげられる。近年では入山時にアバランチビーコンの所持が義務付けられている山も増えている。

遭難者探索のノウハウを取り入れた「LIFE BEACON」(AUTHENTIC JAPAN株式会社)が代表例だ。同社では、位置発信システムによる遭難者探索サービス「ココヘリサービス」を展開している。登山などのアウトドアシーンの他、前述の探し物ビーコンとしても活用可能だ。

見守りサービス

子どもや高齢者の方、障害のある方などへの見守りにビーコンが活用されている。見守りをしたい人がビーコンを持つことで、スマートフォンから位置情報や現在の状況が把握できる。

認知症の方がお守り型のビーコンを持ち、施設や自宅に設置した固定検知端末によって「在宅」「外出」を判別し、外出になるとスマートフォンへ通知が入る「みまもりビーコン」(OFF Line株式会社)や、子どもが小型ビーコンを持ち、公園や学校に設置した固定検知端末によって位置情報が特定できる「COCOMO」(株式会社リクルート住まいカンパニー)などがある。

探し物の可視化

図書館や美術館、店舗など、特定の書籍や作品を探す場所では探し物を可視化できるビーコンが活用されている。探している商品や書籍の近くに行くと通知が出る、作品の前に立つと解説が流れるなど、顧客や来館者の探し物をサポートしてくれる。

高知県にある「オーテピア高知図書館」「高知みらい科学館」では、「オーテピアアプリ」を使って館内の自分の位置が知れる、所蔵検索結果の書籍がマップ上のどの本棚にあるかを表示する、科学館の常設展示の解説を見るなどが可能だ。

iBeaconによる販促

iBeaconはApple社の商標で、Bluetooth low energyを利用したiOSの近接通知機能。「Bluetooth Low Energy」(BLE)を活用したビーコンで、BLEを発信する固定デバイスと、iBeaconの受信アプリをセットで活用する。

店舗やイベント会場などに固定型のBLEを発信するデバイスを設置し、あらかじめiBeaconに対応したアプリをインストールした顧客が固定デバイスからのBLE信号をキャッチすると、アプリを通じてプッシュ通知が送られる仕組みだ。

顧客が店舗に入ったとき(チェックイン)にアプリへポイントが付帯される、スマートフォンユーザーの行動に合わせて情報やチラシ、クーポンが配信されるなどの機能がある。

iBeaconによる販促は、「イトーヨーカドーアプリ」(セブン&アイ・ホールディングス)、「マツモトキヨシ公式アプリ」(マツモトキヨシホールディングス)、「POCKET PARCO(ポケットパルコ)」(株式会社パルコ)、「くら寿司」(くら寿司株式会社)など多種多様な業種で活用されている。

活用の幅が広がるビーコン

ビーコンの概要や仕組み、他の通信機器との違いやビーコンのメリット、事例をふまえたビーコンの活用例を紹介した。

汎用性の高い通信機器であるビーコンは、日常生活を便利にするだけでなく、マーケティングや人命救助の分野でも活用されている。ビーコンを取り入れることで、より生活の質を高められる。企業や店舗でビーコンを活用したサービスを導入すれば、売上や顧客満足度の向上にもつながるだろう。

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