ヘッドレスコマースとは?メリット・デメリット、従来のECサイトとの違いなどを解説

2022.05.12

近年、スマートフォンの普及やコロナ禍などによってインターネット市場が拡大している。そんな中で、ECサイトにおける新しい構造として注目されているのがヘッドレスコマースである。ここては、ヘッドレスコマースの仕組みや従来のECサイトとの違いについてわかりやすく解説する。

ヘッドレスコマースとは?

ヘッドレスコマースとは、ECサイトにおいてフロントエンドとバックエンドを切り離し、APIで連携させることで運用をおこなう構造のことである。

ヘッドレスコマースを実現させることで、フロントエンドの開発の自由度が高まったり、ECサイトの表示スピードを上げたりするメリットがある。

一方でシステム構築には専門的な知識が必要であり、従来のECサイトを再構築するには時間と費用が必要になるなどデメリットもある。日本ではまだあまり普及しておらず課題もあるが、顧客に快適なユーザー体験を提供する手段の1つとなっている。

ヘッドレスコマースの仕組み

ヘッドレスコマースは、主に顧客が触れるフロントエンドと、注文の受付や決済をおこなうバックエンドを分離させた構造である。

フロントエンドとバックエンドは、APIの連携によって繋がっている。それぞれが独立しているため、互いに制約を受けない仕組みとなっている。フロントエンドのUIについても、API連携に対応していれば縛りがなく、音声やチャット、タッチパネルなどさまざまなインターフェイスによるフロントエンドを開発可能である。

従来のECサイトとどう違うのか

従来のECサイトでは、フロントエンドとバックエンドが分離しておらず、システムにおいて明確な線引きをすることが難しかった。それを明確に分離させ、「ヘッドレス=頭(フロントエンド)がない」状態でもバックエンドが機能するアーキテクチャがヘッドレスコマースである。

もちろん、実際にはフロントエンドが存在しないまま運用することはないが、フロントエンドとバックエンドが互いに依存関係になく、分離した状態でそれぞれが設計される点が特徴だ。

ヘッドレスコマースのメリット

新しいアーキテクチャであるヘッドレスコマースは、現代のECプラットフォームにおいてもメリットがある。ここでは企業がヘッドレスコマースを採用するメリットに着目して詳しく解説していく。

フロントエンドの開発の自由度が高まる

ヘッドレスコマースでは、フロントエンドとバックエンドがそれぞれ独立して運用されるため、システム的な互いの依存関係がなくなる。そのため、フロントエンドはバックエンドのシステムに制約を受けることなく自由に開発することが可能である。従来よりもUIを洗練させたり、より良いUXを実現させたりするための改善をしやすいこともメリットである。

エンジニアがフロントエンドとバックエンドそれぞれの開発に専念できる

フロントエンドとバックエンドが互いに依存しないヘッドレスコマースでは、それぞれの開発を別々におこなえる。自社のエンジニアをフロントエンド担当とバックエンド担当に分けて開発を進めたり、バックエンドは専門の業者に外部委託し、フロントエンドの開発は自社のエンジニアに注力させたりと、効率的な運用ができる。

ECサイトの表示速度が高速になる

従来のECサイトは、フロントエンドとバックエンドが一体化しているため、サイトを訪れるユーザーはその全てを読み込まなければならなかった。しかし、ヘッドレスコマースでは、ユーザーはフロントエンドのみを読み込めばよいため、サイトの表示速度が上がる。これは、ユーザーの快適性を向上させることで離脱率を低減させ、ECの売上につながるメリットである。また、コアウェブバイタルはGoogleがページを順位付けするための要素としても組み込まれており、その向上はSEOの面でも効果的だ。

ヘッドレスコマースのデメリット

さまざまなメリットがあるヘッドレスコマースだが、メリットばかりではなく、注意しなければならないデメリットもある。ここからはヘッドレスコマースを実現させる際に考えられるデメリットについてチェックする。

システムを構築するために専門的な知識が必要

ヘッドレスコマースの要は、フロントエンドとバックエンドをつなぐAPI連携である。それぞれの開発ができても、APIを連携させられなければシステムが構築できない。従来のシステムは比較的シンプルな構成になっており、開発も簡単なため、専門のエンジニアでなくても構築が可能だったが、ヘッドレスコマースを構築、運用するにはより専門的な知識と技能を持った技術者が必要となる。

従来のECサイトの構造をヘッドレスコマースに再構築するには時間と費用が必要

従来のECサイトとヘッドレスコマースは、システムが根本的に違うため、再構築にはサイト全体の改修が必要となる。ヘッドレスコマース自体も必要な開発工数が多いので、かなりの時間がかかるといえる。それにともない費用もかさんでくるため、ケースによっては再構築のコストパフォーマンスが悪い場合もある。

ヘッドレスコマースを活用した事例

日本ではまだあまり普及していないヘッドレスコマースだが、世界的にみると活用事例は数多くある。ここからは、企業がヘッドレスコマースを活用している事例をピックアップして紹介する。

Amazon

Amazonはヘッドレスコマースを活用して、音声のやりとりで商品が購入できるようにしたり、ワンクリックで決済が完了したりする機能を開発した。このように、複数のチャネルからショッピングを楽しめたり、スピード感のある決済でより良いユーザー体験を提供できたりする点がヘッドレスコマースの強みである。

パソコンのみならずスマートフォン、スマートスピーカーなどさまざまなデバイスが登場する世界の変化に対応することは、顧客の商品へのタッチポイントの増加につながるため、オンラインショッピングにおいて非常に重要であるといえる。

コアラ・マットレス

コアラ・マットレスはShopifyをフロントエンドに利用し、ページ読み込み時間の高速化やチャネルごとに異なるUIを用意することで、快適なユーザー体験を提供している。

ヘッドレスコマースではフロントエンドを複数開発しても、バックエンドの開発は一度で済むため、効率的な開発が可能である。フロントエンドがバックエンドと分離したことにより、コンテンツの更新とシステムの維持管理を分業できるようになり、それぞれの担当が本来の役割に専念できるようになった。

また、情報量の多いページであっても高速で読み込め、ユーザーの興味関心を削がない快適な購買体験を提供できる。

ヘッドレスコマースは顧客に快適なユーザー体験を提供する手段の1つ

ヘッドレスコマースは新しいアーキテクチャであり、メリットもあればデメリットもある。

全てのケースにおいてヘッドレスコマースが最適な選択肢であるとまではいえないが、技術が発達し、より多様なチャネルやデバイスでのコマースが当たり前となっていくこの時代において、ヘッドレスコマースは非常に画期的なシステムであるといえる。

快適なユーザー体験を提供し競合他社と差をつけるには、効果的な手段の1つとしてヘッドレスコマースを念頭に置いておくのがおすすめだ。

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