フェイクミートとは? 注目される背景や市場規模、各企業の商品例などを紹介
2022.04.12

「フェイクミート」や「プラントベースミート」をご存じだろうか。「代替肉」とも言われ、肉のような味や食感を持つ食品のことだ。動物性のものを食べないヴィーガン向けのイメージがあるかもしれないが、実は環境保護などの理由からヴィーガン以外からも注目されている食品の一つだ。最近ではスーパーマーケットやファストフードなど身近な場所でも使われている。
本記事ではフェイクミートとはどのような食品なのか、市場規模や注目されている理由、実際に販売されているフェイクミート商品を紹介していく。最近目にするフェイクミート商品が気になるという方はぜひ一読してほしい。
目次
フェイクミートとは?
「フェイクミート」とは、大豆など植物由来の原料を使った、肉に似た食品のこと。食感や味、風味を肉に近づけており、ハンバーガーなど本来は肉でないと楽しめないものが味わえることが目標となる。フェイクミートの原料には、大豆やエンドウ豆、小麦、そら豆などが使われており、植物性のタンパク質が摂れるというのも特徴の一つだ。
原料に動物性のものを一切使用していないフェイクミートがある一方で、代替肉であっても、動物油脂や動物性の添加物を含んでいるものや、卵を使用し調理しているものがある。フェイクミート商品だからといって動物性のものを使っていないというわけではなく、さまざまな商品があるため、フェイクミート商品を選ぶ際に参考にしてほしい。
フェイクミートの市場規模
世界のフェイクミート市場規模
フェイクミートは元々アメリカで注目され始めたが、現在、今後のフェイクミートの市場規模はどのようになるのか。
海外市場調査レポートの販売などを行うグローバルインフォメーションによると、世界のフェイクミートの市場規模は、2020年では124億米ドル(約1兆4880億円、1ドル=120円換算)。予測期間である2021年から2027年では約17.3%のCAGR(年平均成長率)で成長すると予測されている。
フェイクミートには小麦やエンドウ豆などをベースにしたものがあるが、市場を独占していたのは大豆ソースのセグメントだ。また、製品別では、ソーセージやミートボールがある中で、バーガーパティのセグメントが市場を支配していた。
アメリカの「カーギル」という会社では、18年に米国の大手エンドウタンパクメーカーPURIS社と合弁会社を設立。PURIS社に7500万米ドルを投資し、エンドウタンパクの生産量を倍増させるなど、力を入れているのが分かる。
日本国内では高い認知率の傾向がある
日本国内ではどのように注目されているのだろう。LINEでは、LINEリサーチを通じて全国の18~59歳の男女を対象に、LINEユーザーのスマートフォンweb調査(※1)を行った。
その結果、フェイクミートの認知率は84%だったという。認知度はかなり高いことが分かる。男女別、年代別では、30代~50代女性が9割弱という最も高い認知率だった。
また、フェイクミートを利用している人は全体の10%。「知っているし、以前利用していたが、いまは利用していない」を含めた利用経験率は全体で20%だった。
LINEリサーチでは、流行予想スコアも計算しており、「1年後、自分のまわりでどのくらいの人が利用していると思うか」という質問では、およそ3人に1人が1年後に利用していそうというイメージとなった。
今後利用するかについては、「機会があれば利用してみたいと思う」と答えた人が48%で、「タンパク質が多そうだから」や「食べてみて違和感なく食べられたし、とてもおいしかったから」などの意見が寄せられた。利用の意向がない人では、「本当の肉のほうがおいしいから」や、「普通の肉が流通している限り、あえて代替肉を食べる必要性がない」といった意見もあったという。
※1
調査対象:日本全国の18~59歳男女
実施時期:2022年1月19日~2022年1月21日
有効回収数:2108サンプル
フェイクミートが注目される背景とは?
世界の市場規模の成長が見込まれることや、日本国内でも認知度が上がっているフェイクミートだが、このように注目される理由とは何だろうか。大きく3つある。
多様な食文化に対応できる
ヴィーガンやベジタリアンにとっては、フェイクミートが広がることで食の選択肢が広がるだろう。また、ヘルシーとされるフェイクミートのため、健康面やダイエットに気を使う人も食べることができるなど、さまざまな人が肉の風味を楽しめるようになる。
環境保全へつながる
牛、豚、鶏の家畜を育てることには環境課題がある。例えば、排泄物などを流す水や飼料の植物を育てるための水など、多くの水が必要になる上、排泄物の処理から水質汚染につながるケースがある。
また、家畜を育てるための土地を作るため、森林伐採がおこなわれてきたことや、牛などの家畜がげっぷによって多量のメタンガスを発するなどの課題もある。フェイクミートによってこれらの問題が軽減され、環境保護につながるとされている。
人口増加や食糧難の解決の一つに
地球上の人口は、国際連合広報センターによると現在約77憶人だが2050年には約100憶人に到達するといわれている。また、農林水産省によると人口増加に加え、経済発展の理由から、食糧需要量は2010年比で1.7倍に。畜産物については2050年には2010年比1.8倍となる見通しだ。大切な栄養素であるタンパク質を確保するといった点でもフェイクミートや昆虫食が注目されている。
フェイクミートの商品例
ここからは現在販売されているフェイクミートの商品を紹介していく。
ネクストミーツ

2020年6月に設立したネクストミーツでは、「地球を終わらせない。」を理念として掲げ、地球温暖化や食糧危機の解決に取り組み、代替肉の研究開発を行ってきた。
例えば焼肉用代替肉「NEXTカルビ」と「NEXTハラミ」、プラントベース牛丼「NEXT牛丼」を販売している。21年12月からは、アメリカでもこの3商品を取り扱い開始。アメリカ本土(※2)を対象にアメリカのネクストミーツのオンラインショップと、日系スーパーマーケットのマルイチ(ニューヨーク州1店、マサチューセッツ州2店、コネチカット州2店の計5店)とフロンティア(ニューヨーク州1店)にて販売している。
※2ハワイ州、アラスカ州、プエルト・リコ自治連邦区を除く
また、日本初上陸のアメリカンバーガーチェーン「Wayback Burgers」の表参道店にて、ネクストミーツの代替肉などを使用した商品がレギュラーメニューとして22年3月11日より販売されている。
レギュラーメニューとなる商品は、次の3品。
・ネクストバーガー
価格:税込み1080円~
特徴:特別に改良した代替肉のパティとホウレンソウのバンズを使用した
・NEXTツナ
価格:税込み884円~
特徴:大豆が主原料の代替シーフード「NEXTツナ」を使用したネクストツナサラダ
・ネクストミルク
価格:税込み442円~
特徴:オーツ麦が主原料のネクストミルク
また、セットになった、「ネクストバーガーヴィーガンセット」(税込み2258円~)も販売するという。

「Wayback Burgers」は世界38カ国で展開し、21年はコロナ禍にもかかわらず全体売上げが前年比で26%増加と、人気のあるハンバーガーチェーンだ。今回、日本初上陸となる。
伊藤ハム(まるでお肉!大豆ミートシリーズ)

伊藤ハムでは、「まるでお肉!大豆ミートシリーズ」を展開している。
・「まるでお肉!大豆ミートのハンバーグ」
内容量:150g
価格:税込み330円
特徴:赤ワインを使用したうま味のあるデミグラスソースで煮込んだ大豆ミートのハンバーグ。肉のような食べ応えと、低コレステロールが特徴だ。袋のまま電子レンジで調理が可能。
・「まるでお肉!大豆ミートの肉だんご」
内容量:150g
価格:税込み330円
特徴:まろやかな甘酢あんが絡んだ、ふっくら柔らかい大豆ミートの肉だんごの5粒入り。袋のまま電子レンジ調理が可能。
・「まるでお肉!大豆ミートのメンチカツ」
内容量:200g
価格:税込み430円
特徴:玉ネギの食感が感じられる、大豆ミートのメンチカツ。揚げ物の満足感と肉のような味わい、低コレステロールが特徴。
これらの3商品は、植物肉の開発、生産をするスタートアップのDAIZが手掛けた発芽大豆由来の植物肉「ミラクルミート」を使用している。「ミラクルミ―ト」は、原料に丸大豆を使用。
味や機能性を自在にコントロールするコア技術の「落合式ハイプレッシャー法」という栽培法で大豆を発芽させることで、うま味や栄養価を増大させる。そして発芽した大豆はエクストルーダー(押出成形機)という機械にかけ、膨化成形技術により肉に近い弾力と食感に仕上げている。
大塚食品(ゼロミート)

大塚食品の手掛ける「ゼロミート」は大豆を中心とした植物性原材料を使用した代替肉だ。リバースエンジニアリング製法によって肉のような食感を実現。植物性のおいしさも生かしている。
・ハムタイプ
価格:税込み322円
内容量:60g
特徴:大豆加工食品を使用したハムタイプ。ハムと同様にそのままでも食べられる。
・ソーセージタイプ
価格:税込み430円
内容量:120g(6個)
特徴:大豆加工食品を使用したソーセージタイプ。電子レンジ、ボイルなどで調理可能。
・デミグラスタイプ・ハンバーグ1個
価格:税込み322円
内容量:140g(1個)
特徴:肉を使用したハンバーグのような食感、味が楽しめる。電子レンジ、ボイルでの調理が可能。
フレッシュネスバーガー(SOYパティ)

フレッシュネスバーガーでは、ビーフパティバーガー5種類を対象に、大豆を使用したSOYパティに無料で変更ができる。
SOYパティは、ココナツオイル配合のパティで、豆の香りを少なくし、肉に近い食べ応えに仕上げている。ビーフ使用のパティと比べて、あっさりとした味わいが楽しめるため、野菜やソースの味を引き立てるという。
無料で変更できる対象の商品は、ガーデンサラダバーガー、フレッシュネスバーガー、チーズバーガー、サルサバーガー、テリヤキバーガーの5種類。
フレッシュネスバーガーでは、2020年からSOYパティを使用したハンバーガーを販売していたが、新たな取り組みとして無料で変更できるようになった。
国内でも販売されるフェイクミート
日本国内でも、ハンバーガーや焼肉、肉団子などさまざまなフェイクミート商品が販売されており、食の選択肢が広まりつつある。ヴィーガンということだけでなく、環境課題や食糧難といった問題の解決という観点からフェイクミートを試してみるのも良いかもしれない。