【盆商戦】対策2024 グロサリー編 キーワードは、「帰省移動」「土産」「ホームパーティ」「孫需要」「猛暑、夏ばて」と今年は「インバウンド需要」
2024.07.09
盆と正月は日本人にとって1年間の生活の中で大きな節目となる生活習慣として定着している。盆商戦は年末年始商戦と共に2大商戦である。ただ、正月と違う点は盆には7月13日から16日までの新盆と8月13日から16日までの旧盆があること。
東京、金沢市と函館市の一部の地域などは7月の新盆だが、全国各地のほとんどは8月の旧盆である。再度、自店のエリアの生活習慣を確認しておきたい。
かつての盆商戦では手作りの伝統食の煮しめ料理などの食材を販売していたが、「簡単便利に」という傾向を踏まえ、販促アプローチのポイントは次のようになる。
「帰省移動」「土産」「家族や友人とのホームパーティ」「孫需要」「猛暑、夏ばてを意識した健康メニュー対策」がある。今年はさらに「円安によるインバウンド需要」にも対応策を準備したい。それでは、具体的な販促対策をみてみよう。
①ホームパーティのハレメニュー
盆の帰省ということで、子どもたちが喜ぶメニューを訴求したい。例えば、寿司、刺身盛り合わせ、ステーキなどのごちそうメニューとは別に、子どもたちが大好きなファミリーレストランの人気上位メニューを提案。
売場づくりでは、1つのメニュー、単品を訴求するのではなく、複数のメニューとレシピで使われる食材をPOPでお勧め提案。この時季はカレー料理をはじめ、夏のシチュー料理も提案。
商品としてはカレールー、シチューのもとはじめハンバーグのもと、唐揚げミックス粉、ちらし寿司のもと、オムライスのもとやおやつ用のお好み焼きのもと、たこ焼きのもと、ホットケーキミックスなども訴求する。

②子どもニーズをわしづかみ
子ども販促対策の強化として、「お年玉」ならぬ「お盆玉」が最近は定着しつつある。帰省する孫たちの需要の関連として菓子類、飲料類など孫ニーズ商材の訴求もする。また、夏休みに入り子どもの在宅率が上がるので、子どもの好きなメニューレシピや気温が上昇する中、涼味デザートも訴求。
売場づくりでは涼感演出用のすだれ、かき氷の旗、のぼりなどで飾り、目立つ売場にする。寒天を流す木型など関連雑貨も陳列したい。
品揃えしたい商品として、粉寒天、ゼラチン、ゼリーミックス、ババロアミックス、かき氷用シロップ、黒蜜、蜂蜜、抹茶、バニラエッセンス、ゆでアズキ缶、チェリー缶詰、ミカン缶詰、きな粉、シナモン、レモン果汁などがある。

③行き帰りの手土産
盆休みで郷土への帰省、そして盆明けの帰省から戻るときの地方銘菓や銘酒などの手土産需要の機会損失を防ぐ。
昨年のデータの確認と予約、取り寄せなど販売態勢の再構築を徹底。行くときも帰るときも地域限定菓子を展開する。一般的には帰省地のふるさと菓子やふるさと独自の調味料などを訴求。必須商品として品揃えにトライすべき商品は「ふるさと納税」の対象になっている商品。
最近では町おこし、村おこしで行政機関が毎年商品開発を支援しているので、新しい商品が生まれ、宣伝されてもいる。事前に情報収集して品揃えの参考としたい。また、大手メーカーの地域限定商品も必須商品である。
商品の一例として、北海道のハッカ飴、四国高知の生姜カリントウ、京都の八ツ橋など地方名産の各種銘菓がある。また、大手メーカーでは期間限定で亀田製菓の「夏のつまみ種」、地域限定では江崎グリコのポッキーの北海道の夕張メロン、信州の信州巨峰、近畿の宇治抹茶、北陸の五郎島金時、中四国の瀬戸内伊予柑、九州のあまおうなどがある。
④夏ばて防止対策で盆を乗り切る
全国的に平年よりも気温が高くなると予想され、「暑さ対策」の販促策が求められる。熱中症対策はじめ、夏ばて対策メニューがポイント。一例としてスパイシーなアジアンエスニックで暑さをしのぐメニュー提案。マンネリにならないようにシーフード、フルーツなど「材料」の切り口、タイ風、ベトナム風など「隠し味」の切り口などをアピールしたい。
訴求商品として、アジアンエスニックの食材を展開。カレー関連ではトマト缶詰、マンゴー缶詰、パイナップル缶詰、オールスパイス、福神漬け瓶詰、ラッキョウ瓶詰、ウスターソース、ケチャップ、レーズン、松の実などがある。
エスニック食材として、タイカレーキット、ナンプラー、ライスペーパー、トムヤムクン、ココナツミルク、フォー、パッタイ、ヤムウンセン、ガパオ、スイートチリソースなどベトナム、タイを中心に展開したい。

また、菓子部門では水分補給と同時に塩分補給用の常備品として塩飴はじめ塩入りようかん、塩ゼリー、塩昆布類などを品揃えする。
⑤今年の盆はインバウンドに挑戦
コロナ禍では需要が大きく落ち込んだが、新型コロナウイルスが落ち着き、このところの円安傾向でインバウンド需要が急激に伸びてきている。
スーパーマーケットの売場でも訪日観光客を散見することが増えてきた。そこで、盆商戦の販促アプローチの1つとして、今年は日本の食材や調味料などを「盆」という日本文化と一緒に国内外の来店客に訴求する。
具体的には、だしのもと、乾麺、みそ、しょうゆ、ふりかけ、日本茶などがある。売場には日本語以外に訪日客が多くなった中国語、韓国語のPOP案内や写真、動画モニターでの案内も必要となる。
訴求商品として、まずだし関連。カツオ節、干しシイタケ、だし昆布、イリコ、干しアゴ(トビウオ)、パック入りだしのもと、瓶入りそうめんのつゆ、塩レモンなどを訴求。塩レモンは唐揚げ、冷しゃぶ、チキンソテー、魚介のマリネ、ホイル焼き、たこ焼きなど万能のつゆたれとして訴求したい。
また、トビウオだしのそうめんのつゆ、スパイシーな焼肉のたれなど、こだわり商品の品揃えを強化したい。次に乾麺。そうめんをメインに冷や麦、そばも品揃えする。

子どもが喜ぶカラフルなそうめんを展開しても良い。例えば、ニンジン入りのオレンジ色、梅入りの赤色、抹茶入りやシソ入りの緑色、カボス入りの黄色そうめんなどがある。
次にみそ、しょうゆ。みそでは生みそだけでなく、フリーズドライのみそ汁シリーズは必須となる。しょうゆは小瓶入り、一口パック入りも品揃えする。
次にふりかけ類。ご飯のお供に重宝なふりかけ類の個包装タイプは訪日客の間でも人気。最後に日本茶。煎茶、玉露、抹茶など、これも個包装の使い切りのタイプが人気である。時流に合わせて、盆商戦の販促アプローチをさらに進化させたい。