SIPストア、こう見る! 生鮮編 店の位置付けは競合店次第で大きく変わる、明確な特徴を打ち出せるかが今後の課題
2024.06.27
セブン-イレブン松戸常盤平駅前店(SIPストア)の生鮮、日配コーナーはレジ前と冷凍食品に挟まれる売場中央で構成されている。駐車場側の入口から入ると左手に青果の特設コーナーが見え、道路側の入口からは和日配、洋日配の冷蔵ケースが見える形となる。
青果の特設は正面に果物のステージ陳列、両脇に野菜と果物の多段ケースでの展開になっている。
2月のオープン時のステージ陳列はイチゴのみの単品展開であったが、6月の訪店時にはサクランボやプラム、小玉スイカ、メロン、リンゴなど複数の商品が展開されていた。また、多段ケースにおいては、野菜が約20SKU、果物15SKUの扱いがあった。

価格設定は、アイテムごと定額に設定されており、野菜は150円、果物は390円でそろえられている。果物の価格調整はサイズまたはグレードで行い、規格が小さいものを中心に構成している。
野菜は関東近郊だけでなく、九州産のアイテムの扱いもある。素材型の定番商品が中心であり、野菜においてはブランド野菜や小分け商品などの扱いは見られなかった。定額販売の場合、相場変動の影響を受けやすいものの、消費者にとっては分かりやすく、来店動機として機能するか注目ポイントとなってくる。
カット系は全てアウトパック
青果の冷蔵ケースは9尺で展開されており、要冷野菜、果物とカットフルーツ、サラダ用のカット野菜、調理用カット野菜でグルーピングされている。要冷野菜、果物はイトーヨーカ堂の「顔が見える」野菜、果物を中心とした構成で、トマトは6SKUと品揃えの深掘りを行っている。
糖度の高いフルーツトマト系をそろえ、バリエーションは豊富になっていた。カットフルーツは、トップシール加工の単品アイテムとアウトパックでの調達で、単品とミックスを組み合わせて展開していた。
カットフルーツの盛り合わせは600~800円台の値付けで3SKU、単品は400円台の値付けで2SKUの扱いであった。スーパーマーケットの商品と比較して高めに設定されおり、隣接するオーケーとの価格差は明らかである。

実験的な品揃えという面はあるのか、アウトパック加工の商品については顔見せ程度の陳列量にとどめており、それぞれ1パックでの陳列であった。単品の消費期限は製造日D+3日となっていた。
サラダ用、調理用のカット野菜についてはプライベートブランド「セブンプレミアム」の構成で、1人用の少量サイズからファミリー向けの大容量サイズまでそろえている。やはり、特設コーナーや要冷野菜、果物と比較して棚割りは整然と構成されており、めりはりのある陳列ができていた。
ケース上段では調味料、ドレッシングの関連販売を行っており、サラダでは、使い切りの少量サイズではなく、大容量の展開のみとなっていた。売場が離れたコンビニエリアのサラダコーナーでは使い切りサイズのみの取り扱いで、用途を意識した品揃えを行っている。コンビニエリアでは、トップシール、トレーパックの即食系サラダ、野菜惣菜が約40SKUほど展開されており、用途に応じた区分けがされている。

精肉は1アイテム1サイズがメイン、さらに定額販売での提供
青果の隣りは加工肉と精肉が続く。それぞれ3尺の展開で、加工肉は上段にハム、ベーコン、中段にソーセージ、下段に卵を展開している。
精肉は上段に鶏肉、中段に豚肉とひき肉、下段に牛肉で構成している。豚肉のこまとひき肉以外は、1アイテム1サイズとなっている。グラムユニットプライスではなく、青果と同様ワンプライスで統一されている。鶏肉は手羽先、モモ2SKU(カットと1枚肉)、ムネ、ささ身で構成。豚肉はモモ、ロース、バラ、こまといずれもベーシックな構成となっている。

牛肉はアメリカ産のアンガス牛でステーキ、プルコギ、カルビ焼きなどメニュー用途や味付肉など加工度を高めてアイテムを差し込んでいる。消費期限は視察日D+2が最長で、入荷して1日経過したものは割引シールが貼られていた。
関連販売の調味料などは各段のサイドでの陳列に加え、上段でもスペースを割いて展開があり、オープン時よりアイテム数が増えている。
その次が鮮魚で3尺となっている。上段にはモズクやイカ、中段に刺身の盛り合わせに、マグロぶつ、サーモンのサク、サケ、明太子、下段に切り身や味付け魚となっている。中段の刺身の盛り合わせはつまがないスタイルで、2種盛りで598円と698円の2アイテムを用意。毎日入荷され、当日販売での提供となっている。
切り身は2切れ、4切れの構成で、1人用の使い切りよりもファミリー向けを意識した品揃えとなっている。精肉、鮮魚ともに「Peace Deli流山キッチン」加工の商品で供給されている。鮮魚でも調味料などの関連販売が増えており、生鮮アイテムの陳列バランスを調整する形を採っていた。

立地によって品揃えがどう変わるかは注目
生鮮部門の展開においては、品揃え、鮮度、グレード感のバランスをトライアンドエラーで調整している段階に見られた。隣接するオーケーを含めた競争環境を考えると、差別化を図るには特徴を明確に打ち出す必要がある。
今後のSIPストアにおいては立地環境に応じた品揃えをはじめとする展開を柔軟に組み立てていくとの構想もあるので、どのような取り組みを見せるのかが注目される。
現状の構成だけで判断すれば、周辺に店舗がない買物難民が多いエリアにおける生鮮食品の提供であれば存在価値を見出す可能性はあるが、周辺に競合店がある立地となると来店客ニーズとのギャップが発生してしまうのではないか。
冷凍食品との組み合わせも視野に入れ、生鮮食品の付加価値をどのように高めていくかを考えていきたい。