PB強化型まいばすけっと、こう見る! 生鮮編 部門によって異なる打ち出しに注目、一方で冷凍は全般的に強化
2024.07.02
まいばすけっと仲町台駅南店は、駅を挟んでまいばすけっと仲町台駅前店とドミナントを形成している。また、隣接する東急ストアに加え、駅周辺には業務スーパー、文化堂、青果店、冷凍食品専門店が出店していて、「食の空白地帯」ではない。
競合店舗との差別化、「手軽な」「補完的な」買物需要を取り込む必要がある。通常店舗の1.5倍となる売場面積でどのように生鮮食品を展開しているのか確認してみたい。
入口からのアプローチからは、まずプロモーションコーナーが目に飛び込んでくる。その脇から青果の常温コーナーが設置されている。

訪店時は、オーガニックアイテムの展開が見当たらず、果物を中心とした構成になっていた。メロンや小玉スイカ、サクランボなどを599円(本体価格、以下同)で展開している。その他にも499円、699円など価格幅を持たせながら、商品のバリエーションを出していた。
野菜は購入頻度の高いAランクアイテムと土物を中心に10SKUを展開。果物については、グレード感を意識した品揃えが、単身者や高齢者の買物機会の創出を狙っていることうかがえるものだった。
青果の冷蔵ケースは9尺で展開されている。トマトがコーナー化され6SKUと、品揃えを充実させている。冷蔵ケースではオーガニックアイテムが差し込まれており、モヤシはオーガニックのみの展開、その他、葉物や水耕栽培のアイテムでの取り扱いがあった。また、イオン農場のアイテムの取り扱いもあった。キノコのアイテム数が多く、レギュラー品に加え、カットアイテムが充実している。カット野菜と併せて、簡便性の高いアイテムのスペース割合を高めていた。

連続性はないものの、反対側となるすぐそばの壁面では冷凍野菜をリーチインケースの扉4枚分で展開。トップバリュ グリーンアイのオーガニックアイテムが充実していて、こだわりのある品揃えで特徴が出ていた。
冷凍野菜は素材系のみでまとめられ、即食、簡便アイテムは別のコーナーに配置。用途別の区分けがされている。長期保存が可能で、相場に左右されず価格が安定している冷凍野菜は成長しているカテゴリーの1つである。このようにしっかりと品揃えを充実させることで、競合店舗との差別化の原動力として機能している。

低価格へのこだわりが感じられる加工肉
青果の隣りは精肉と鮮魚で合わせて6尺の展開。売場の半分以上を精肉のパック商材で占め、下段は豚肉を展開している。牛肉はその上で売場スペースは大きくなく、品揃え的なボリューム感での展開となっている。鶏肉やひき肉は、売場の中央辺りで大きなパックでまとめられ、存在感があった。
鮮魚は売場の最上段2段を使用している。刺身はマグロやサーモンの切り落としを展開するのにとどめ、盛り合わせなどは扱っていない。切り身や塩干、魚卵、味付け魚など、手軽な調理に向くアイテムを重点に展開されている。上段では、トップバリュのレンジアップアイテムを並べ、売場のバランスを取っていた。

このように見ると、鮮度重視のアイテムは積極的な展開を避け、デイリーユースに適したアイテムをバランス良く展開し、管理のしやすい売場としてまとめている。ある程度の値下げは発生しているようだが、廃棄はあまり発生していないのではないか。
精肉、鮮魚も冷凍アイテムを充実させている。扉3枚分の展開で、素材系アイテムに加えて、焼き鳥やフライ、揚げ物、味付け肉などの即食系アイテムが差し込まれている。冷凍野菜とは異なる用途の幅広い展開。ひと手間かけるメニューを中心に構成していることもあって、あくまでも調理用としての区分けで棚割りが行われているようである。

加工肉は3尺の展開で、デイリー部門のため、精肉とは別のコーナーとして構成されている。下段は大容量の袋物で、中段には他のまいばすけっとでは取り扱いを見ない「MEAT chef」ブランドアイテムを取り扱っていた。「MEAT chef」は、イオン系のプライベートブランド(PB)の中でもディスカウント系のパレッテなどで展開されているアイテムである。
一方で、例えば日本ハムのシャウエッセンの取り扱いはなく、PBを意識した展開になっているのが分かる。青果では、相場高の影響はあったかもしれないが、それでも低価格の訴求は一部のみにとどめているのに対して、加工肉は割安感を意識した構成になっている点は注目したい。
また、加工肉とは異なる位置で、ワインなどと関連販売する形で生ハムやローストビーフなど即食系アイテムを展開しており、精肉関連のアイテムは充実している。

青果とは微妙に異なり、加工肉の低価格訴求が目立った。こうしたスタンスは、若年層が多いという強みを生かすまいばすけっとならではの施策といえるかもしれない。
青果においては、質を追う果物に加えて、オーガニックやカットキノコ類の差し込みで野菜の特徴をアピールしている。鮮魚においては、無理に新たな需要開拓を掘り起こすのではなく補完的な展開に徹している。
精肉においては、パック肉や即食系アイテムの充実に加え、加工肉の低価格重視でめりはりのある構成と、拡大している部分に部門ごとの特徴を出していた。
これに加えて、青果、鮮魚、精肉、それぞれで冷凍アイテムの充実を図り、他店との違いを明確に打ち出そうとしている。生鮮ではついで買いの需要で接点を作りながら、品揃えの特徴を訴求することで、競合他店とは異なる来店動機を高めようとしているのではないか。
生鮮の中でもトップバリュをはじめとするイオン系PBを活用しており、オーガニックや冷凍食品、価格訴求と、様々な面で効果を発揮している。単なる低価格訴求ではなく、部門ごとに立ち位置が明確になっている売場づくりと言えよう。