パーソナライズとは?意味や広告、マーケティングなどにおけるメリットや活用について解説
2024.07.31
2023.06.14
パーソナライズとはインターネットの普及やIT技術の進化によってマーケティングの分野で注目されてきた手法である。パーソナライズすることで、顧客一人ひとりのニーズを読み取り適した情報を提供でき、効果的なマーケティング施策が取れるだろう。パーソナライズのメリット・デメリットや具体的な事例について解説する。
パーソナライズの意味とは
パーソナライズとは、一人ひとりの好みや嗜好に合わせて商品やサービス、コンテンツなどを提供することをいうマーケティングの手法である。英語でもパーソナライズは、person(人)の形容詞でpersonalizedとなり特定の個人に向けられたり作られたりしたもの、または調整されたものなどの意味がある。
従来のマーケティングの手法では、不特定多数のターゲットに向けてテレビCMやDMを送るなどのやり方が一般的であった。しかしインターネットやスマートフォンの普及によって、より個々の好みに合わせたものをピンポイントで発信することでコンバージョン率を上げるなどの効果が期待でき、現在主流となる施策である。
パーソナライズがマーケティングで重要視される理由
パーソナライズが重要視されるようになったのは、マスマーケティングの限界と消費者のニーズが多様化したためである。以前のような不特定多数に向けたアプローチでは、物やサービスを売るのが難しくなってきているのだ。また消費者自身によって多くの情報を入手できるようになったため、ニーズが多様化したことも要因だろう。それぞれ詳しく解説していく。
インターネットの普及
パーソナライズが重要になってきた一因として、インターネットの普及が大きい。消費者は、パソコン以外にもタブレットやスマートフォンなどを使って、個々にさまざまな情報を得られるようになった。マスマーケティングで発信される情報だけではなく、欲しいものや興味のあるものを自ら探して手に入れられるようになったのである。
インターネットの普及によって消費者の購買意欲と満足度を高めるためには、より一人ひとりにあった商品やサービスを提案する必要が出てきたのである。
IT技術の進化
IT技術の進化もパーソナライズを促進した理由である。AIやデータサイエンス、機械による学習などがビジネスに取り入れられるようになり、顧客の行動を詳しく推測したり分析したりできるようになった。データを元に一定のパターンを作ることも可能だ。
顧客にとってもIT技術の進化によって、購入前にさまざまな体験ができるようになり、商品やサービスに対する知識を持てる。画一的な宣伝広告では、顧客は興味を持たなくなっている。そのため、顧客のニーズや嗜好、行動パターンに合わせたパーソナライズが必要とされているのだ。
BtoBとBtoCでのパーソナライズの違い
パーソナライズは、法人向けのBtoBと個人向けBtoCどちらにも使えるが手法が異なる。
BtoBの場合、購入までの期間が長く複数の人が関わる。インターネットの普及によってBtoBのビジネスでも顧客は事前に詳しいリサーチをしており、営業がアプローチする前に購買候補を絞ったりすでに購買する前提で話を聞いたりするケースも少なくない。
そのため、BtoBでも顧客が検討段階にいる時点でセグメントをして、パーソナライズで顧客にとって利益が得られる情報を先に提供し、競合よりも早く手を打つ必要があるのだ。
個人を対象としたBtoCビジネスの場合は、検索エンジンの検索KWを元に広告を表示したり、ECサイトで商品をかごに入れた段階で類似した商品を表示したり、おすすめ商品をメールやLINEで配信するなどの手法でアプローチができる。
パーソナライズを行うメリット
パーソナライズを行うことは、顧客獲得する以外にもさまざまなメリットがある。企業にとってだけではなく、顧客側にとってもメリットがあるため、パーソナライズ化することで顧客の満足度を高めて、より深い信頼関係を築けるだろう。
顧客の囲い込みができる
パーソナライズで顧客との信頼関係を築けば、既存の顧客をリピーターへと育てられる。口コミや実際に商品やサービスを利用した顧客の声を活かしてさらにクオリティを上げたり新商品を開発したりすれば、商品やサービスの継続利用に繋がるだろう。顧客単価のアップも期待できる。
また、顧客一人ひとりに適した限定商品の案内やクーポンの配信などの施策も有効だ。パーソナライズした情報を提供することで、顧客も特別視されていると感じ、満足度が高まるだろう。
リードを獲得できる
パーソナライズで、消費者の動向や属性などを細かく分析することで、消費者自身が気づかないニーズも探り当てられる。たとえばパーソナライズで消費者それぞれの関心や興味のあることを把握し、潜在的な欲求に応えるような動画やコンテンツを配信すれば、まだ自社の顧客になっていない段階のリードを獲得できるだろう。
自社の商品やサービスを知らなかい消費者に対してアプローチできる点は、パーソナライズの大きなメリットである。
顧客とコミュニケーションが取れる
パーソナライズで顧客一人ひとりのニーズを把握した上で情報やサービスを提供することは、顧客とのコミュニケーションの活性化にもつながる。
口コミに対するお礼のコメントやそれぞれの顧客に合った適度な情報提供などは、企業と顧客1対1のやり取りになるため、顧客はVIP扱いのような特別感が得られる。また企業にとっても一人ひとりの詳しい意見や感想が得られるため、商品開発やサービス向上に役立てられ、より顧客が求めるものを提供するきっかけとなるだろう。
マーケティング施策が効率的になる
パーソナライズで、効率的なマーケティング施策が行える。パーソナライズでは、一人ひとりの顧客のさまざまな情報を収集しあらゆる角度から分析できる。不特定多数の顧客の情報として扱うのではなく、個人の情報を取り上げて分析できるため、情報の精度も高まり個々の顧客が必要としている情報やコンテンツを提供可能になるのだ。
パーソナライズするときの注意点
パーソナライズは、メリットだけではなくデメリットもある。効果的に一人ひとりの顧客へ最適な情報やサービスを提供するためにも、注意すべき点を理解し有効に活用したい。
情報が偏る場合がある
顧客の嗜好や興味のあることなどを分析し、それに合った情報を提供できるのがパーソナライズのメリットである。しかし、似たような情報ばかりを提供していると偏りが出て、顧客が得られる情報も限られてしまう。
同じような情報ばかりが発信されると、情報が抑制されていると思われることがあり、顧客が離れる原因にもなるので注意が必要である。
SEO対策とのバランスを取る
オウンドメディアやブログなど自社のコンテンツを多くの人に見てもらうためには、SEOが必要になる。しかし、検索エンジンの上位に表示されることを重視ししすぎると、ユーザーが必要としている情報とコンテンツの内容が乖離してしまう可能性もある。
顧客のニーズは汲み取りつつSEOを意識しながら、顧客にとって役立つ情報を盛り込んだコンテンツを作成することが大切になるだろう。
顧客のニーズと離れてしまうこともある
パーソナライズで顧客ニーズにあった情報を提供する際には、情報の鮮度に気をつけよう。多くの情報が溢れている現代では、顧客のニーズや好みも日々変わっていく。顧客の動向を常にチェックしながら、提供する情報もアップデートし続けなければいけない。
顧客のニーズに沿わない情報を発信し続けると、信頼感が低下して顧客が離れてしまう可能性もある。
アナログの手法はコストがかかる
パーソナライズは、デジタルの手法だけではなく従来のダイレクトメールなどのアナログ手法にも使える。ただし、アナログのほうがデジタルよりもコストがかかることを認識しておこう。ダイレクトメールの場合は、印刷費や郵送費が必要となる。また、新しい商品やサービスの案内であれば、新たなデザインのものを用意するためのコストもかかるだろう。
アナログの手法を用いる場合は、あらかじめ費用対効果を考えたうえで、どの層をターゲットにするか決めるのがおすすめだ。
パーソナライズの事例
パーソナライズを取り入れたマーケティングの事例をいくつか紹介しよう。すでに実際に何度も使っている身近なものが多く、パーソナライズと気づかずに利用しているケースも少なくない。
SNS
TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSは、スマートフォンの普及とともに急速に広がったツールである。それぞれ個人が自ら情報を発信したり、興味のある人や情報をチェックしたりできる。SNSにはフォローした人の情報だけが表示されるのではなく、広告も含まれる。この広告は、パーソナライズされた情報である。
SNSの広告は、自分が設定した個人情報やフォローしているジャンルなどに基づいて送信されている。さらに、「知り合いかも」や「おすすめユーザー」として表示されるアカウントもパーソナライズの1つである。
ネットショッピング
ネットでのショッピングはすでに一般的だが、ネットショッピングにもパーソナライズ施策が取り入れられている。商品やサービスをチェックしているときに表示される、「ほかの人はこちらの諸品もチェックしています」などの表示は、レコメンド機能といわれるパーソナライズの手法である。
ユーザーの購入履歴や閲覧履歴などさまざまな情報から、顧客が買いそうなおすすめ商品を表示する。購入前、商品をカートに入れたタイミングで表示することで、顧客の購買意欲を刺激できるだろう。
Amazonや楽天などインターネットショッピングにおける商品レコメンドに限らず、Airbnbやなどの旅行サイト、Netflixなどの動画視聴サイトにおいても個人の利用履歴、属性データをもとにしたレコメンド機能は実装されている。
キュレーションメディア
キュレーションメディアとは、ネット上に掲載されている顧客が興味のあるテーマやジャンルのニュースを選んで表示するプラットフォームをいう。キュレーションメディアでは、SNSのアカウントと連携することでユーザーが知りたいであろう分野をパーソナライズして、優先的にニュースを配信する。
キュレーションメディアによっては、ユーザー自身が表示されるニュース内容をカスタマイズできるものもあり、顧客満足度向上に役立つ。
個人向け運動プログラム
ユーザーの活動データ(例:歩数、消費カロリー、心拍数)に基づいて、パーソナライズされた運動プランや目標を設定する。さらに、個々のユーザーの健康状態や目標に応じたトレーニングプログラムを提供し、継続的にモニタリングとフィードバックを行い、改善のサイクルを回す。
パーソナライズでOne to Oneのアプローチを
パーソナライズとは、一人ひとりの顧客の趣味や嗜好に合わせて適切な情報を提供するマーケティング手法である。顧客の囲い込みや潜在顧客の獲得などにも役立つ、現代では欠かせない施策である。
顧客のニーズは常に変化しているので、データを分析しながら鮮度の高い情報を提供し続けることで顧客と信頼関係が築けるようになり、顧客の満足度向上や収益の増加に繋げられるだろう。”