ロジスティクスとは?導入で得られるメリットと物流との違いを解説

2022.04.22

2021.08.27

ロジスティクスとは、顧客や市場のニーズに基づき、物流機能だけでなく、生産や販売といったモノの流れ全体を一元管理して最適化・適正化を図る仕組みを指す。

ロジスティクスを取り入れる目的・メリットは、品切れ防止、物流の効率化、在庫の適正化、コストの削減、営業活動の支援などが挙げられる。多様化するニーズに対応するには、積極的な業務改善が必要である。

ロジスティクスの用語の意味と仕組みをわかりやすく解説

ロジスティクス(logistics)とは、もともと戦場において、戦闘部隊の後方で軍需品や食料、人員などの補充、または輸送、管理、連絡線の確保といった支援業務を行う機関・活動・任務を総称した兵站(へいたん)を意味する。「兵」は兵隊を、「站」は中継点や駅を指す言葉である。

兵站は戦略(Strategy)、戦術(Tactics)とならぶ三大軍事用語の一つであり、戦争では作戦(operation)を核として、ロジスティクスの確保が重要視されている。軍事におけるロジスティクスの概念が一般的に用いられるビジネス用語に転用したものである。現在経営分野で用いられるロジスティクスの意味と仕組みをわかりやすく解説する。

ニーズに合わせて生産と流通を一元管理

ロジスティクスは、顧客や市場のニーズに合わせて、物流の機能から生産、流通までを一元管理して最適化・適正化を図る仕組み、システムのことを指す。生産と流通を分けて考える物流とは異なり、モノの流れ全体を連携させて、情報の共有が図れる特徴をもつ。

物流の各機能を高度化し、一連のプロセスを統合することで、需要と供給を適正に保ち、顧客満足度の向上を目的とする。複雑化する物流管理を自社だけでなく、パートナーに委託する3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)といったアウトソーシングサービスもある。

ロジスティクスを正常に機能させるには、買い手の立場に立ったマーケットインによる売れ筋情報の把握、調達や生産、販売といった物流全体のコントロールで適正在庫を維持、タイムリーに市場に提供できる物流システムの構築などを行う必要がある。

ロジスティックと物流、ロジスティクスとの違い

ロジスティクスと混同されやすい言葉に挙げられるロジスティックや物流は、厳密には同義語ではなく、ロジスティクスの一部が物流といえる。

ロジスティックとは、物流の意味もあるが、記号論理学で使うロジスティック回帰分析やロジスティック方程式、ロジスティック関数、ほかにも事業計画といった意味合いが強い。物流とは、英語のphysical distributionを直訳した物的流通を省略した言葉で、「商流」や「金流」とともに、流通を構成している。

物流の流れには輸送、保管、荷役、包装、流通加工、情報の6つの機能があり、生産と消費の空間のギャップと時間のギャップを埋めることが目的となる。物流の機能に加え、調達物流、生産物流、販売物流、回収物流、消費者物流といった5つの領域も存在し、これら商品の供給に関わるプロセスを一元管理するのがロジスティクスである。

ロジスティクスの目的と導入で得られるメリットとは?

ロジスティクスを導入する目的・メリットには、品切れ防止、物流の効率化、在庫の適正化、コストの削減、営業活動の支援などがある。事業全体を多方面から総合的に捉えることで、あらゆるコストを抑えて、収益を向上させることが狙いである。

現代は販売すれば売れる時代ではなくなり、企業間の競争も激化している。多品種少量消費の時代は、必要な商品を必要な時期に、必要な場所に必要な数量だけ、消費者に提供していく必要がある。これらロジスティクスの目的と期待できるメリットについて詳しく紹介する。

調達計画で品切れを防止

ロジスティクスは原材料や商品の調達にも関与するため、部品の欠品や発注もれなどで品切れを起こせば、機会損失を招く可能性もある。原材料の供給が間に合わず、欠品が生じてしまうと、生産ラインが止まり、生産計画が狂うことになる。

社内でロジスティクスがきちんと整備されていれば、前もって正確な調達計画が立てられるので、品切れは回避できるだろう。販売の機会損失を防ぎながら、顧客との信頼関係を築く上でも重要な取り組みだ。

生産・保管・輸送計画で物流を効率化

ロジスティクスにより、立案された生産計画や保管計画、輸送計画で物流全体を総合的に見直せるため、物流効率化の施策が実施できるようになる。物流拠点を集約して、輸送効率を改善したり、大量輸送を促進したりする取り組みも可能となるだろう。

またモノとインターネットがつながることで、情報共有がリアルタイムで行えるので、業務指示や判断、操作の標準化とともに、省人化も期待される。

業務の効率化には、作業を機械に任せて自動で処理を行う自動化や、1人当たりの作業量を減らす省力化といった手法も用いられている。余計な作業負担や無駄を削減することも、ロジスティクスの目的のひとつである。

販売・在庫計画で在庫を適正化

生産計画や販売計画を立てるには、関係先企業との連携体制が必要になるが、社内でロジスティクスを確立し、販売計画や在庫計画に正確な需給予測を反映させることで、在庫の適正化が図れる。

部品欠品や発注もれが防げるので、適切な計画・管理が行われるようになり、過剰在庫の抑制にもつながる。

どんなに需要がある商品であっても、作り過ぎて供給が上回われば、売れ残りが生じてしまい、余剰在庫で不要な労力も奪われる。顧客のニーズが多様化する昨今では、不良在庫が発生しやすいこともあり、販売・在庫計画で在庫を適正化することは、最適な在庫戦略といえる。

物流全体のコストを削減

物流全体の効率化を図ることで、あらゆる物流のコスト削減が可能になる。ロジスティクスで徹底した管理がなされるので、適正な在庫の維持と必要な分だけ商品が生産できるようになる。

無駄な生産で余剰在庫を抱えてしまった場合、材料費だけでなく、輸送費や保管費など、物流全体のコストを高める原因となる。

また各工程で発生するコストを明確に可視化すれば、負担となっている業務プロセスや問題点を洗い出せるため、コスト削減とともに、業務改善も図れるだろう。

ただ発生するコストや経費削減を追い求めるあまり、物流サービスの質が下がるようでは意味がない。コスト削減は一部の組織だけで行うのではなく、全体で考える必要がある。

営業活動の支援

営業の負担軽減もロジスティクスが担う領域である。ロジスティクスを取り入れていない企業では、営業部門が在庫管理を兼任していることが多く、営業活動に専念できないデメリットが見受けられる。

また物流の現場にいない営業担当が在庫を取り扱うことは、在庫の精度からしても差異が生じるリスクが考えられる。ロジスティクスが社内で確立されれば業務の負担は軽減され、本来の営業活動に集中できるようになるので、会社への貢献度が上がる。

在庫数や出荷動向、取引データがどこにいても把握できるように、情報も一元化しておけば、マーケティング活動にも役立つだろう。在庫管理のプロであるロジスティクス部門と物流部門、営業部門が連携することで、生産性が高まるのはもちろん、さまざまなデータの正確性・信頼性が生まれるのである。

ロジスティクスの重要性と今後の動向

年々複雑化する物流を取り巻く環境を整備するには、無駄をできる限り排除し、いかにシンプルにできるかがカギとなる。

これまで企業の成長を支えてきた大量生産・大量消費の時代は終わりを迎え、デジタル化の進展とともに、より消費者ニーズは多様化・個性化している。企業や消費者が求める利便性の高いサービスを提供していくためには、WMS(倉庫管理システム)やRPA(業務の自動化ツール)などのITシステム、自動運転やドローン、AI、IoTといった最新テクノロジーの活用が重要になってくる。

個人宅への配送件数の増加によるドライバーの負担や人手不足を解消する対策として、複数の事業者間で連携して荷物を届ける共同配送も注目されており、トラックの積載効率の向上や物流コストの削減などが見込める。

今後総合的なロジスティクスシステムの構築が肝要となるため、多くの企業で環境にも配慮したロジスティクスの取り組みが強化されるだろう。

ロジスティクスで物流の諸機能を高度化しよう

物流は人間の生活や企業活動を支える重要なインフラの機能を持っている。昔に比べ、現代では物流やロジスティクスは重要度や影響力が増しており、より徹底したリスク管理・回避が求められるようになった。

多様化・複雑化する顧客・消費者のニーズに応えるべく、さまざまな課題を解決するには、ロジスティクスの視点から積極的な業務改善が必要になってくる。

近年ではコスト削減や効率化を図るために、物流アウトソーシングを導入する企業も増えているが、メリットだけでなく、デメリットもしっかり把握したうえで、検討することが重要である。

物流の各機能を単体で最適化するだけでは設定した目標の達成は難しいため、諸機能を連携させて、一連の流れ全体を効率化・高度化した物流システムの構築が望まれる。

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