トライアルが次世代型店舗「トライアルGO脇田店」オープン、売場カメラと電子棚札連動による「自動値下げ」を実現

2022.04.25

2022.04.20

トライアルホールディングス傘下のトライアルカンパニーは4月20日、IT技術を導入した次世代型スマートストアの「トライアルGO脇田店 in みやわかの郷」をオープンした。

福岡県宮若市との官民連携協定による共同事業の一環で、地産地消、産地産直にこだわった農業観光振興センター「みやわかの郷」への出店。同日には3つのレストランが営業する物販と飲食の融合店の「グロッサリア」もオープンしている。

施設は宮若市が保有し、トライアルは連携協定によって運営権を保有している形となる。

トライアルグループ内の「スマートストア」は「IoT(モノのインターネット)機器やAI(人工知能)技術を導入し、データの利活用をもとに新しい購買体験を提供したり、効率的な運営を可能にしたりする店舗形態」を指すという。

今回、トライアル店舗として初めて「24時間顔認証決済」を導入。セルフレジ決済が可能、かつ顔認証時の年齢確認が不要となっている。トライアルによると、これは日本初の取り組みになるという。ただし、オープン当初はトライアル従業員および宮若市関係者のみの利用となる。

また、寿司、惣菜、弁当売場の売場カメラと電子棚札が連動するAIでの「自動値下げ」も実現。これもトライアルによると世界で初めて実現したとしている。

売場カメラで棚をモニタリングすることで近隣のトライアルの母店から脇田店に1日4便の配送を行う取り組みも実施。脇田店は売場面積300坪だが、その運用によって順次、1200坪分の店舗と同等の品揃えを目指す。

カメラについては、農業観光振興センター「みやわかの郷」についても、産直カメラを設置することで商品を出荷している人が自身のスマホのアプリで商品、売場を確認することができる他、売上げについても4時間ごとの更新によってメールで共有可能となっている。

また、脇田店では、今年3月9日に田川店(福岡県田川市)に店舗初導入となった「次世代型スマートショッピングカート(SSC)」を40台導入した。同店では、有人決済を減らし無人決済を増やした運営することで、将来的な無人店舗運営に向けた省人化、ローコストオペレーションを次のレベルへ引き上げていくとしている。

「自動値下げ」は、これまで電子棚札の導入と併せ導入が模索されてきたが、なかなか実際の運用に至る企業が登場していなかったことからも、今回、実現に至った意義は大きい。時間ごと価格を変動させるダイナミックプライシングにもつながる取り組みといえ、今回の運用にも期待がかかる。

自動値下げも含め、決済についても無人決済をさらに進めたことで、人手不足が深刻化する中での店舗運営の一層の効率化という面でも注目の店といえる。

アマゾンが、アマゾンゴーから始まった「ジャストウオークアウト(店を出るだけ)」の技術を大型のスーパーマーケットタイプの店にも拡大する中、それとは異なった形の店舗運営効率化の模索事例として、今後、小売業界に与える影響も大きいはずだ。

トライアルGO脇田店へ導入するIoT技術一覧

①酒販売の年齢確認を不要とする24時間顔認証決済

「24時間顔認証決済」はセルフレジ決済が可能、かつ顔認証時の年齢確認が不要となっている。特許出願中。オープン当初はトライアル従業員、宮若市関係者のみの利用。画像はイメージ

②カメラと電子棚札が連動する「自動値下げ」

寿司、惣菜、弁当売場の売場カメラと電子棚札が連動したAIによる「自動値下げ」を実現。また売場カメラで棚をモニタリングすることで近隣のトライアル母店から1日4便の配送を実施。300坪の売場面積でも1200坪分の店舗と同等の品揃えの実現を順次目指す。こちらも特許出願中。画像はイメージ

③産直カメラで情報共有

店内に産直売場カメラを設置することで農業観光振興センター「みやわかの郷」に出荷している人が自身のスマホのアプリで商品、売場を確認することができる。4時間更新で売上げもメールで共有可能。画像はイメージ

④次世代型スマートショッピングカート(SSC)

次世代型SSCは、小柄な人、高齢者も含むさまざまな利用者のUX(使用者体験)向上を目指し、「軽い」「画面が見やすい」「商品を入れやすい」設計とした。加えて商品のスキャン漏れを防止する自動検知アラームの装置、お客の属性や購買履歴などのデータを活用して1人1人に最適な商品をAIが選択し、タブレット上でお勧めするレコメンド機能も搭載

トライアルGO脇田店概要

所在地/福岡県宮若市脇田355

オープン日/4月20日

営業時間/24時間

取扱商品/生鮮食品、食品、弁当・惣菜、酒、日用品、他

駐車場/有

お役立ち資料データ

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