フードスクエアカスミバイユー江戸川松江店が11月15日オープン、めりはり品揃えで挑む都内3店目
2024.11.18
カスミは、11月15日、東京都江戸川区松江の商業施設であるBy-U(バイユー)江戸川松江内にフードスクエアカスミバイユー江戸川松江店をオープンした。
鉄道駅はJR新小岩駅が北方面に、都営新宿線の船堀駅が南方面にあるが、いずれの駅からも2km前後離れている。公共交通機関では都営バスの東小松川一丁目バス停から200m強、徒歩約5分といった距離で、駐車場もあるものの有料ということで、商圏としては近隣住民がメインになるとみられる。
車でのアクセス面では首都高速7号小松川線小松川I.C出口から新小岩方面に車で約5分といった位置関係。
By-U江戸川松江は、カスミの他、同日オープンの無印良品、ドラッグストアのクリエイトからなる日常生活に対応する小型の近隣型(ネイバーフッド)ショッピングセンター。コカ・コーラの工場跡地ではあるが、建物が密集する地域にある。
同じユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスに属するマルエツの松江店(東京・江戸川)が200mほどの至近にあり、グループ内競合が発生している。
目次
細分化が求められる分野では品揃えを強化、めりはりを付ける
今回の出店で全社196店体制となるカスミとしては東京都内3店目ではあるが、東京都の東端にあることから埼玉県や千葉県の既存店ともそれほど離れていない。同社としては飛び地出店ということではなく、周辺から都内にじわじわ攻め込むための一手といった位置づけになるという。
江戸川区は子育て支援のサポートが手厚いこともあって商圏内には40代~50代の子育て中のファミリー層が多い。また、古くから住むシニア層も一定程度いることから、「カスミが今後、狙っていくターゲットを考えてもチャレンジしがいがあると考えた。無印良品、クリエイトも入っていることから、カスミの食品だけではなく、いっしょに出られるという複合性があることもポイントとなった」(塚田英明社長)。
同店オープンの2週間前、11月1日にオープンした八潮大曽根店(埼玉県八潮市)は、「フードスクエア」フォーマットのスタンダード「タイプA」であったが、今回のバイユー江戸川松江店も同じく「タイプA」となる。ほぼ同時期にオープンした同じフォーマットの2店ということで、内装や売り込み商品など共通している要素も多い。
一方で異なる点もある。八潮大曽根店がドミナント固めのために日常使いのために商品を絞り込むなど既存店と差別化したのに対し、バイユー江戸川松江店は新商勢圏でもあり、ほぼ認知度もないことから、「品揃えの特徴をしっかりお客さまに訴えることが必要ではないかと思って、いつもとは違うチャレンジもしている」(塚田社長)。
バイユー江戸川松江店は商品の絞り込みはせず、1639㎡(約496坪)の売場に1万2490SKUを品揃え。1万648SKUを1898㎡(約574坪)の売場で展開していた八潮大曽根店と比べても、より狭い面積に2割弱多い種類の商品を展開していることになる。
SKU数、売上高構成比
「めりはりとしては、メニューによって細分化した機能が求められるところ、あるいはし好性の高いところには特化して増やした」(塚田社長)
それを強調するため、あえてスパイスやドレッシングを青果の主通路上に配置。同様の配置を新フォーマットのBLΛNDEブランデでも実施したが、好評だった商品を今回、展開している。
また、同様の意図で、第1主通路に接するゴンドラ側の棚を常温ゴンドラにした上で、調味料系の商品を展開。カスミを含む多くの店では、この場所には冷蔵ケースを置き、和日配などを展開しているが、今回、和日配は主通路上の島型のケースに特化し、生鮮食品との連動を図っている。
また、最近の既存店では植物性由来の商品を展開していた青果売場のゴンドラ側のゾーンでは、今回は青果との関連もあるということでナッツやドライフルーツ、ドライベジタブルなどを持ってきている。
強化部門を前面に打ち出すことで、「お客さまに、『どこに特徴があって、どこの品揃えがたくさんあるか』を認知してもらいたい」(塚田社長)との狙いからだ。「(調味料のゴンドラを主通路側に)出すことはなかなかないが、試してみる」(塚田社長)
カスミでは、生鮮強化の流れの中で平台を2列に並べるなど、第1主通路広く取るようになってきている。そうなると、どうしてもゴンドラの加工食品のスペースが狭くなりがちになる。
「この店は通常の店舗よりも売場面積が狭いため、ゴンドラの本数は200本しかない。その分、(ゴンドラの)外に出すことで、めりはりを付けている。どこででも買えて、品揃えの幅もそんなに必要とされていない機能については売場を広くしていないが、一方で料理用途のし好性の高いところは増やしている」(塚田社長)
スーパーマーケットとして、提供価値をもう一度見直す
バイユー江戸川松江店の具体的な売場づくりでは、まず、鮮魚コーナーでは鮮魚部門が手がける「魚河岸の鮨」コーナーを展開。
その他、骨取り魚や熟成漬け魚なども豊富に展開する。
惣菜コーナーでは、店内製造の手作りおにぎりや弁当で豊富な品揃えをする他、揚げ物やてんぷらなどではばら販売を実施。
青果コーナーでは、素材の野菜や果物の他、店内加工のカットフルーツ、フルーツタルト、サラダなどを展開。
主通路の最終コーナーにはインストアベーカリーのDELY BREADをしっかり設置。店内で焼き上げる出来たてのピザやデニッシュなどと併せ、コーヒーやパスタ、スイーツなどをバイオーダーで提供するなどグローサラント機能も付加し、「居心地の良い空間の提供」に努める。
売場面積も限られる中、イートインの席数は29席分設ける(写真はオープン日のため、縮小していた)。
Scan&Goアプリを使用したOrder&Eat(オーダー&イート)も導入。店内でアプリからカフェメニューを注文できる。注文端末も店内に設置し、こちらからも注文できるようにしている。
一方で、品揃えでめりはりを付けつつ、価格面でも加工食品を中心にイオングループのプライベートブランド商品であるトップバリュを活用。実際、トップバリュはよく売れているという。今後さらに活用度合いを高めることも視野に、価格の打ち出しの技術ももう一度、きちんと磨きたいという。
サービス面では既存店同様、クッキング・コミュニケーションコーナーを設置し、店内で販売する旬の食材を使った料理の実演とメニュー提案を実施。商品選択に役立つ情報など、食に関する専門的な情報の提供に努める
特に接客については、セルフレジの導入が進む中で失われている部分もあると考え、接客のための商品知識の動画を作成し、観てもらうようにするなど機能として重視している。
他、アプリなどで注文し、自宅や配送エリア内の指定先への配送、もしくは店頭で商品を受け取ることができるネットスーパーサービスの「Online Delivery(オンラインデリバリー)」も25年1月から開始予定となっている。
「スーパーマーケットとして、もう一回、自分たちが提供する価値を見直している。やはり個店は隣の店を越えてでも来るような魅力が必要だと思っている。それには機能的なところも必要なので、やはりもう一回、鮮度や品質にはこだわりたいと思っている。それには基準をもう一回、見直すしかないと思っている。組織としての在り方、役割、基準を全部いま、見直し、具体的に『これだから鮮度が良いのですよ』と言えるものを作りたい。品揃えの幅についての基準も作っている」(塚田社長)
実際、カスミでは既存店客数は前年を超えているが、既存店売上高はその数値より2%ポイント程度低くなっている。1品単価は変わらない。つまり、その要因は買上率が下がっていることによる。
「買い控えしていることはあるのではないか。そこにちゃんと向き合う。そのために手を打っていきたい」(塚田社長)
フードスクエアカスミバイユー江戸川松江店
オープン日/2024年11月15日
所在地/東京都江戸川区松江1-13-2
電話03-5678―9753
店長髙木佳和(たかぎよしかず)
営業時間/9時~21時45分
売場面積/1639㎡
駐車台数/109台(商業施設共有有料)
駐輪台数/188台(商業施設共有無料)
年商目標/24億円
従業員数/正社員21人、パ-トタイマー、アルバイト94人(7.75時間換算)
主要商圏/2万4117世帯5万1888人、1次商圏4333世帯9267人(0~350m)、2次商圏3469世帯7352人(350~500m)、3次商圏9452世帯2万10人(500~750m)、4次商圏6863世帯1万5259人(750~1km)