VR(仮想現実)とは? ビジネスや医療などにおける活用事例を交えて解説

2022.04.22

2022.02.14

専用のデバイスを利用し、仮想現実を体験できる「VR」。エンタメ業界で活用される機会の多かったVRだが、昨今では新型コロナウイルス感染拡大の影響も受け、不動産業界、アパレル業界、レジャー業界など、活用の幅は広がっている。

本記事では、VRの概要やAR、MRとの違い、技術の仕組み、活用事例を網羅的に解説していく。

VR(仮想現実 )とは?

VRとは、「Virtual Reality」の略で、日本語では「仮想現実」を意味する。専用のVRゴーグル(立体眼鏡)を装着することで、自分の目の前に広がる現実世界とは別世界の光景が映し出され、あたかもその世界にいるかのような体験ができる。

ここでいう別世界とは、本質的には現実世界であるが、自分が体験可能な世界を超えていることも多い。例えば、VRで絶景スポットを巡るという実現可能なコンテンツもあれば、コックピットで飛行機を操縦するという実現困難なコンテンツも存在する。場所を選ばず、さまざまな世界を360°で疑似体験できるのが、VRの魅力だ。

VR映像には、大きく分けると視聴型、参加型の2種類がある。視聴型とは、頭の向きを変えながら、上下左右のVR映像を楽しむだけのタイプ。一方、参加型とは、VR映像内を自由に動き回る、物体に触るといったことが可能なタイプだ。

視聴型のVR映像では、純粋に娯楽映像を楽しむだけでなく、企業プロモーションや教育用コンテンツにも活用されている。対して、参加型のVR映像は、自身の動きを加えたゲームや医療シミュレーションにも採用。一般消費者には、エンターテインメント性の高い技術という印象があるかもしれないが、ビジネスにおいてもVRの導入は進んでいる。

AR、MRの違いとは?

同じバーチャルな要素を取り入れる技術として、AR、MRが存在する。ここでは、混在されやすいAR、MRと、VRの違いを解説していく。

VRとARの違い

ARとは、「Augmented Reality」の略で、日本語では「拡張現実」を意味する。VRとの大きな違いは、現実世界をベースに、デジタル情報を融合している点だ。

ARは実際にユーザーが見ている現実世界に対し、デジタル情報を重ね合わせ、バーチャルな世界を実現する。大人気アプリの「ポケモンGO」も、スマホ越しに見える現実世界に、立体的にモデル化されたポケモンを重ねるというAR技術が採用されている。

ユーザーの位置情報や現実世界の物体に対して、バーチャルな画像、映像をプラスして価値を高めていく。つまり、現実世界の拡張だ。

一方、VRで映し出す映像は現実世界をベースとせず、視界は完全な別世界となる。バーチャルな世界を再現しているのは同様だが、ARの一部はあくまで現実世界。非現実な世界に浸れる没入感としては、VRの方が優れているといえるだろう。

VRとMRの違い

MRとは、「Mixed Reality」の略で、日本語では「複合現実」を意味する。先述のARと同様に、現実世界にデジタル情報を重ね合わせる技術。

しかし、拡張現実の物体もコントローラーを使用せず、ハンドトラッキングで操作可能なため、ARを発展させた技術ともいわれている。ARはスマホ越しに拡張現実を再現するケースも多いが、MRは専用グラスやゴーグルを着用し、デバイス越しに複合現実を視認するのが基本。

例えば、製造業の研修中に、MRデバイスで解説画像、動画などを映し出す。実際にマシンに触れながら、目の前のマニュアルを操作できるため、研修効率の向上や人手不足の解消にもつながる。

さらに、MR映像を複数人で共有することも可能。例えば、建設業において、3Dの立体建築モデルをリアルタイムで共有し、円滑にミーティングを進められる。

ARと同様に、現実世界をベースとしたMRと、完全な仮想現実であるVRと認識しておきたい。

VRの仕組みとは?

VRでは立体映像を視聴できるだけでなく、頭を振ると映像も動く、映像内を移動、音の方向を感じられるなど、さまざまな技術が搭載されている。ここでは、VRの仕組みを見ていこう。

映像や物体を立体的に捉えられる仕組み

VRでは、両眼が離れていることにより、左目と右目で見えるものに差異が生じる「両眼視差」を利用している。

例えば、顔の正面にある指1本を片目ずつ見ると、指の位置がずれると分かるだろう。それぞれの目から見える像は、脳で合成され、立体的に見えるようになっている。

この人体の仕組みを利用し、まずVR映像では、2台のカメラを横並びに設置して、同時にVRの専用映像を撮影。

これで、左側から撮影された左目用の映像と、右側から撮影された右目用の映像の2つが撮れる。

VRゴーグルでは、内部に左目用のディスプレーと右目用のディスプレーを配置。それぞれには、左目用の映像と右目用の映像が流れる。左右の目から見える異なる2つの映像を、脳が合成することで、立体的な映像として見えるわけだ。

頭の向きを変えると映像も動く仕組み

VRゴーグルは、頭の向きを検知するセンサーを搭載している。正面を向いていると、人間の平均的な視野角である120°分の映像が表示されるが、実際には180°や360°の範囲でVR映像は撮影されている。

上下左右に頭の向きを変えると、内蔵センサーが働き、視野角以外の部分の映像も表示される仕組みだ。

映像内を移動できる仕組み

VRでは、家庭用ゲーム機のように付属のコントローラーを使用し、映像内を動き回ることができる。一方で、高度なセンサーを採用したVRデバイスであれば、人間の動きまで検知でき、コントローラーを使用せずとも映像内を動くことが可能だ。

VRデバイスには、自由度を表す「DoF」という概念が存在する。3DoFと6DoFの2種類が存在し、3DoFは頭の向き、傾きだけを検知するため、全身の動きまでは映像内に再現できない。一方、6DoFは移動、しゃがむといった動作を検知でき、よりリアルなVR体験が可能である。

音源を感じる仕組み

従来、VR映像にはステレオ音声が採用されていた。左耳用、右耳用の音声を録音することで、音の方向を感じられたが、視覚と聴覚の方向がずれる問題もあった。

例えば、VR映像において、正面から人やキャラクターに話しかけられた場合、左右の耳に入る音は均一。一方、左を向いていれば、右側から音を感じるのが理想であるが、ステレオ音声では頭の向きと音源が連動していなかった。

近年のVRでは、空間音声を採用しており、上下、左右、前後の音を多数のマイクで録音。頭の向きに合わせ、音も動くよう再現されており、音源を感じられるようになった

代表的なVRゴーグル

VRゴーグルの種類としては、大きく分けると下記3種類が存在する。

  • スタンドアローン型:VRゴーグル単体で利用できるタイプ
  • PC接続型:パソコンに接続して利用できるタイプ
  • スマホ型:スマホを差し込んで利用できるタイプ

ビジネスで活用するなら、コードレスで手軽に利用でき、性能も高いスタンドアローン型がお勧めといえる。ここでは、代表的なVRゴーグルを解説していく。

Meta Quest 2(旧 Oculus Quest 2)

ビジネス利用だけでなく、一般消費者からも高い支持を集めているのが、「Meta Quest 2」だ。スタンドアローン型で、Meta(旧Facebook)の一部門であるFacebook Technologiesが手掛けるVRゴーグルだ。

最大120Hzのリフレッシュレートで、滑らかな映像が流れるのが特徴。高リフレッシュレートであれば、映像に違和感がなく、VR酔いも起きにくい。日ごろから車や人混みで酔いやすい人には、イチオシと言える。

また、「Quest for Business」のサービスでは、ワークアカウントを利用可能。IdPやサードパーティMDMなど、充実したアカウント、端末管理機能がそろっている。

Vive Focus Plus

法人向けソリューションとして提供されているVRゴーグルが、「Vive Focus Plus」だ。6DoFの自由度で、人間の動きを認識できるが、加えてインサイドアウトトラッキングを採用している。

動きを認識する方法としては、外部にベースステーションを設置して検知する「アウトサイドイン」の方式があるが、スペースを要してしまう。一方、「Vive Focus Plus」は「インサイドアウト」方式で、VRゴーグル自体に搭載されたセンサーを利用。別途、センサーを部屋に設置する手間がない。

また、エンタープライズ機能として、キオスクモードと集中管理機能を搭載。キオスクモードでは、特定のアプリのみアクセスを可能とし、VRゴーグルのUIを簡素化できる。

集中管理機能では、複数デバイスのコンテンツを管理可能。グループ全体でVRゴーグルを活用する際に、お勧めの機能だ。

Pico Neo 3 Pro

「3664 x 1920」の高い解像度を誇るVRゴーグルが、「Pico Neo 3 Pro」だ。6GBのメモリを搭載しており、スムーズな動作を実現。上位モデルの「Pico Neo 3 Pro Eye」においては、8GBのメモリを搭載している。

また、mini-DPポートが内蔵されているため、DPケーブルを接続すれば、PCモニターやテレビに映像を出力することも可能。1台でVRコンテンツを共有したい時にも、最適といえる。

VRの活用事例まとめ

VRの技術を採用し、実際にビジネスで活用する企業は増加している。ここでは、VRの活用事例を紹介していく。

Meta「Horizon Workrooms」

出所:about.fb.com

VR会議室を構築できる「Oculus Quest 2」のアプリが、Meta(旧Facebook)の「Horizon Workrooms」だ。チームのメンバーと協働できるのが特徴で、パソコン画面、リンク、ファイルや、期限付きチェックリストなどをVR上で共有可能。ホワイトボード機能で、シームレスに文字を書いて共有することもできる。

リアル性を追求しているのも、本アプリの魅力。例えば、現実世界をVRと同期することで、パソコンのキーボードとデスクをVR内に反映できる。

さらに、メンバーの話し声を立体的かつ自然に聞けたり、体の動きを的確にVRへ反映する仕組みなど、VRながらリアルさを感じられる。在宅ワークであっても、仕事の生産性をアップでき、加えてリアル性の高いVR空間で、モチベーション維持にもつながるだろう。

三越伊勢丹「REV WORLDS」

三越伊勢丹はスマホ向けのアプリとして、仮想都市コミュニケーションプラットフォームの「REV WORLDS」を展開している。アプリ内では、新宿東口の街の一部エリアと、伊勢丹新宿店をバーチャル出店。洋菓子やワインなどが並ぶデパ地下や、婦人服のスタイリングショップ「ReStyle」などで、買物を行える。

アプリ上で商品をタップすると、三越伊勢丹オンラインストアへ遷移し、実際の商品を購入できる仕組み。スマホさえあれば、24時間アクセス可能なため、時間、場所を選ばず、好きなタイミングでバーチャルショッピングを楽しめる。

2021年の冬には、期間限定でクリスマスイベントを開催。VR空間に、クリスマス装飾や仕掛けが施され、自宅にいながら季節イベントを堪能できた。また、アバターにサンタクロースやトナカイといった、季節限定の衣装を着せ、非日常的な買物ができたこともユニークだ。

VRを活用した新しい顧客体験で、Withコロナ時代にもマッチしたコンテンツといえる。

イトーヨーカドー「バーチャル店員」

イトーヨーカドー木場店は、株式会社kiwamiのVR店員ソリューション「xR Cast」を試験導入した。バーチャル店員「イトウくん」は、イトーヨーカドーアプリのインストール、会員登録サポートや、お得な情報の発信を行う。

そして、流通業界において世界的にも初の試みとなる、裸眼3Dディスプレーを活用しているのも大きな特徴。VRゴーグルを着用せずとも、バーチャルな3D映像を体験でき、多くの消費者へ手軽にアプローチ可能となっている。

バーチャル店員で省力化を進め、人材不足の解消も期待できるVR施策だ。

三菱地所「空飛ぶクルマ」

三菱地所は、デロイト トーマツ グループ、有志団体Dream On、TMIPと共同で、「空飛ぶクルマ」の認知度向上施策の一環として、VR用体験車両の実証実験を行う。実施の背景には、「空飛ぶクルマ」の実用性と安全性を含めた一般認知、理解など、社会受容性を高めることが目的の1つである。

実証実験の流れとしては、VRゴーグルを着用して搭乗の手続きを行う。ここでは、「空飛ぶクルマ」の必要な手続きを体験しつつ、安全性、利用のしやすさなどの認知も目的としている。

搭乗中は、空からの遊覧観光など「空飛ぶクルマ」のアクティビティを楽しむ。ユーザーの理解を深めると同時に、関連する観光事業などに、ビジネス機会の可能性を示す。そして、最後に降機する。

通常の交通機関を利用した時の乗り換えの手間、移動時間の短縮といった、交通課題の解消にもつながることを、「空飛ぶクルマ」のVR体験を通して認知させていく。

東レ「HotBalloon」

東レは株式会社ジョリーグッドと共同で、発作性心房細動治療を目的とするホットバルーンカテーテルの手技を、高精細VRで再現する「HotBalloon™手技体験VR -HotBalloon™ Ablation: A VR Tour-」を開発した。新型コロナウイルスの影響で、症例見学が制限される中、VRで学習機会を創出することを目的として開発された。

病院への移動や見学人数に縛られることなく、臨床体験が可能。コロナ禍における医療教育への活用に、期待が高まっている。

また、「多接続リモートVR臨床システム」を利用し、多数の受講者が治療スタッフの視野を体験。講師は受講者にチェックしてほしい視野へ誘導することも可能であり、リモートVRながら、効率的に医療学習を進められる。

VRのまとめ

今般、VRは娯楽目的に限らず、新たな顧客体験の提供や仕事の生産性、研修効率の向上など、ビジネス目的で活用する企業が増えてきた。世界のVR、ARの市場規模としては、2021年で205億ドルであったが、2030年には4535億ドルまで伸長すると予測されている。

日本においても、VRの存在がより身近となり、生活に浸透していく可能性は十分考えられる。DX推進の一環として、VRの技術にも注目してみてはいかがだろうか。

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