東京青果、場内流通のAI動態分析による物流改善施策検討・検証を実施
2022.08.15
東京青果株式会社は、農林水産省の令和3年度補助事業として取り組んだ「場内流通のAI動態分析による物流改善施策検討・検証を、AIソリューション事業を手掛ける株式会社ヘッドウォータースの支援をもとに行った。

2021年6月15日に閣議決定された「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)」で触れられているように、「新型コロナウイルス感染症の流行による社会の劇的な変化もあいまって、我が国の物流が直面する課題は先鋭化・鮮明化」している。
特に青果物の物流においては、青果物輸送のドライバー不足を背景として、大都市拠点市場への出荷集約が進む中、東京青果の年間取扱量は年々増加傾向にあり、課題の1つとして「卸売場の狭隘化による場内渋滞」が挙がっている。
場内卸売場の運用は、限られた場所と時間の中で、東京青果社員および仲卸業者の経験に基づく工夫により実現されているものの、時によって属人的かつ部分最適な行動が見られ、商品の滞留やフォークリフト・ターレの動線混雑といった問題が発生していた。
上記の問題解決を目指して、全体最適の視点から現状の運用と課題を把握し施策を講じるために、商品配置およびフォークリフト・ターレ動線について、カメラ画像によるAI動態分析を行ったうえで、それらの最適化に向けた施策の検討・検証を実施した。

今回のAI動態分析の取り組みは、東京青果が農林水産業の補助事業として「令和3年度食品等流通持続化モデル総合対策事業」のうち「持続的サプライチェーン・モデル確立事業」に応募のうえ実施したもので、ヘッドウォータースは東京青果に伴走する形で、企画段階からAI動態分析の仕組み構築、施策の検討・効果検証までの一連の業務を支援。
肝となる商品動態分析については、大田市場内の東京青果利用スペース内にWebカメラおよびエッジデバイスを設置し、撮影した画像に基づいて商品動態をデータ化する仕組みをMicrosoft Azure上に構築したうえ、Microsoft Power BIで可視化・分析するという仕組みを構築した。

なお、フォークリフト・ターレ動線の分析については、東京青果が導入した映像解析ソフトウェア「BriefCam」を活用。
「BriefCam」は、BriefCam社(本社イスラエル)が開発したソフトウェアで、数時間の録画映像を数分の映像に要約し、様々な条件で検索・分析できるもので、キヤノンマーケティングジャパン株式会社が導入を支援した。

AI動態分析では、最終的に東京青果利用スペースの一定範囲を対象とした施策の試行と効果検証を実施し、「実施した施策が、全体の利用効率向上に繋がる」との結論を得たという。