BNPL(後払決済)とは? 利用メリットや仕組み、アプリなどを解説
2022.10.28
2022.02.09

BNPLという支払方法をご存じだろうか。BNPLとは、「Buy Now, Pay Later」の略称で、「いま買って、後で支払う」という後払いの支払方法だ。後払いというと、思い付くのはクレジットカードだ。
ネットショッピングなどで主に利用されることの多いBNPLだが、クレジットカードとの違いは何だろうか。また、どのような仕組みで支払いが行われるのか、後払いできるアプリや決済サービスを本記事で紹介していく。
BNPLとは?
冒頭でも述べたが、BNPLとは、「Buy Now, Pay Later」の略称。「いま買って、後で支払う」という後払いの支払方法のことを指す。ネットショッピングなどの支払方法でBNPLを選択し、指定された期日までにコンビニや振り込みによって支払うことで、買物ができる。サービスによっては分割払いでの支払いもできるため、高額な商品も購入しやすい。
クレジットカードとあまり変わらないような気がするが、主な大きな違いは2つある。
与信審査が簡便
後払いの代表と言えるクレジットカードは、申し込んだ人の支払い能力があるかどうかを審査する。与信審査が通るとカードが完成し、消費者はショッピングが可能になる。
小売店などに対しては、クレジットカード会社が消費者の代わりに支払いを行い、消費者はクレジットカード会社に後から支払いをする仕組みだ。
BNPLも、BNPL事業者が小売店などに消費者の代わりに支払いを行い、消費者はBNPL事業者に後から支払いをする。だがクレジットカード会社に比べて与信審査が簡便になっている。
これでは支払いの滞納が発生してしまうのではないかと思われるが、クレジットカードに比べて限度額が低く設定されており、与信審査を細かく行わなくても支払い遅延が起きないようになっている。
消費者側の決済手数料が発生しないのが主
クレジットカードでは分割払いを設定したときに、必ず手数料が発生する。しかし、BNPLでは事業者にもよるが、基本的に決済手数料はかからない。購入した商品代金だけ分割していくのだ。
クレジットカードを利用しない人にとっては、手数料が発生せず分割払いが可能になるため、高額商品の購入も検討できる。消費者が手数料を支払わない分、小売店などBNPLを導入する加盟店側が手数料を負担する仕組みになっている。
BNPL(後払い決済)のメリットとは?

BNPLのメリットは消費者側と事業者側にそれぞれある。
消費者側のメリット
カード番号入力なく、気軽に買物ができる
BNPLにはクレジットカードを介さなくても買物ができるという気軽さがある。クレジットカード番号やカード名義人などの入力はセキュリティ面から他の人に見られないようにするため、家など落ち着いて入力できる場所でしか行わないこともあるだろう。
BNPLであれば電車内や店の中など、人目が気になる環境でも決済がしやすい。また、クレジットカード番号を入力することに抵抗がある、入力するのが面倒くさいという方にもお勧めだ。
お金が貯まる前に購入できる
クレジットカードでは手数料が発生するから分割では支払いたくない、という場合、欲しいものはお金を貯めて一括で支払うことになる。
BNPL事業者にもよるが、BNPLでは決済手数料が発生しないため、お金が貯まっていなくてもすぐに分割購入できる。お金が貯まるのを待っていたら、その商品が必要なくなってしまう可能性があるが、いま、欲しいものを今、購入できるのだ。
事業者側のメリット
客層の幅が広がる
これまでクレジットカードだけの支払い方法を取ってきた事業者は、クレジットカードを作っている客層しか事業対象にならなかった。
BNPLではクレジットカードを持っていない学生の人や、事情があって作れない方、審査が通りにくい方など、さまざまな人が利用できることから、客層の幅も同じように広がっていく。
カード入力での離脱を防げる
消費者側のメリットでも述べたが、EC(電子商取引)サイトでの購入時、クレジットカードでは財布からカードを出して番号を入力するなど、どうしても手間がかかってしまうため「買うのは後ででもいいや」と離脱するケースも。しかしBNPLはメールアドレスなど最小限の入力で済む。決済時の消費者の離脱を防ぎ、購入に結び付きやすくなる。
客単価の向上が期待できる
分割払いに手数料がかからない場合、これまで「手数料がかかるから一括払いしかしたくない」という方も分割払いで高額商品を購入する可能性がある。高額商品の購入へのハードルが下がり、客単価のアップにつながる可能性もある。
BNPL(後払い決済)が利用できる決済、アプリサービス
BNPLとクレジットカードは、主に与信審査や決済手数料に違いがあるが、決済サービスやアプリによってその設定はさまざまだ。審査をすることで後払いを可能にしているものや、分割には手数料が必要なもの、銀行口座の登録や本人確認の必要があるなど、利用するサービスによって条件が異なる。
下記では、会員登録不要で気軽に使える後払いサービスから、クレジットカード同様の審査が必要なものまで幅広く紹介していく。
Paidy

「Paidy」は、AmazonやRakutenラクマ、SHOPLIST.comなど70万店を超える加盟店で使用できる。物販だけでなく、エアトリなどの航空券予約や、DMM.comといったデジタルコンテンツなど、利用できる業種が幅広い。審査はもちろん、会員登録も不要で気軽に利用できるBNPLサービスである。
支払いは、コンビニ、口座振替、銀行振込の3つ。コンビニは支払手数料が356円、銀行振込は金融機関により手数料がかかる。何度買物をしても、翌月10日にまとめての支払い。だが、請求金額が確定していればコンビニでのみ先に支払うこともできるため、翌月に支払いに行けない場合なども安心して利用できる。
利用するのに必要なもの | 特になし。口座振替の場合は登録が必要。 |
利用方法 | 支払方法でPaidyを選択。メールアドレスと携帯電話番号を入力し、SMSに送信された認証コードを入力することで決済ができる。 |
支払方法・手数料 | コンビニ、口座振替、銀行振込の3つ。コンビニは支払手数料が356円、銀行振込は金融機関により手数料がかかる。 |
運転免許証やマイナンバーカードで本人確認を行うと、「ペイディプラス」にグレードアップ。分割手数料が無料で3回後払いや、毎月の利用金額の予算を設定できるなど、利用のしやすさが上がる。
atone

ナノユニバースなどのファッションからまんが王国など、ネットショップを中心にさまざまなジャンルのお店で利用可能。住所、氏名などの会員登録をし、SMS認証をするだけで気軽に使えるのが魅力だ。
利用するのに必要なもの | 会員登録 |
利用方法 | 支払い方法でatoneを選択。ネットショップの画面から電話番号とパスワードを入力し、atoneにログイン。ポイント利用の有無を確認し、注文確定後、決済が完了する。 |
支払方法・手数料 | ・Loppi・Famiポートなど(コンビニ):翌月10日払い 手数料209円(税込み) ・電子バーコード(コンビニ):翌月10日払い 手数料209円(税込み) ・口座振替:翌月27日払い 手数料無料 ・はがき請求(コンビニ):翌月20日払い 手数料209円(税込み) |
スマホアプリから買物の履歴をすぐに確認できる。また、200円につき1ポイントのNPポイントが貯まり、貯まったポイントはatoneやNP後払い(※)での支払いや、商品との交換などに利用できる。
※NP後払い・・・atoneを提供するネットプロテクションズによる別の後払いサービス。Atoneとまた違った加盟店で利用できる(https://np-atobarai.jp/)。
ポチっとチャージ(バンドルカード)

「バンドルカード」とはアプリでアカウント登録をおこなうだけで作成できるVisaプリペイドカードのこと。アプリ上でバーチャルカードを発行し、チャージすることで利用できる。
「ポチっとチャージ」は、このチャージを後払いで行うサービスだ。今すぐにチャージができなくても「ポチっとチャージ」で先にチャージをすれば、Visa加盟店で買物ができる。
利用するのに必要なもの | バンドルカードの発行(アプリで完結できる) |
利用方法 | バンドルカードを発行後に「ポチっとチャージ」への申し込みが必要。生年月日や電話番号などを登録し、SMSで認証。アプリでチャージしたい金額を入力するとチャージが完了する。 |
支払方法・手数料 | 翌月末までに支払う。コンビニ(ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、セイコーマート)、セブン銀行ATM、ネット銀行、銀行ATM(ペイジー)から選べる。手数料はチャージ金額によって異なるため注意が必要だ。 |
ネットショッピングでは支払方法でカード払いを選択後、アプリに記載されている16桁の番号や有効期限等を入力し、決済する。また、実際の店舗ではリアルカードの発行が必要。リアルカードを発行し、レジでカードを提示すれば支払いができる。
バンドルカードのアプリから買物の明細や、支払う金額などがすぐに確認できるため、管理がしやすいのが特徴だ。リアルカードを発行するとVisa加盟店のさまざまな街のお店でも利用できる。
メルペイスマート払い

「メルペイスマート払い」は、メルペイの支払方法の一つで、メルペイの利用できる店や、メルカリで利用できる翌月払いサービスだ。メルペイコード決済に加えて、id決済に対応している店であれば使える。
使用できる店はイオンやイトーヨーカドー、トイザらス、ヤマト運輸や、またGoogle Playなどネット上など幅広い。18未満の人は利用できないサービスなので注意が必要だ。
・利用するのに必要なもの
運転免許証やマイナンバーなどでの本人確認登録
・利用方法
決済時に支払方法をメルペイスマート払いに設定し、決済する。
・支払方法
翌月1日に利用明細が通知され、清算方法を選択。翌月1日から末日までの好きな時に清算をおこなう。
自動引き落とし:11日、16日、26日のいずれかを指定。手数料無料。アプリでのかんたん本人確認が必要。
コンビニ、ATM:好きなタイミングで支払う。手数料220円~880円(支払金額により手数料が異なる)
チャージ:メルペイ残高で好きなタイミングに支払う。手数料無料。アプリでのかんたん本人確認が必要。
・その他特徴
基本的には翌月に一括しての支払いだが、「定額払い」にも申し込むことができる。「定額払い」は、メルペイスマート払いの代金を月々に分けて精算できるサービスのこと。アプリで本人確認を行い、審査に通過すると利用できる。元金と手数料の合計金額で、月々の金額を1000円から設定できる。
ファミペイ翌月払い

「ファミペイ翌月払い」は、ファミペイの支払方法の一つ。ファミペイのチャージ残高が足りなくても、ファミペイを利用でき、翌月にまとめて銀行口座からの引き落としにより支払う仕組みだ。ファミペイは、ドラッグストアやショッピングモール、ファストフードなど実店舗での利用ができる。
利用するのに必要なもの | 申し込み審査、本人確認、銀行口座の登録 |
利用方法 | 実店舗ではファミペイアプリでQRコードを提示、もしくは読み取り、決済をする。ネットでは、支払方法でファミペイを選択。ファミペイに登録している電話番号やパスワードを入力し、決済する。 |
支払方法 | 登録の銀行口座から翌月まとめての引き落とし。手数料は無料。 |
200円(税込み)につきファミペイボーナス1円相当が進呈される。また、別途手数料はかかるが、支払いを6カ月先まで伸ばす「スキップ機能」を使うと、お金の準備に時間をかけられる特徴もある。
PayPayあと払い

「PayPayあと払い」は、PayPayの加盟店で利用できるPayPayの一つの支払方法。PayPayに残高がなくても「PayPayあと払い」ですぐに決済ができ、翌月にまとめて支払いを行う。また、PayPay残高に「PayPayあと払い」でチャージもできる。また、18歳以上の人のみの利用に限定している。
利用するのに必要なもの | 申込審査、銀行口座の登録 |
利用方法 | 審査完了後に、PayPayの支払い方法に自動登録される。 |
支払方法 | 口座振替 |
別途手数料がかかるが、リボ払いや分割払いにも対応している。また、PayPayボーナスなどのお得なキャンペーンの実施もある。
BNPLは気軽に利用できる決済サービス
クレジットカードに比べて、BNPLは審査の簡便さ、カード番号の入力が不要など気軽に利用できるサービスだ。しかし、サービスの中身は事業者によりさまざまで、本人確認や審査が必要なケースもある。自分が普段からよく利用しているお店が加盟店になっているかや、決済サービスの利用にどのような条件が必要なのかを調べ、検討してみてはいかがだろうか。