電子マネーにはどんな種類がある?特徴やメリットなども詳しく解説
2022.10.05
2022.04.06

電子マネーとは、簡単にいえばデジタル化された通貨のことである。現金の代わりに電子データをやりとりして決済を行うことができる。
決済が素早く、買物のときに現金を持ち歩かなくてよいなどのメリットがあり、また新型コロナウイルスのまん延によって非接触が推奨されるようになったことも後押しとなり、電子マネーの利用が広まっている。
本記事では、電子マネーについて、改めてその概要や種類について、基礎から解説をしていく。
電子マネーとは?
近年はスマートフォンの普及や技術の発展によりキャッシュレス化が進み、さまざまな電子マネーサービスが登場している。すっかり日常生活に浸透している電子マネーであるが、そもそもどういったものなのかよく知らないまま利用している人も多いのではないだろうか。
まずは電子マネーの特徴や、クレジットカードとの違いなど、改めて、電子マネーとは何かについて見ていこう。
電子マネーの特徴
電子マネーとは、「デジタル化されたお金」のことである。硬貨や紙幣など、実物のある現金とは違い、データなので直接見たり触ったりすることはできない。店で支払いをする際に、オンラインでデータをやりとりすることで支払いが完了するという点が大きな特徴である。
そのため、支払いを行うにはスマートフォンやICカードなど、データをやりとりできるデバイスが必要となる。近年のキャッシュレス化に伴って、さまざまな種類の電子マネーが発行されており、使用者や使用可能な店舗も増えている。
クレジットカードとの違い
クレジットカードと電子マネーは、共に現金を使うことなく支払いができるが、幾つか相違点がある。
まず1点目は、決済方法のバリエーションだ。基本的にクレジットカードは後払いのポストペイ方式だが、電子マネーはプリペイド方式やデビットカード方式など、複数の決済方法がある。
2点目は審査の有無だ。クレジットカードは支払いを最初にカード会社が代行し、後日まとめてユーザーが支払うシステムになっているため、カードを作る際に審査を設けているものが多い。一方電子マネーは、事前にチャージしたり銀行口座とひも付けたりすることで第三者が支払いを代行する必要がないため、使用に審査を必要としない。
そして3点目は本人確認の有無だ。クレジットカードは、少額決済を除いて支払いの際にサインや暗証番号の入力が求められる。しかし、電子マネーはそれらが必要なく、カードを対応端末にかざしたりQRコードを読み取ったりするだけで支払いが完了する。
電子マネーのメリット
電子マネーは「現金を持ち歩く必要がない」という点が非常に大きなメリットとなる。スマホや対応ICカードのみで支払いができるので、財布が不要になり、荷物も減る。
また、支払いがデータのやりとりで行われるため一瞬で完了し、会計にかかる時間が軽減される。現金の受け渡しがなくなるため、お釣りの金額を間違えるなどのトラブルも減らせる。近年のコロナ禍において、現金などに触れずに支払いができる非接触型決済は非常に需要が高く、多くの店で導入されるようになった。
電子マネーの普及率
総務省が行った2021年の家計消費状況調査によると、電子マネーを持っている世帯は全体の65.0%、電子マネーを利用したことのある世帯は全体の53.3%であった。半数以上の世帯が電子マネーを所持しており、さらに利用したことがあるという普及率の高さがうかがえる。一世帯当たりの平均電子マネー利用金額は2万3032円となっている。
電子マネーの決済方法
電子マネーの決済方法はおおまかに下記3つの種類に分類して考えられる。
- プリペイド方式
- ポストペイ方式
- デビットカード方式
それぞれの決済方法にメリットがあるので、自分にあった方式を採用している電子マネーを選ぶとよい。ここからは、それぞれの決済方法について詳しく解説していく。
事前にチャージが必要なプリペイド方式
プリペイド方式は、事前に使う分の金額をチャージしておき、その金額の範囲内で利用するというものである。チャージした金額以上は使えないため、使い過ぎを防げる。
電子マネーやカードの種類によって、チャージできる限度額が設定されているため、限度額を超えるような高額な支払いはできない。オートチャージ機能といって、電子マネーの残高が一定額以下になると、事前に紐付けた銀行口座やクレジットカードから自動的にチャージできる機能が付いているものもある。
後払いのポストペイ方式
ポストペイ方式は、利用代金を後日まとめて支払う後払いの方式である。クレジットカードを電子マネーにひも付けておくため、プリペイド方式のように事前にチャージしておく手間が必要ない上に、残高が足りなくて支払いができない事態になることもない。
しかし、決済のタイミングと実際にお金が引き落とされるタイミングがずれるため、うっかり買物をし過ぎてしまい、多額の引き落としが発生する危険性がある。
銀行口座から即時引き落としされるデビットカード方式
デビットカード方式は、電子マネーを銀行口座とひも付けておき、決済が行われるとすぐに銀行口座から代金が引き落とされる仕組みになっている。事前のチャージが必要なく、1カ月分の支払いがまとめて引き落とされることもないため、プリペイド方式とポストペイ方式のいいとこ取りをした方式であるといえる。
しかし、プリペイド方式やポストペイ方式に比べて対応している電子マネーが少ない点がデメリットである。
発行会社によっても種類が違う
電子マネーはさまざまな種類がある。サービスによっては横断的なものもあるが、発行会社によって下記の4種類に大別できるだろう。
- 交通系電子マネー
- 流通形電子マネー
- クレジットカード系
- QRコード系
それぞれの電子マネーには使い方や使える場所について特徴がある。ここではそれらの種類ごとに電子マネーの特徴をチェックする。
SuicaやPASMOなどの交通系電子マネー
SuicaやPASMOなどといった、鉄道会社が発行している電子マネーを交通系と呼ぶ。乗車券や定期券としての機能を有するICカードに現金をチャージして利用するプリペイド方式。
近年はモバイルSuicaのように、ICカードを作らずスマホに機能をインストールすることもできる。駅で乗車券や定期券の購入に利用できるのはもちろん、自動販売機や駅ビルなど、加盟店での買物にも使える。JR各社が発行しているPiTaPa以外の交通系電子マネーは、交通系ICカード全国相互利用サービスによって、エリア外のほとんどの都道府県でも利用できるようになっている。
nanacoやWAONなどの流通系電子マネー
主にスーパーマーケットやコンビニ、ネットショッピングなどでの利用を目的として発行されている電子マネーが、流通系電子マネーである。セブン&アイ・ホールディングスが発行しているnanacoやイオンが発行しているWAON、楽天グループの楽天Edy株式会社が発行する楽天Edyなど、流通系の会社が発行している。
多数の系列店を持つ大手企業が発行しており、加盟店も多いので、利用できる店舗数が非常に多いのが特徴である。利用金額に応じてポイントが貯まったり、キャンペーンにエントリーすると割り引きを受けられたりと、さまざまな特典があるのもメリットの1つだ。
QUICPayやiDなどのクレジットカード系電子マネー
JCBのQUICPayや、NTTドコモが展開するiDは、クレジットカードにひも付けて利用するクレジットカード系電子マネーである。新しくカードを発行したりアプリをダウンロードしたりしなくても、対応のクレジットカードを持っていれば登録してすぐに利用を始められる。専用のアプリをダウンロードすると、カードの代わりにスマートフォンで支払いを済ませることも可能。
クレジットカードと同様に、1カ月分の利用代金を翌月まとめて支払うポストペイ方式が基本だが、プリペイド方式やデビットカード方式での決済を選択できるものもある。
アプリで管理できるQRコード決済系電子マネー
PayPayやLINE Pay、楽天ペイなど、スマートフォンに表示されたQRコードを店舗側が読み取ったり、反対に店舗に掲示してあるQRコードを客が読み取ったりすることで支払いができる電子マネーがQRコード決済系電子マネーである。スマートフォン上で支払いが完結するので、カードを出す必要もなく、スマートフォン1つで買物ができる。
電子マネーで決済を行うには専用の読み取り機が必要なことが多く、導入には店側のコストがかかるが、特に店舗のQRコードを客が読み取るタイプは、導入の初期費用がほとんどかからないため手軽に導入でき、結果として多くの店で利用できるようになっている。
電子マネーを選ぶ際のポイント
電子マネーが便利であることは分かっても、種類が多すぎて何を使えばよいかが分からない人もいることだろう。そこで、電子マネーを選ぶ基準となるポイントをピックアップした。それらを参考に、自分のライフスタイルと合わせて利用する電子マネーを選択するのがお勧めである。
ポイントなどによる還元率
多くの電子マネーでは、その利用金額に応じてポイントが付与され、次回以降の支払いに使えたり、ネットショッピングに利用できたりする。特定のクレジットカードとひも付けることで、支払いによるポイントとクレジットカードからのチャージや引き落としの際のポイントを二重に貯められるものもある。
電子マネーによって付与されるポイントの種類や還元率が違うので、より還元率が高い電子マネーを選ぶと、利用する際にお得感を得られる。しかし、いくら還元率が高くても使える場所がなければ意味がないので、普段から貯めているポイントのものを選んでポイントをまとめることも重要である。
対応店舗数の多さ
電子マネーは現金と違って、店側に対応する端末がなければ支払いができない。そのため、対応している店舗が少ない電子マネーは利用できる場面が限られてしまう。複数の電子マネーを使うと管理が煩雑になるので、対応している店舗数が多く、汎用性の高い電子マネーを選択することをお勧めする。
店によって利用できる電子マネーは違うが、幾つかの電子マネーに対応している場合が多い。自分がよく使う店が対応している電子マネーを事前に調べておき、その中で使いやすいものを選ぶとよいだろう。
支出管理のしやすさ
現金をやりとりする従来の支払い方法と違って、電子マネーを利用すると一瞬で支払いが終わり、現金を扱わない。また、ポストペイ方式の電子マネーだと買物をしてから利用代金が引き落とされるまでにタイムラグがある。
これらの理由から、電子マネーは現金での支払いよりも「お金を使った」という感覚が薄れてしまい、お金を使いすぎてしまう危険性がある。そうなることを防ぐためにも、購入履歴や入金履歴が一覧表示されたり1カ月の使用額が設定金額を超えると通知が来るような設定ができたりと、支出管理がしやすい電子マネーがお勧めだ。
電子マネーを使用する時の注意点
電子マネーは便利なものであるが、現金の代わりにやりとりする以上、その管理や利用については利用者それぞれが十分注意しなければならない。そこで、電子マネーを利用する時の基本的な注意点を挙げたので参考にしてほしい。
不正利用を防ぐセキュリティ対策
面倒な本人確認なしで支払いが終了する点がメリットであり強みである電子マネーだが、それは反対に不正利用されてしまいやすいというデメリットでもある。オンライン上でデータとして保管されているため、例えばスマートフォンの管理をしっかりしていても、パスワードの流出やウイルスの感染などによって気付かないうちに不正利用されてしまう危険性もある。
電子マネーの発行会社も、生体認証や2段階認証など、さまざまなセキュリティ対策を講じているが、不正利用を防ぐためには何より利用者1人1人が危機意識を持つことが重要だ。カード型の電子マネーは誰でも使えてしまうので、紛失したり安易に他人に貸したりしないよう、管理をしっかりする必要がある。アプリなどで使用する電子マネーは、ログイン時や使用時のパスワードを第三者に知られないように注意しなければならない。
現金を扱わないことによる無駄遣い
電子マネーは現金を使わずに買物ができる点がメリットだが、その一方で現金を扱わないので、「お金を使った」という意識が希薄になってしまう危険性がある。そうすると買物のハードルが下がり、必要ではない物まで買ってしまう無駄遣いにつながる。
無駄遣いを防ぐためには、プリペイド方式の電子マネーを利用して使い過ぎを防いだり、毎月の利用履歴をチェックして支出管理を行ったりする工夫が必要だ。
電子マネーを賢く使う
電子マネーはさまざまな種類や決済方法があり、それぞれにメリットや特徴がある。自分のライフスタイルや使い方によって最適な電子マネーを選択するとよいだろう。