ABC分析とは?概要や活用例、メリット、手順に沿った手法などを解説

2022.07.28

在庫管理のほか、重要顧客管理、経営戦略やマーケティング分野と、幅広い業務や管理で活用されている分析手法が「ABC分析」だ。ABC分析によってデータの管理や分析をすることで、各分野におけるさまざまな課題解決につなげられるだろう。この記事では、ABC分析の概要や活用例、メリット、流れに沿った手法を解説する。業務効率の向上や課題解決にぜひ役立ててほしい。

ABC分析の概要や活用例

ABC分析の概要や意味、用いられる目的について解説する。

ABC分析とは

ABC分析とは、製品または商品を重視する項目や指標に沿って優先順位を付け、重要度によってA、B、Cの3グループ(またはランク)に分け、分析し、優先度の高いAグループに属する製品や商品を重点的に管理をする手法を指す。分析ベースや優先順位付けに活用される指標や項目には、売上、コスト、在庫などがある。

ABC分析は優先度の高い製品や商品のグループを重点的に分析または管理をすることから、「重点分析」とも呼ばれている。また、ABC分析を用いてグループ分けした製品や商品を管理することを「ABC管理」と呼ぶ。

ABC分析の構成要素

ABC分析のベースとなる考え方が、イギリスの経済学者ヴィルフレド・パレートが提唱した「パレートの法則」だ。

パレートの法則とは「全体の大部分(8割)は一部の要素(2割)によって生み出されている」「一部の要素(2割)が全体(8割)に大きな影響を持つ」という考えで、「2:8の法則」や「ばらつきの法則」とも呼ばれている。

製品や商品の売上をパレートの法則にあてはめると、上位2割の製品または商品の売上で、全体の売上の8割を占めているということになる。つまり製品や商品全てを平等に管理するのではなく、優先順位を付け、上位群のみを重点的に管理するだけで、全体の売上はあげられることになる。

たとえば「過剰在庫がある」「すぐに欠品になる」など商品の在庫管理や発注数に課題がある場合にABC分析をもちいるなら、売上で商品の優先順位を付け、上位2割に該当する製品や商品を重点的に管理することになる。商品全体にリソースを使うことなく、在庫管理や発注業務の効率化や課題解決につなげられるだろう。

ABC分析の活用例

ABC分析によって製品や商品の優先度を付けて分析し、グループ分けによる管理はさまざまな分野で活用できるだろう。おもなABC分析の活用例を紹介する。

・マーケティング

売上で優先順位を付け、売上の高いAグループの商品のDM送付や店舗での占有率を上げる、Cグループの商品は内容の見直しや入れ替えを行う。

・在庫管理

欠品機会が多い、または売れ行きの良いAグループの商品の在庫をこまめに管理することで欠品を防げる。Cグループの商品は欠品してから発注することで、過剰在庫を防げる。

・コスト管理

発注金額で仕入れ先をグループ分けし、金額の高いAグループに仕入金額のディスカウントの提示、仕入れ先の見直しをする。

・リソース管理

売れ行きの良いAグループの商品やサービスへの人員や時間の配分を多くする、Cグループは人員や時間の配分を減らす。

・顧客管理

売上への貢献度で顧客に優先順位を付けて、Aグループの顧客へのフォローやアプローチ、サービスを教化する。

・商品分析

商品別に在庫日数と在庫金額で優先順位を付けて、売上と比較し分析する。

・ロケーションの最適化

商品の出庫数や出庫機会で商品のランク付けをし、グループAの商品を出荷通路側、グループCの商品を倉庫の奥に配置することでピッキングや商品補充の効率化をはかる。

ABC分析のメリット

ABC分析を活用することで得られるおもなメリットを解説する。

対象の重要度を可視化できる

ABC分析を行うことで、製品や商品、サービスなど対象となったものの重要度を把握できる。重点的に管理すべき項目、あまり重視すべきでない項目を可視化できるため、商品コントロールや在庫管理、コスト管理などさまざまな課題解決につなげられるだろう。

売れ行きの良い商品を重点的に管理し欠品を防ぐ、売上を伸ばす、補充業務の効率化をはかるといったことと、売れ行きの悪い商品を思い切って見直す、入れ替えをするといった対策を同時に行えるのも、ABC分析のメリットだ。

定期的な計測と比較ができる

ABC分析によって、対象物の項目を数値化できる。定期的に計測ができるため、一定期間での成果の比較ができるのもABC分析のメリットだ。

たとえば商品のABC分析をもとに在庫管理を1ヶ月行い、効果を測定して出た結果や課題を次の月の在庫管理に活かすこともできる。業務の課題解決のほか、改善にもABC分析は活用できるだろう。

ABC分析実施の流れと方法

ABC分析を行う流れと方法を解説する。

分析するデータを収集する

まずABC分析を行うためのデータを収集する。たとえば在庫数なら発注管理システムや棚卸台帳などから、顧客の優先度なら顧客台帳やDM送信連絡先などからデータを参照できるだろう。システムによってはエクセルなどのファイルへデータを効率よく抽出できるものもあるため、上手に活用しよう。なお、ABC分析の指標となる対象は売り上げなどの金額でも、在庫数などの数でも可能だ。

エクセルなどでデータを表にまとめる

抽出したデータを元に、エクセルなどで表にまとめる。たとえば売上を指標としてABC分析を行うなら、商品名、売上金額、構成比、累積構成比、ランクなどの表題を付けて作表しよう。

まず商品と商品それぞれの売上金額を抽出、入力する。その後各商品の売上が全体のどの程度を占めているかを指す構成比を計算する。構成比は、「商品の売上÷全体の売上」で算出可能だ。売上累計は「商品の売上累計の合計÷全体の売上累計の合計」で算出しよう。

グループ分けとランク付けを行う

表にまとめたデータを元に、商品のランク付けを行う。たとえば売上が指標の場合は、累積構成比50%がAグループ、40%がBグループ、残り10%をCグループ、といったようにグループ分けができる。グループ分けのボーダーラインとなる数値は後でも変更可能だ。

パレート図を作成する

パレート図とは、棒グラフと折れ線グラフを組み合わせたグラフのことだ。抽出したデータをグラフにすることで数値を可視化しやすく、優先順位が付けやすくなるメリットがある。

ところが全体との比較を重視したい売上金額は棒グラフ、期間内での構成比の移り変わりを比較したい累計構成比は折れ線グラフと、現状を把握するための適切なグラフは定めた指標によって異なるだろう。パレート図を作成することで、両方のデータを同時に可視化、参照できるためランク付けもしやすくなる。

エクセルにはテンプレートでパレート図が用意されている。あらかじめ抽出したデータをエクセルの表にまとめておくことで、かんたんにパレート図が作成できるだろう。

表やパレート図によって優先順位を付けたら、優先度の高いグループの商品への具体的な施策や対策を行い、課題解決や業務効率化に役立てる。

ABC分析の注意点

ABC分析やABC管理における注意点を対策方法とともに解説する。

季節商品や流行商品、割引商品に注意する

売上が高い、欠品が多いAグループの製品や商品のなかに、季節商品や流行商品、割引商品が入ることも多い。これらの商品の売れ行きは一過性であることがほとんどで、Aグループのなかに入れて優先度を高くしてしまうと、その後過剰在庫となる可能性が高い。

一時的な売れ行きかどうかを把握するためには、ABC分析後の実際の売れ行きを見る、同時期の昨年度の売上と比較する、ABC分析によって定期的に分析、管理し、場合によっては商品のランク付けを変えるなどの柔軟な対策が必要となるだろう。

優先度の低い商品を軽視し過ぎない

売上が低いなどの理由で優先度が低いと判断されたCグループの商品でも、少額ながら安定した売れ行きのあるもの、Cグループの商品があるから売れるAグループの商品や、セット買いが見込めるものもある。たとえばシャンプーやボディーソープの詰め替えがAグループ、シャンプーやボディーソープの本体がCグループなどのパターンもある。

また、新商品は入荷直後の売れ行きが悪くCグループに入る可能性があるものも多いが、その後大きなヒットにつながることもある。Cグループとなった商品でも軽視し過ぎず、Aグループと同じくその後の経過や成果に注視するのが重要だ。

Cグループに入る商品は売上が見込めないことから、取り扱い店舗が少なくなる。一方、ニッチなニーズを取り込むために、Cグループの商品のみを取り揃えて他の競合との差別化をはかる店舗やECショップもある。

取り扱いの少ない商品のみをそろえる戦略を、ロングテール理論と呼ぶ。ABC分析によって優先順位が低いと判断されたグループの商品でも、ロングテール理論を踏まえた経営戦略をもちいれば、売上につなげられる可能性もある。

ABC分析はさまざまな課題の解決に役立つ手法

ABC分析の概要やメリット、方法、注意点について解説した。ABC分析を活用することで、在庫管理をはじめとした業務の効率化につながるほか、適切な売り場作り、マーケティングなどにも活用できる。ABC分析を取り入れて、店舗や事業所の確実な利益につなげよう。

ABC分析のデータ抽出や成果を見極めるのには、在庫管理システムなどのITシステムを導入するとより効率化できる。ABC分析のためのデータ管理に不便を感じたら、システムの導入なども検討してみよう。

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