カインズとＰ&Ｇが包括的なサプライチェーン協働を強化、トラックの帰り便を活用した共同輸送を本格展開
2024.09.10
カインズは、P&Gジャパン合同会社（本社：兵庫県神戸市以下、P&G）とのJBP（ジョイント・ビジネス・プラン）に基づいた包括的なサプライチェーン協働を強化したと発表した。
今回、カインズにおけるP&G製品の取り扱いについて、P&G独自のAI（人工知能）需要予測システムの運用を加速する。両社はすでに、2024年7月からトラックの帰り便を活用した共同輸送の本格展開を開始している。
カインズとP&Gは、川上から川下までのサプライチェーン全体での物流の効率化、在庫の最適化、そして店頭での売上最大化を実現するべく、長期に渡って包括的かつ強固なサプライチェーン協働を進めてきた。
今回発表した協働強化によって「物流2024年問題」で不足すると言われている約30%の輸送能力をカバーするべく、物流全体のさらなる最適化を推進すると共に、カインズにおける店舗オペレーションのより一層の効率化を目指すとしている。
カインズは、20年からP&Gの「AI需要予測システム」の運用を開始し、各店舗の売上げ、在庫、将来の販促プランなどさまざまなデータを連携させ、AIによる高精度な需要予測を進めてきた。
このシステムによってP&G製品について、店舗ごとの最適な在庫計画や納品量、納品頻度の算出が可能となったことから、トラック単位、パレット単位のまとまった量を早期に発注する仕組みを構築することができた。
この仕組みは、輸送トラックの事前確保だけでなく、積載効率の向上にもつながるため、トラック輸送の効率化に寄与するもので、それによってサプライチェーン全体での供給計画と店舗在庫が最適化され、店頭での製品の欠品を防ぐと共に、店舗オペレーションの効率化も期待できるとしている。
今後、P&G製品について、AI需要予測システムに基づく本部発注率をさらに高めることで物流体のより一層の最適化を目指す。
23年10月からは、「物流2024年問題」への対策と物流全体の最適化を目的として、北関東エリアのカインズ流通センターから店舗へ輸送するカインズの配送トラックが、帰り便でP&G高崎工場の物流センターを経由し、P&G製品を積載してカインズ流通センターに運ぶという、トラックの帰り便を活用した共同輸送の試験運用を開始した。
9カ月の試験運用の結果、全体の物量やトラックの待機時間、ドライバーの付帯作業の削減などを確認できたことから、24年7月には全国9拠点のカインズ流通センターを経由する共同輸送物流網を構築し、共同輸送の本格展開を開始した。
今回のP&Gとの取り組みによって、JBPにおける効率的、低コストでの輸送が可能な物流ネットワーク構築が実現したことから、引き続き、両社による共同輸送のさらなる拡大に向けた検討を進めていく。
カインズとしては、「物流2024年問題」が小売業界だけでなく、また、取扱量の大小にかかわらずサプライヤーにとっても大きな課題となっていることから、今回の取り組みのような共同輸送の仕組みをパートナー企業とも共有できるように輸送プラットフォームを作っていきたいと考えているという。
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