フランチャイズチェーンとは? いまさら聞けない直営店との違いや、メリットなどを解説
2022.10.28
2022.02.22

フランチャイズチェーンとは、本部の運営を行う企業とフランチャイズ加盟者が契約を結んで、加盟チェーンのブランド、商標を使用してサービスを実施する、経営の仕組みの一つである。
本記事では、フランチャイズチェーンの概要と種類やフランチャイズチェーンと直営店との違い、フランチャイズチェーンにおける本部、加盟者双方のメリット、デメリットついて解説していく。
目次
フランチャイズチェーンとは?
フランチャイズチェーンは、日本においても幅広い業種で採用されている実績を持つ仕組みだ。チェーン店というと、まずコンビニエンスストアを思い浮かべる人も多いだろう。
私たちが生活するうえで利用する店舗やサービスは、フランチャイズチェーン展開をしているケースが多く、消費者にも非常に身近な存在だ。複数店舗の経営を検討する際には、導入のメリットが大きいフランチャイズチェーン制度を検討することもあるだろう。
店舗数をスムーズに拡大するために、フランチャイズチェーン制度の導入を検討する場合には、フランチャイズチェーンについての正しい知識が必要となる。メリットだけでなくデメリットも把握した上で導入しなければ、フランチャイズチェーン展開後に問題が発生する可能性も出てくるからだ。
まずは、フランチャイズチェーンの概要と仕組み、種類について解説する。また、併せてフランチャイズチェーンと直営店の違いも紹介していく。
フランチャイズチェーンの概要と仕組み
フランチャイズチェーンの仕組みでは、フランチャイズ本部機能を担う企業と、加盟者が契約する方式を採る。フランチャイズ本部は、店舗やサービスの展開に必要な情報やノウハウを加盟者に提供し、短期間で加盟店としての成果が出せるようサポートする。

一方の加盟者は、本部にロイヤリティを支払う対価として、確立されたブランドの商品やサービスを使用する権利を得る。本部の指示に従ってビジネスをスタートさせることで、未経験でもスムーズにビジネスをスタートさせられる。
加盟者がフランチャイズ本部に支払うロイヤルティは、売上げに対して規定のパーセンテージと定められているケースが多いが、月額のロイヤルティが固定額であるケースも存在する。
本部は加盟者を統制する役割を持ち、各加盟者の売上げを向上させるための管理を行う。業務のオペレーションマニュアルの作成のはじめ、仕入れ、販売、商品開発などを集約することで、加盟者が店舗経営に集中できる環境を整えるのだ。
フランチャイズチェーンの種類
フランチャイズチェーンは、さまざまな業種、業態で広く浸透している経営手法だ。フランチャイズ方式を採用されている主な業種、業態を紹介しよう。
フランチャイズチェーンの業態は大きく分けて、サービス業、飲食業、小売業などがある。それぞれの業種によって、加盟者が準備する開業資金と、フランチャイズ運営企業が行う事前準備と運営方法が異なる。
たとえば、フランチャイズチェーン制度が浸透しているコンビニエンスストアの場合、全国展開しているコンビニエンスストア運営企業の多くがフランチャイズ加盟者を積極的に募集している。
コンビニエンスストアのチェーン展開は、すでにパッケージとしての完成度が高い。加盟者本人と家族が中心となって店舗経営を行い、必要に応じてアルバイト人員を採用するケースも多い。
また最近では、多様な業種での「無店舗型」のフランチャイズチェーンも注目を集めている。店舗を持たない無店舗型フランチャイズチェーンは家賃負担がないため、未経験者でも初期費用を抑えて参入できるのがメリットだ。
フランチャイズチェーンと直営店の違い
ここで、フランチャイズチェーンと直営店の違いについて解説しよう。フランチャイズチェーンが本部機能を持つ企業の統制化のもとで、フランチャイズ加盟者が各店舗経営を行うのに対して、直営店は各店舗運営もすべて本部企業の社員が行う方式だ。直営店は、「コーポレートチェーン」「レギュラーチェーン」とも呼ばれている。
フランチャイズチェーン展開を開始する前の運用テスト期間に運営され、開業前の研修の場として利用されることも多い。
フランチャイズチェーン展開後も一部の直営店運営を継続させて、サービスや運営に関するテストを実施する場として活用するケースもある。直営店で働く人員は本部企業の従業員で、直営店が採用するアルバイトは本部企業に雇用される。直営店のメリットはマネジメントがしやすく統制が効きやすい点だ。
また、直営店はフランチャイズチェーンよりも、方向転換や戦略の浸透をさせやすい。一方で、フランチャイズチェーン経営よりもコストがかかり、本部企業の手間と人員がさかれる点がデメリットとして挙げられる。
フランチャイズチェーンのメリット、デメリットは?

複数の店舗を経営する企業にとって、いかに早く安定的に事業拡大をするかが重要となる。フランチャイズチェーンは、コストや人員を抑えて多店舗経営をスピーディに行う際に、効果を発揮しやすい経営手法といえる。しかし、フランチャイズチェーン運営にはメリットだけでなく、デメリットがあることを認識しておくことも必要である。
ここでは、フランチャイズチェーン本部側のメリットと、フランチャイズチェーン加盟者側のメリットを紹介する。また、フランチャイズチェーンのデメリットについても解説していく。
フランチャイズチェーン本部のメリット
フランチャイズチェーン導入をする場合、フランチャイズチェーン本部のメリットは、商品やサービスの開発に注力できることだ。多店舗を直営店として運営する場合は発生する人や新店舗出店の費用が、フランチャイズチェーン方式の採用で抑えられる。
そのため本部企業は店舗運営以外のポイントに注力でき、より効果的な販促活動や、ブランド認知の拡大施作実施が可能となる。これにより、収益の拡大が期待できるのだ。
また、本部機能の強化に注力することにより、店舗運営マニュアルの充実やスーパーバイザーによる定期的な店舗訪問などの実施が可能となる。フランチャイズチェーン加盟者への統制を充実させることで、希望するサービスレベルの維持も期待できる。
出店数が増加すると、流通コストの削減も可能だ。大手コンビニエンスストアでは特定エリアに集中的に出店する手法を採用し、流通コストの大幅な削減を実現している。フランチャイズチェーンの採用により、コストを抑えてスピーディーに出店拡大することで、市場占有できる可能性が高まる。
フランチャイズチェーン加盟者のメリット
続いては、フランチャイズチェーン加盟者のメリットを紹介する。個人が起業を考えたとき、新規参入するのはハードルが高い業種・業態も多いのが現実だ。しかし、フランチャイズチェーンの場合、フランチャイズ本部からの幅広いサポートが受けられるため、スムーズに店舗運営を開始できる。
また、消費者に広く受け入れられているチェーンに加盟する際には、すでにそのチェーンが獲得しているイメージを利用できるために、比較的安定しやすいのも大きなメリットだ。
過去の実績が多くあるフランチャイズチェーンに加盟する場合には、フランチャイズ本部が開業前からの手厚いサポートを提供しているケースが多い。そのため、未経験の加盟者でも安心して店舗経営をスタートさせられる。
開業後もフランチャイズ本部からの経営指導やアドバイスを受けながら経営が可能。個人で実施するよりも、安価で安定した仕入れができる。加盟者が店舗経営に専念できる点も、フランチャイズチェーン加盟者が享受できる大きなメリットだといえる。
フランチャイズチェーンのデメリット
自社でフランチャイズチェーンを展開する場合には、フランチャイズチェーンのデメリットも把握しておこう。フランチャイズ本部のデメリットとしては、店舗の運営をフランチャイズ加盟者に任せることで、直営店経営よりも統制が効きづらくなることが考えられる。
また、加盟者からのロイヤリティは支払われるものの、本部が獲得できる収益が直営店経営の場合よりも限定される点もデメリットだ。さらに、フランチャイズチェーン加盟者がトラブルを起こすと、チェーン展開しているブランド全体のイメージが悪くなる危険性もある。
一方、フランチャイズ加盟者のデメリットは、個人で起業するよりも自由度が低くなる点だ。チェーン統制のために本部の方針には全面的に従うことが求められるので、店舗独自の施作などは実施しづらい。
また、営業時間や休日なども本部の規定に従う必要があるので、自分のアイデアを活かした自由な店舗経営をおこないたい人にはデメリットと感じられる場合もある。
フランチャイズチェーンのまとめ
多くの業種、業態で導入されて成功を収めているフランチャイズチェーン方式は、多店舗経営の拡大をスムーズに進めるためには有効な手法の一つである。
フランチャイズチェーンの仕組みとメリットを理解して、フランチャイズチェーン展開や加盟を検討するといいだろう。