CX(カスタマーエクスペリエンス)とは?意味や概要、向上のメリットなどを解説

2022.06.20

カスタマーエクスペリエンスは、CXと略され、「顧客体験価値」という意味を持つ言葉である。

商品やサービスの購入だけではなく、それに関わるさまざまな体験やメリットといった「感情的な価値」を顧客に提供するという考え方だ。似通った製品やサービスが数多く存在する現代社会で、価格や機能以外の面から競合他社との差別化を測れるという点で重要視されている。

CXの向上はブランドイメージの向上やリピーターの獲得につながる。CXの向上には膨大なデータの分析や活用が必要だが、長期的に取り組むことで顧客満足度の向上などにつながると考えられる。

カスタマーエクスペリエンスとは

近年、マーケティングにおいてカスタマーエクスペリエンスが重要視されている。まずはカスタマーエクスペリエンスという言葉の定義やその重要性など、概要について解説していく。

カスタマーエクスペリエンスの定義

カスタマーエクスペリエンスは、CXと略され、日本語では「顧客体験価値」という意味を持つ言葉である。製品やサービスの購買体験の価値を高めるだけではなく、その前後を含むあらゆるタイミングでの顧客満足度を高めようという考え方が特徴だ。大手IT調査会社であるガートナーは、カスタマーエクスペリエンスに、システムや製品の実際の価値と、それに伴う好意的な感情を含めている。

なぜカスタマーエクスペリエンスが重要なのか

近年は、さまざまな製品やサービスが開発されている。どんなものでも似通った商品が存在することは避けられないのが現状だ。さらに、インターネットやSNSの普及によって、企業や顧客とのタッチポイントが多様化し、顧客が能動的に製品の情報を手に入れたり、発信したりできるようになった。

そのような中で、他社との差別化を図り、顧客に必要とされるためには、商品のスペックや価格の安さなどの「物質的な価値」だけではなく、それに関わる経験やメリットなど、「感情的な価値」を提供しなければならない。そのソリューションとして、カスタマーエクスペリエンスの向上が重要視されているのである。

感情的な価値とは何か

カスタマーエクスペリエンスの向上において重要視されるのが、「感情的な価値を顧客へどのように提供するか」という点である。感情的な価値は、「経験価値マネジメント」を執筆したバーンド・H・シュミットによって5種類に大別されている。そこで、5種類の「感情的な価値」について、具体的に学んでいく。

感覚的な価値

感覚的な価値とは、顧客の五感から得られる感覚に紐付けられた価値のことである。五感とは視覚、触覚、嗅覚、聴覚、味覚の5つの感覚を指す。

具体的な価値としては、料理を食べて「おいしい」と感じることや、盛り付けが「きれい」だと感じることなどがあげられる。アロマなどで店に良い香りを漂わせたり、内装やBGMを工夫して居心地の良い空間を作り出したりすることも、感覚的な価値に訴えかける手法である。実際に体感していなくても、「おいしそう」などと推測させることでも感覚的な価値を高められる。

情緒的な価値

情緒的な価値とは、製品の購入やサービスの利用に至るまでの間に、顧客の感情を揺り動かすことで生み出される価値のことである。例えば丁寧な接客であるとか、購入後のアフターサービス、細部まで行き届いた清掃などで価値を生み出せる。近年では、顧客の環境保護や社会貢献への関心も高まっている。そのため、SDGsへの取り組みや寄付などの活動も、顧客の感情に働きかけて情緒的な価値を高める取り組みの1つといえる。

知的な価値

知的な価値とは、顧客の知的好奇心や創造力などを刺激することで得られる価値のことである。顧客が「知りたい」「知識を深めたい」という気持ちに応えるような情報開示が効果的である。また、ダイレクトに知識を得られる学習体験や、新しい技術に触れたり使いこなしたりする体験も、知的な価値へとつながっていく。

行動に関する価値

行動に関する価値とは、その製品やサービスを通じて顧客の行動が変化することで得られる価値のことである。例えば、スポーツを経験したことのない顧客がテニスラケットを購入することでテニスをするようになり、結果的にライフスタイルが変化していく。その他にも、新たな製品を使用することで家事や仕事が効率化でき、ライフスタイルが変わっていくようなものを指す。行動に関する価値を高めれば、その企業や製品に「生活を楽に・豊かにしてくれる」などのイメージが付加されやすい。

社会的な価値

社会的な価値とは、その製品やサービスと顧客自身との関係によって得られる価値のことである。特に価値観や信念などを共にする準拠集団への帰属意識へ訴えかけ、「所属したい・一員になりたい」という気持ちや「応援したい」という気持ちにさせることで社会的な価値を高められる。具体的な例としては、アーティストのファンクラブ会員になることや、応援している野球チームのユニフォームを購入することがある。

カスタマーエクスペリエンスを向上させるメリット

カスタマーエクスペリエンスを向上させることは、企業にとって多くのメリットがある。ここでは、そのメリットについていくつかピックアップして解説していく。

企業のブランドイメージの向上につながる

顧客が製品やサービスを購入する際に感情的な価値とともに提供された場合、その顧客は企業やブランドに対して好印象を抱き、ファンになってくれる可能性が高まる。そのようなファンが増えることでブランドのイメージが向上し、新たな顧客の獲得につながる、という好循環を作り出せるのだ。

リピーターの顧客を獲得できる

一度そのブランドや企業のファンになった顧客は、同じ製品やサービスを繰り返し購入するリピーターになるばかりか、その他の製品も同じ企業から購入する可能性が高くなる。リピーターが多い企業は安定的な売り上げが見込める上に、リピーター自身がその製品やサービスをリコメンドするなど、販促活動の一端を担ってくれる可能性もある。

他社との差別化が図れる

さまざまな製品やサービスが溢れる現代社会では、類似の商品の差別化を図ることが難しくなるコモディティ化が進行している。しかし、感情的な価値を付加できれば、顧客にとって特別な意味を持つ企業となる。

それは、製品やサービスそのものの機能や内容に関係なく、企業そのものの価値になるので、他社との決定的な差別化となりうる。他社との差別化は、顧客が企業を認知したり製品を選んだりする要因の1つとなりうるほか、既存の顧客が企業のファンになる可能性を高める。

カスタマーエクスペリエンスの向上事例

カスタマーエクスペリエンスの向上はビジネスにおける重要な課題として多くの企業が取り組んでいる。ここからは、その中でもカスタマーエクスペリエンスの向上が企業のブランドイメージや顧客満足度の向上につながっている成功事例を紹介する。

スターバックス

スターバックスは、コーヒーを提供するというメインのサービスに、おしゃれで居心地の良い空間や無料で利用できるインターネットなどという付加価値をつけることで、カスタマーエクスペリエンスを向上させている。その結果、スターバックスはおしゃれというブランドイメージが定着し、「スタバへ行く」という行為自体がステータスとなって、顧客の獲得へ繋がっている。また、居心地が良く仕事・勉強に利用しやすいスペースを求めて、幅広い客層がリピーターとなっている。

デルタ航空

デルタ航空は、顧客満足度を高めるため、顧客の心に寄り添い、顧客に特別な経験を提供することを重要視している。きめ細やかな接客とサービスが顧客に感情的な価値を与え、リピーターとなる企業のファンを獲得しているのだ。

さらにPDCAサイクルを活用し、効果的な施策について分析することで、顧客のニーズに的確に対応している。デルタ航空はJ.D.パワー社がおこなった2021年度の北米航空会社満足度調査において1位を獲得しており、カスタマーエクスペリエンスの向上に成功していることがわかる。

カスタマーエクスペリエンスを向上させるには

カスタマーエクスペリエンスの向上にはさまざまなメリットがあるが、実際にカスタマーエクスペリエンスを向上させる方策を実施するのは簡単なことではない。カスタマーエクスペリエンスを向上させるためにおこなうべきことについてチェックしていく。

カスタマージャーニーマップの作成

カスタマージャーニーマップとは、顧客のニーズが発生する段階から解消されるまでを時系列にして、感情の動きや思考の変化をまとめたものである。近年はインターネットやSNSの普及によって購買に関する行動がデジタルへとシフトしており、さまざまなデータを収集し蓄積して活用できるようになった。カスタマージャーニーマップを作成することによって、企業と顧客のタッチポイントが明確になり、具体的なカスタマーエクスペリエンス向上の施策をアプローチできる。カスタマージャーニーマップを作成するためには、顧客のデータを詳しく分析し、顧客の行動や思考を理解してペルソナに落とし込む必要がある。また、企業側の願望が反映されることで実際の顧客の思考や行動とかけ離れてしまわないように注意が必要である。

パーソナライズ

パーソナライズ化とは、顧客一人ひとりに最適な提案やサポートをおこなうことである。パーソナライズ化によって、顧客は「自分の求めていたものが求めていたタイミングで提供された」と感じるので、カスタマーエクスペリエンスの向上につながる。しかし、パーソナライズ化によって提供される提案やサポートは、場合によっては過剰なサービスと捉えられ、顧客に不快感を与えてしまう可能性もあることを留意しなければならない。さらに、パーソナライズ化のために使われるデータの中には個人情報やプライベートな情報が多く含まれることもあるので、データの管理を適切におこなうよう注意する。

カスタマーエクスペリエンスまとめ

カスタマーエクスペリエンスの向上は企業にとって重要であることがわかった。しかし、カスタマーエクスペリエンスを適切に向上させていくためには、顧客のニーズをよく理解し、どのような価値を付加していくか企業全体で考えなくてはならない。また、正しい施策をおこなっても、すぐに効果が表れるとは限らない。カスタマーエクスペリエンスの向上は長期的な視点を持って、顧客を第一に考えながら業務のさらなる改善を続けていく必要がある。

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