顧客満足度を向上させる「人間らしさ」をオンラインで再現する方法

2022.05.16

複数チャネルを使ってさまざまなマーケティング施策を進める企業は珍しくないが、個々の施策が分断されていることで顧客の「ディスロイヤリティー」を誘発する恐れがあるという。この打開策となるのが「人間らしさ」とデジタルを組み合わせた新しい手法だ。

[PR/ITmedia]

 2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」は、日本企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性とその課題を記した。レポートが示すように、DXは企業にとって急務だが、部門間で分断するシステムや体制がその足かせになっている。

 企業のマーケティング施策においても同様の課題が上がっている。複数チャネルのデジタル化を個別で進めてきた結果、「チャネルをまたいだコミュニケーションができず、効果的な施策につながらない」と悩む声も聞かれる。

 この解決策となるのが、オムニチャネルのマーケティングをシームレスに実現するシングルプラットフォームの構築だ。Brazeでソリューションコンサルタントを務める伴田有香氏が「リテールDXカンファレンス2022」に登壇し「お客さまに選ばれる、リテール&Eコマースのカスタマーエンゲージメントとは」と題して、現在のリテール&Eコマース業界を取り巻く状況と必要な取り組みを紹介した。

顧客データの分散が残念な顧客体験を生む

Brazeは2011年に米国ニューヨークで創業して以来、カスタマーエンゲージメントプラットフォーム「Braze」を通じてさまざまな企業の顧客ロイヤリティーの向上を支援してきた。同社の伴田氏はリテール&Eコマース業界におけるDXの問題点について、次のように説明する。

 「リアル店舗を持つ企業は、対面、非対面のチャネルでデジタル化の取り組みを進めてきた。対面はタッチパネルや無人レジ、ダイナミックプライシングの導入、非対面は会員向けアプリやCRM、そしてEコマースなどへの投資がその例だ。これらの取り組みを別部門が主導し、チャネルごとにシステムと顧客データが分散した結果、『残念な顧客体験』が生まれる」(伴田氏)

 残念な顧客体験の例は幾つもある。コールセンターで受信した問い合わせをチャットに誘導するのは今や珍しいことではないが、「電話がよい」と思ってかけた顧客はこうした対応に不信感を持つ可能性がある。

 Webサイトに大量のポップアップが表示させることも顧客体験を損なう恐れがある。あるいは、これから情報を調べようとしている時にチャットbotが「何かお困りですか?」と尋ねてきて顧客が困る場面もある。商品を購入後にクーポンが届くような「悪手」も顧客の「がっかり感」を呼ぶ。

 「こうした体験は記憶に残るため、顧客はその企業に対して長期にわたってマイナスの印象を抱くようになる。『デジタル化することが目的化』していると、顧客に価値を提供するはずのデジタル化が逆効果を生む」(伴田氏)

 Brazeでは、残念な顧客体験が「ディスロイヤリティー」を生むと警鐘を鳴らす。

 「広告配信数を増やせばクリックする人も一定の割合で増えるが、その裏で企業から離れる顧客もいる。こうした施策はロイヤリティーを損なうリスクが4倍にもなると言われている。間違った顧客体験はマイナスに働くということを念頭においてほしい」(伴田氏)

企業が取り入れるべき「人間らしさ」のあるマーケティング施策とは

顧客のロイヤリティーを高める体験とはどのようなものなのか。伴田氏は、オフラインの店舗で重視されているような気遣いと配慮のある「人間らしい」(ヒューマニティーのある)コミュニケーションが鍵になると主張する。

 「店員が顧客一人一人に寄り添った接客をすることで、顧客の好感度が高まり、その店でまた商品を買いたいという気持ちが生まれる」(伴田氏)

 「人間らしい対応」が企業と顧客の関係性に与える影響について、Brazeはフォレスターと共同で、月に1回以上オンラインで買い物をする消費者3081人を対象に調査を実施した。その結果、顧客が企業に「人間らしさ」を感じると好感度や満足度が上がり、商品やサービスを購入する確率は1.6倍に、他社へ推薦する確率は1.8倍に上がった。人間らしさを重視するコミュニケーションは収益に貢献すると伴田氏は述べる。

 顧客が企業のどのような特徴に人間らしさを感じるのかについても深掘りした。上位の項目には「対話型・インテラクティブである」「社交的である」「親しみやすい」「思慮深い」といった感情属性が挙がり、一方で「エキサイティング」「面白い」といった感情と人間らしさの評価の間に大きな相関性がないことも分かった。「マーケティング施策を考える際に、誤解しやすいポイントだと思う」と伴田氏は話す。

 さらに企業が「普通の人のように話す」「自分の時間とビジネスを大切にしてくれる」「今の自分にとって重要なことを理解してくれていることを示す」などナチュラルで思いやりがあり、個別化された行動を示した際に人間らしさを感じさせることも明らかになった。伴田氏は次のように結論付ける。

 「どのようなマーケティング施策が走っているのかを把握しないまま一方的に情報発信するのではなく、徹底的に顧客を理解して適切なタイミングでコミュニケーションをすることが重要だ。オンラインのチャネルは、店舗での接客のような『人の暖かみ』や『人と人とのつながり』をテクノロジーで再現するとともに、店頭課題を解決してお客さまの選択肢を増やすものであることが望ましい」(伴田氏)

顧客ロイヤリティーを高める施策(出典:Brazeの提供資料)

顧客中心のリアルタイムエンゲージメントを実現するBraze

 この思想に基づき「人間らしい」コミュニケーションを実現する手段としてカスタマーエンゲージプラットフォーム「Braze」がある。

 「MA(マーケティングオートメーション)ツールのようにマーケティング業務の効率化のためのプラットフォームではなく、顧客を深く理解し、一人一人と関係性を構築することに重きを置いたプラットフォームだ」(伴田氏)

Brazeの特徴(出典:Brazeの提供資料)

 Brazeは3つの特徴を持つ。1つ目はさまざまなチャネルを通じて、顧客の膨大なデータをリアルタイムに取得、統合し、すぐさまアクションにつなげられること。2つ目は、顧客情報から一人一人に合わせたカスタマージャーニーを柔軟に設計できること。そして3つ目は、顧客の情報を分析した結果を基に、パーソナライズされた的確なメッセージを顧客の好むチャネルや時間帯、頻度で送信できることだ。

 これらの特徴によって施策のコンバージョン率が向上するだけでなく、顧客満足度を高めて企業のファンも増やせる。顧客の反応を踏まえて素早くPDCAを回すことも可能だ。

 こうしたメリットが評価されて、開発元のBrazeはビジネス誌『Forbs』が未上場の有望なクラウド企業トップ100を決める「Forbes the Cloud 100」に4年連続でランクインした。IT調査会社フォレスターによる「The Forrester Wave」においては、2020年の第3四半期、2021年の第3四半期ともにクロスチャネルキャンペーン管理(独立系プラットフォーム)分野のリーダーに選出された。2021年4月にはナスダック市場に上場も果たした。

 日本では、2021年1月に本格的に活動を開始して以来、メルカリや楽天、アイスタイルなどのEコマース事業者や、バーガーキングやケンタッキーといった飲食事業者など、幅広い業種業態の企業で導入が進んでいる。伴田氏はユーザーが着実に増えていることに対し「あらゆる企業が顧客の態度変容をリアルタイムに捉えて、パーソナライズされた体験を提供することを重視していることの表れ」と語る。

バーガーキングのキャンペーンの背後にある地道な努力

伴田氏は最後に、Brazeの導入企業の例として、米国のバーガーキングの「ワッパーの寄り道」という名のキャンペーンを紹介した。同キャンペーンは世界的な広告賞である「カンヌライオンズ」の3冠をはじめ、数多くのマーケティング賞を受賞した。

 ワッパーの寄り道キャンペーンとは、バーガーキングのアプリ会員がバーガーキングの競合であるマクドナルドの店舗から600フィート(約200メートル)に近づくと、同社の主力商品である「ワッパー」を、わずか1セントで購入できるクーポンを送るというもの。

 非常に過激で採算度外視のキャンペーンのように思えるが、多くの顧客がキャンペーンに乗り、クーポンの利用時にワッパー以外の商品も購入したことで売り上げは約3倍に伸びたという。

 「このキャンペーンは、顧客がアプリ会員になった際にスマホへのプッシュ通知や、位置情報の共有について許諾することが前提なので、丁寧にメリットを説明することがポイントだった。クーポンを手に入れた顧客がスムーズに店舗にたどり着けるよう地図を表示したり、到着してすぐ注文できるようにメニューを表示したりするなど、優れたカスタマージャーニーを設計する必要もあった」(伴田氏)

 奇抜なプロモーションの裏には、きめ細やかで適切にパーソナライズされたコミュニケーションを実施するという戦略があり、それらを総合した結果として、売り上げの向上を実現した例だという。

 「近年は顧客が意図的、積極的に企業と共有する『ゼロパーティデータ』が重要だと言われるが、それを取得して活用するためには人間らしく心地よいコミュニケーションの積み重ねによって信頼を得る必要がある。Brazeは徹底した顧客理解と、リアルタイムにカスタマイズされたコミュニケーションを支援するプラットフォームだ」と伴田氏は締めくくった。

お役立ち資料データ

  • 大手企業はいかにして 2021年年末調整を成功させたか?

    【PR】株式会社エフアンドエム 従業員数千名~数万名規模の大手企業5社にインタビューをおこないました。 年末調整システムの導入から、導入後の運用まで、 どのような取り組みをおこなったのかをご紹介していきます。 「小売業」「飲食業」「鉄道」「教育機関」と、多種多様な業種を参考にすることで、 それぞれの業界の特性や、注意すべき点が具体的に理解できる内容となっています。 資料でこんなことがわかります 01.年末調整電子化を考えるようになったきっかけ 02.年末調整クラウドソフトの導入スケジュール 03.年末調整クラウドソフトを導入する上で大変だったこと 04.年末調整クラウドソフトを導入してわかった…

  • Googleマップ対策で集客向上!有名企業8社の成功事例集!

    【PR】株式会社カンリー 「PRONTO」「パリミキ」「てもみん」など、飲食・小売・サービス業における有名店舗も実施!Googleマップの店舗情報を一括管理することで、店舗集客の向上や業務効率化に繋がった事例を8社分ご紹介。 「Canly(カンリー)」は2万店舗以上でご利用いただいている、Googleマップ・SNS・HPの一括管理サービスです。複数店舗を運営する企業様に集客向上・業務効率化を目的としてご活用いただいています。本資料では、Canlyを活用し成果の出た企業様の事例をご紹介します。 ▶︎掲載している企業 【飲食業】 ・ニラックス様(すかいらーくグループで70店舗運営) …

  • 減少する新聞折込チラシの効果とは?-世代別・業態別で分かる傾向

    日本新聞協会発行の新聞の発行部数に関する最新データと、 1万人以上を対象にした、折込チラシ実態調査の2つで構成されているのが本資料です。 実態調査については、年代別、業態別について簡潔に傾向をまとめています。 ▼本資料でわかること▼ 最新のデータによる新聞購読の現状 独自調査による世代別・業態別の折込チラシの活用傾向 昨今の新聞折込チラシの削減計画の参考などにお役立てください。