LiveRampが提案するCookie規制時代のデジタルマーケティング術

2022.05.16

複数のオンライン/オフラインを問わずサービスを展開しているのに、自社保有のファーストパーティーデータが活用できない企業は意外と多い。Cookie規制が強化される中、個人を特定せずにユーザー体験を高めるにはどうすればいいだろうか。対策を聞いた。

[PR/ITmedia]

 消費行動がデジタルにシフトするにつれ、そこで流通する個人情報の保護に注目が集まっている。サードパーティーCookieへの規制が本格化しつつあるため、オンラインマーケティング施策においては、従来のような顧客追跡が難しい状況が生まれている。

 そこで活用したいのが自社保有のデータ(ファーストパーティーデータ)と、個人を特定しない顧客セグメントの技術だ。本稿は小売りや食品の大手企業が実際に成果を挙げつつあるCookie規制時代のデジタルマーケティング施策の手法を見ていく。

マーケターを悩ます新しい3つの課題

コロナ禍をきっかけとした消費行動のデジタルシフトは、リテール業界のビジネスに大きな変化をもたらした。ECなどのオンライン取引の比重が高まるにつれ重要度を増したのが、デジタルマーケティングだろう。今ではさまざまな顧客データを活用して、よりパーソナライズされたユーザー体験(UX)の提供も可能になっている。

 一方で、デジタル技術による個人の追跡を防ぐ動きが世界的に広がっている。中でも直近でデジタルマーケターが最も腐心したのはファーストパーティーデータ規制への対応だろう。ここで、にわかに課題として浮き上がってきたのが自社保有データの整合性が十分にとれていない、という問題だ。ファーストパーティーデータを活用したくとも、事業部門やシステムごとに顧客データの扱いが異なるため、自社ドメイン内のサービス間ですら顧客情報が統合できていない企業は多い。

 2022年3月11日に開催された「リテールDXカンファレンス2022」において、LiveRamp Japan Addressability / Head of Partnershipsの今井則幸氏は、講演『ファーストパーティーデータの最大有効活用』でこれら近年のマーケターが抱える課題について整理し、ファーストパーティーデータの重要性と活用方法について解説した。

 今井氏は、デジタルマーケティング担当者が抱える大きな課題として「プライバシー規制」「データの断片化」「サードパーティーCookieやデバイスIDの利活用性の減少」を挙げる。

 1つ目は、日本で2022年4月に施行された「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」(改正個人情報保護法)への対応だ。あらゆる国や地域からアクセスできるWebを使ったデジタル施策には国境がない。オンラインマーケティングを考える場合、日本国内の法規制への対応と同時にEU圏のGDPR(EU一般データ保護規則)、米国カリフォルニア州の消費者プライバシー法(CCPA)など、さまざまな国・地域の個人情報保護のルールに対応する必要がある。

 2つ目は、デジタルマーケティング活動の障壁となるデータの分断だ。多くの企業は何らかのデータを蓄積してきているだろう。しかし問題は、1つの企業の中に複数のシステムがあり、それぞれがサイロ化した状態でデータを蓄積していることにある。せっかくファーストパーティ―データを持っていても別の事業部門、別のサービスと連携できず、包括的な活用が難しい。

LiveRamp Japan 今井則幸氏

 3つ目は、これまでデジタルマーケティングで重視されてきたサードパーティーCookieやデバイスIDの使用が制限される傾向にあることだ。既に主要なWebブラウザはサードパーティーCookieを廃止していることもあり、今後は新しいマーケティング手段を設計していく必要がある。

 「LiveRampがクロスマーケティングと共同で実施したデジタルマーケティングの課題に関する調査では、ここに挙げた3つが上位を占めた*。特にサードパーティーCookieの排除への対応は『重要な課題』として挙げられており、ファーストパーティーデータの活用や最適化ソリューションへの興味が高いことが分かった」(今井氏)

*クロスマーケティング社「デジタルマーケティング業界の変化への対策/ネットユーザーのプライバシー意識に関する調査」(マーケティング業務に従事する400人を対象に調査。調査期間2021年3月26~29日)

 LiveRampにはさまざまな企業から相談が寄せられるが、その多くが上述のような課題に対する具体的な解決策を求める声だ。例えば「データは多いが分断されており、共通のデータ基盤となるIDを作りたい」「顧客をよく知り、コミュニケーションを活性化したい」「オフライン/オンラインのデータを相互に使いたい」「データを拡張したい」といった具合だ。もちろん、いずれも目指すゴールは、既存顧客のLTV(顧客生涯価値)の向上や新規顧客の獲得だ。

LTV向上、新規顧客獲得……、ファーストパーティーデータをどう活用すべきか

データは、それを分析して最大限に活用することで、より有意義なUXを実現できる。目下、マーケターが注目するのは、すでにキーワードとして挙がっているファーストパーティーデータの活用だ。

 ファーストパーティーデータの取り扱いについては、「許諾」「可用性」「継続性」という3つの要素を重視する必要がある。許諾とは、改正個人情報保護法を踏まえた上で、顧客の同意を得て収集・活用するという取り組みだ。そうして集めたデータは、ただそこにあるだけでは無意味である。大量のデータを幅広く利用できるようにするという可用性は、非常に重要だ。そして昨今のサードパーティーCookieの排除のように、新しい制限がかけられる手法では継続性に乏しい。中長期的に対応できるソリューションが望ましい。

 LiveRampの調査では、顧客が“個人情報を提供してもよい”と感じる条件として「誰にどのような目的で提供されるかが明確である」「使い方が明確である」といった項目が上位に挙げられていた。そして個人情報を提供する対価として、「自分にとって適切なコンテンツや情報を得たい」という回答が多数を占めた。今井氏は、この顧客に提供する「情報」が重要なポイントになると指摘する。このマーケターの情報把握と意思決定に特化したツールが「LiveRamp Safe Haven」だ。

 「LiveRamp Safe Havenは、データの断片化を解消して価値を高め、キャンペーンなどの投資効果を可視化したり、顧客行動を分析したりする機能が備わっている。データをつなぎ、包括的に顧客情報を把握することで、消費行動が目まぐるしく変化する状況に日々対応しなければならないマーケターの意思決定を支援する」(今井氏)

LiveRamp Safe Havenが提供する機能(出典:LiveRamp講演資料)

世界中にスーパーマーケットチェーンを展開する仏Carrefourは、世界30カ国に1万3000超の店舗を構え、8000万世帯以上を顧客とする欧州最大級の小売り事業者だ。

 同社は、複数の関連会社で異なったID体系を管理し、18ものデータアセットを抱えていた。このことが原因で、顧客に対する適切なコミュニケーションを通じたUXの向上を図ることができなかった。同じ問題は重要なビジネスパートナーである取引先メーカーとの情報連携や新サービス開発の障壁にもなっていた。

 今井氏によれば、Carrefourは3つのステップでUXを改革したという。

 ステップ1ではLiveRamp Safe Havenを活用して18の自社データアセットをつなぎ合わせて分析できるようにし、UXの改善を図る。ステップ2で、サードパーティーデータと連携してデータアセットを補強した。ステップ3では取引先メーカーの、いわゆる「セカンドパーティーデータ」との連携を実現して、詳細な顧客セグメントを作成してUXを向上させた。

 このデータアセット連携とUX改革をきっかけにとした新サービスも生まれた。Carrefourは2021年6月、Safe Havenをコアプラットフォームとしてメーカー向けのマーケティング支援サービス「Carrefour Links」をスタートさせた。

ROAS2倍、AOV13%向上も Cookie規制に対応したオーディエンスターゲティング

 LiveRampは、この他にもさまざまなサービスを展開している。その1つである認証トラフィックソリューション「Authenticated Traffic Solution」(ATS)は、Cookieやモバイル広告ID、IPアドレスのような従来の識別子に依存せずに、効果的な情報をユーザーに提供できる「ピープルベースマーケティング」を実現するものだ。

 パブリッシャ―は、サービスへのログイン認証時に、User IDとして最も使われているメールアドレスをハッシュ化し、安全な形で固有のID「RampID」を作成し、Cookieなどのこれまで使用されてきたものに代わる新しい識別子として活用できるようにする。

 一方広告主は、CRMやCDPで管理されているファーストパーティーデータから事業主ごとに固有のID「RampID」を作成。RampIDを介してオーディエンスデータのひも付けが行われる。この仕組みを利用すれば、通常であれば追跡しにくい、複数のサービスをまたぐオーディエンス情報をRampIDでひも付けられる。RampIDはセグメント情報のみを利用企業に返すので個人を特定せずにセグメントを把握できる。

 ATSを活用したエコシステムにより、個人情報保護法に抵触せず、また不用意に個人情報を取得しなくともターゲットに対して効果的なプロモーションを実行できる。

RampIDを使ったオーディエンスデータの突合(出典:LiveRamp講演資料)

 LiveRamp ATSは既に大規模な利用事例もある。アクティビティートラッカーで知られる米Fitbitは、2020年にLiveRamp ATSを活用したキャンペーンを展開した。顧客の持つウエアラブルデバイスの新しいバージョンを勧めたり、所有するデバイスに適合するアクセサリーを勧めたりと、LiveRamp ATS を介して顧客に親和性の高いプロモーションを実施したことで、Cookieに比べて広告費用対効果(ROAS)が2倍に上昇したという。加えて平均注文額(AOV)も13%向上した。

 食品メーカーの仏Danoneも、消費者情報基盤の再構築やより深い分析と洞察の獲得、小売り事業者とのデータ連係、Cookieからの脱却を目標に、LiveRamp ATSを導入した。全購入者の34%に対して、RampIDを介したピープルベースのターゲティングを実施したところ、ECサイトで17%の売り上げ上昇を達成。チャネルをまたいだ総売上高も24.7%増加したという。

 企業とマーケターを取り巻く環境は、多様に変化して将来を見とおすことが難しい。そのような状況下で、新しいデータ活用の道を切りひらいたり、新しい価値を顧客に提供したりと、LiveRampのサービスを介して取り組みを活性化しようと試みる事業者が増えている。既存のマーケティング手法から脱却し、次世代のマーケティングを実践する時期が来ている。

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