富澤商店がAI技術でSNS分析するAIQと次世代ソーシャルコマース事業で業務提携
2022.08.09
製菓・製パン材料、器具専門店の富澤商店は、AI(人工知能)技術によるデータ分析でソーシャルメディアマーケティング支援等を提供するAIQと業務提携契約を締結、8月から次世代ソーシャルコマース事業を開始すると発表した。
AIQのAI技術によって富澤商店のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)上のやりとりを分析。「興味・関心」の動向から満足感の高い商品にリーチする最適な購買経路を明確化することで、売り手からの「一方向のアプローチ」ではなく、生活者(消費者)同士のコミュニケーションから生じた安心感のある情報で、信頼性を伴った購買動機を育み、商品購入ができる次世代ソーシャルコマース事業を開始する。
さらにお客同士だけでなく、富澤商店の公式アカウントや商品知識が豊富な実店舗の従業員、公式ファングループと共に当事業の効果の最大化を図るという。
同事業の推進により、ソーシャルメディアによる人と人の「興味・関心」のつながりからライフタイムバリュー(顧客生涯価値、LTV)の高い潜在・顕在顧客を獲得し、EC(電子商取引)売上高対前年比10%増を目指す。さらに日本のソーシャルコマース市場活性化をけん引していく。
富澤商店はコロナ禍を機にECの販売を大きく伸ばし、会員数は2020年2月時点の35万人から22年6月には60万人に増加している。自社SNSの利用も活性化し、フォロワー数は21年12月~22年6月の期間にTwitterは約10万、Instagramは約4万増えた。エンゲージメント率も大幅にアップしており、強いアカウント形成が確立されているとしている。
富澤商店のSNSのフォロワーは「料理をつくる楽しさによる共感」でつながっているという点で高いロイヤリティを有しているといい、今回、この特徴をEC販売にも生かすためにソーシャルコマース事業に注目し、事業パートナーとしてAIQと業務提携した。
同社によると、中国やアメリカなど海外を中心に盛り上がりを見せるソーシャルコマース(ライブコマース)が注目される中、日本におけるソーシャルコマースは依然として「物を売ること」が前面に出て、SNS でのコミュニケーション特有の「興味・関心で繋がる」や「買い物の課題を解決する」は影が薄くなりがちとなり、なかなか定着できずにいるのが現状だという。
また、日本はアフェリエイトがそぐわない国民性だと言われるとし、昨今では「検索よりもタグでたぐれ」の風潮が強くなっていることから、広告色のない生活者の生の声が尊重される傾向にあるとしている。
そうした背景を受け、今回の事業では、購買の前に「合致した興味・関心による繋がり」があることを前提とし、その関係を深めた上で納得ずくで商品購入に至る、日本人の特性に合ったソーシャルコマースプラットフォームを開発、提供する。また、プラットフォームの効果を最大化できるように公式アカウントや従業員などのSNSでの影響力を高める取り組みも推進していく。