Google Bardとは?ChatGPTとの違いやメリット、できること、使い方を解説

2023.06.01

OpenAIによって開発された生成系AI「ChatGPT」がビジネス領域に限らず、一般の生活者からも注目を集めているが、ChatGPTに追従する形で米Googleも生成系AIサービス「Google Bard(グーグルバード)」をリリースした。自然言語処理技術を搭載したテキスト生成系AIで、ChatGPTと同様、その可能性に関心が寄せられている。

本記事では、Google Bardの概要からできること、活用するメリット、ChatGPTとの違い、実際の使い方まで解説していく。

Google Bardとは?

出所:Google Bard

Google Bard(グーグルバード)とは、Googleが発表した生成系AIである。ユーザーが入力した質問に対し、違和感のない自然な文章を返すのがGoogle Bardの大きな特徴。「Bard」には「吟遊詩人」という意味があり、まさに人間が文章を考えて応答しているかのような命名となっている。

大規模言語モデル「PaLM 2」を搭載

Google Bardには、Googleの最先端大規模言語モデル「PaLM 2」が搭載されている。「PaLM 2」は大量のデータセットでトレーニングを行い、ユーザーからの問いに対してテキスト・クリエイティブコンテンツといった成果物を創造し、回答を返す。

特に、多言語・推論・コーディング機能が向上した言語モデルであるとGoogleは明言。例えば、「PaLM 2」は100以上の言語をトレーニングしており、慣用句・詩といった表現形式が独特な言葉であっても、多様な言語で理解・生成・翻訳することができる。

その他、「PaLM 2」のトレーニングに利用されるデータセットに、数式を含む科学論文やWebページが含まれているのも特徴。論理的かつ常識に基づいた推論、および数学能力の向上を実現している。

「PaLM 2」はGoogle Bard以外にも、Gmail・Googleドキュメント・YouTubeなど、Googleの25のサービスに搭載されている。高度なAI機能で世界中のユーザーに真の利益をもたらしていく。

Google Bardの料金は?無料で使える?

Google BardはGoogleアカウントを作成し、初期登録を行えば利用できる。Googleアカウントの作成およびGoogle Bardへの初期登録に料金は発生しないため、サービスは無料で利用可能。

誰でも手軽に活用できるAIサービスと言えるだろう。

2023年5月11日に日本語対応版を公開

Google Bardは2023年3月21日に一般公開されたが、地域は米国と英国に限定されていた。しかし、2023年5月11日には日本語・韓国語にも対応し、多言語対応を強化。

日本語で質問して日本語の回答を得られるので、翻訳も必要なく利用可能となっている。

Google Bardでできること

Google Bardの最も基本的な使い方として挙げられるのが調べもの。例えば、「Androidとは?」と質問すると、下記のような回答が得られる。

Google Bardには単純な質問に対する回答を得る以外に、下記のような使い道も存在する。

  • 文章の要約・翻訳
  • アイデア出し
  • 表作成
  • プログラミング

それぞれの例を簡単に紹介していく。

文章の要約・翻訳

長いドキュメントや外国語の文献などを手早く理解したい際におすすめの使い道が、Google Bardの要約・翻訳機能。例えば、先ほど生成した「Androidとは?」の文章に対し、Google Bardに要約のプロンプトを送ってみると、下記のように箇条書きでAndroidの概要がまとめられる。

省かれている文章もあるが、概要を理解する程度であれば十分と言えるだろう。

アイデア出し

Google Bardからアイデアを捻出し、私生活やビジネスに活かすのも一つの活用法。例えば、「母の日に贈るおすすめのプレゼントは?」と質問すると、下記のような回答が得られる。

ビジネス領域においても、一例として「優秀な人材を育成するためのアイデアが欲しい」と質問すると、下記のような回答が得られる。

トレーニング法から社員との接し方まで、具体的なアイデアが提案された。アイデアが思い付かないときや、先入観にとらわれず客観的なアイデアを求めるときは、Google Bardを活用してみてほしい。

表作成

Google Bardには、データを表形式でまとめる機能も備わっている。例えば、下記情報を表形式で作成するようプロンプトを送ってみる。

  • 商品A(価格1,000円、在庫数50個)
  • 商品B(価格500円、在庫数60個)
  • 商品C(価格800円、在庫数30個)

もちろん、生成されたデータはExcelやGoogleスプレッドシートに貼り付け可能。表形式で整形したいデータがあれば、一度Google Bardを試してみてほしい。

プログラミング

Google Bardでは、指定したプログラムのソースを1から作成することも可能となっている。例えば、「Pythonで素数判定を行うプログラムを書いて」と入力すると、下記ソースコードが返される。

簡単な解説付きで、プログラミング学習をしている人にもおすすめの機能と言えるだろう。

Google Bardのメリット

ここでは、Google Bardを活用するメリットを解説していく。

作業を効率化できる

Google Bardを活用すれば、これまで人間が担ってきた業務の一部をAIに任せることが可能になる。

例えば、プレスリリースやキャッチコピー、プロモーション文章、ブログ記事のタイトル・見出し・本文といったコンテンツも、Google Bardで即座に生成可能。生成されたコンテンツをそのまま利用すると剽窃のリスクを伴うため、修正や加筆は必須と言えるが、たたき台が生成されるだけでも作業効率の向上を見込める。

結果的に、人件費削減・人的リソースの確保・働き方改革の促進など、さまざまなメリットを享受できると言えるだろう。

膨大なデータにアクセスして情報収集できる

Google Bardの大規模言語モデル「PaLM 2」は膨大なデータを集めてトレーニングを行い、そのデータを基にユーザーへ適切な回答を返す仕組みとなっている。膨大なデータへアクセスできるのは、ユーザーにとっては大きなメリット。

従来は知りたい情報があれば、GoogleやYahoo!の検索エンジンを利用して調べものをするのが通常であった。しかし、複数のWebサイトへアクセスして情報収集を行うのは、非常に手間がかかり非効率。時間をかけて検索し続けた結果、欲しい情報を得られなかったという人も多いだろう。

その点、Google Bardを活用すれば、膨大なデータへ対話形式で手軽にアクセスでき、短時間で欲しい情報を得られる。ただし、情報の正確性が保証されているわけではないため、Google Bardから返ってきた情報を鵜呑みにせず、正確性を見極めることも重要である。

Google BardとChatGPTの違い

ChatGPTに対抗する形でリリースされたGoogle Bard。両サービスとも生成系AIであり、仕様や使用感など似通っている部分も多い。

それでは、Google BardとChatGPTにはどのような違いがあるのだろうか。両サービスの相違点を解説していく。

情報の最新性

ChatGPTがトレーニングに利用したデータセットには2021年9月までの情報しか含まれていないため、以降の出来事を聞いても回答を得ることはできない。例えば、ChatGPTに「2022年FIFAワールドカップの優勝国はどこですか?」と質問すると、下記のようにデータを保有しておらず、ニュースやスポーツメディアを参照するよう促される。

一方、Google Bardは最新の情報も学習しており、同様の質問を行っても下記のような正確な回答を得られる。

最新のニュースや時事問題などリアルタイム性の高い質問を行う際は、Google Bardのほうが適していると言えるだろう。

言語モデル

ChatGPTには、言語モデル「GPT」が採用されている。「GPT」もGoogle Bardの「PaLM 2」と同様、大規模なデータセットを基にトレーニングされており、翻訳・要約・創作・プログラミングなどのテキスト生成が可能。

なお、ChatGPTでは無料版・有料版のいずれかを選択できるが、無料版には「GPT-3.5」、有料版には「GPT-4」の言語モデルを搭載。「GPT-3.5」に比べ、「GPT-4」の精度や回答の安全性は高く、またフィードバックの反映も的確に行われている。

「PaLM 2」と「GPT」のどちらの言語モデルが優れているかは一概に言えず、双方に長所と短所が存在する。先に述べた通り、情報の最新性という点ではGoogle Bardが優れており、ChatGPTには無い大きなメリットと言えるだろう。

生成スピードに関しても言語モデルの違いが影響するため、実際に比較してみた。例えば、ChatGPT(無料版)に「AIとは?」と質問したところ、下記445文字の回答が約22秒で返された。

一方、Google Bardに同様の質問を行ったところ、下記664文字の回答が約7秒で返されるという結果に。

ChatGPTの無料版と比較した場合、速度面においてもGoogle Bardのほうが優れていると考えられる。

その他、各言語モデルの精度に関しても検証。例えば、両サービスに「DXとは?」と質問してみた。


ともにDXに関して誤った情報は返されておらず、精度は非常に高い。一方で、2枚目のChatGPTのほうは具体的な業務改善案やビジネスモデル案も提示されており、よりDXに関してイメージが付きやすい印象を受けた。

当然、ユーザーの質問内容により回答も変わるため、ChatGPTのほうが網羅性や正確性が高いとも言い切れない。しかし、両サービスとも優れた精度を持ち、私生活やビジネスの手助けになるのは間違いないだろう。

Google Bardの使い方

初めてGoogle bardを使用する人向けに、ここでは初期登録方法から使い方まで解説していく。

Google Bardの初期登録方法

まず、Google Bard公式サイトへアクセスし、『ログイン』をクリックしてGoogleアカウントでログインする。

ログインが完了したら、画面右下に『Bardを試す』のボタンが表示されるので、クリックする。

続く画面では「利用規約とプライバシー」が表示される。問題なければ『同意する』をクリック。

次に、『Bard は試験運用中のサービスです』というダイアログが表示される。Google Bardの正確性に関する留意事項など記載内容を確認し、『続行』をクリックする。

ダイアログを閉じると、Google Bardのホーム画面が表示される。

Google Bardの初期登録方法は以上である。

Google Bardの基本的な使い方

Google Bardの使い方だが、ホーム画面下のテキストボックスに文章を入力するだけで、質問に対する回答を得られる。

例えば、「Google Bardとは?」と入力して送信すると、下記のような回答が返ってくる。

ChatGPTと同様、非常にシンプルな操作方法で、誰でも簡単に利用できるツールと言えるだろう。

Google Bardのまとめ

生成系AIがトレンド的に利用される昨今において、新たに登場した対話型AIサービスのGoogle Bard。人間と変わらない自然な日本語でテキストを生成でき、作業の効率化や検索時間の短縮といった多様なメリットを利用ユーザーは享受可能となっている。

今後はGoogleドキュメント・Googleドライブ・Gmail・Googleマップなど、さまざまなGoogleサービスとGoogle Bardを連携していくことが予定されている。一層高い利便性で、Googleサービスを利用できるようになる日も近いだろう。

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