スーパーバイザーとは?業種別の役割や仕事内容、求められるスキルや資格などを解説
2022.10.05
2022.05.25

役職の1つである「スーパーバイザー」。小売業や飲食業、福祉業、外資系企業とスーパーバイザーが設置される業種は多岐にわたり、それぞれで役割や仕事内容も異なる。また、リーダーやエリアマネージャーなど似た役職もあり、混同してしまう人も多いだろう。
本記事では、スーパーバイザーの業種ごとの役割や仕事内容、さらにスーパーバイザーに求められるスキルや資格などについて解説する。
スーパーバイザーとは
スーパーバイザーとは、おもに管理や監視業務を行う役職を指す。英語で「監督者」「管理者」「上司」などを意味する“Supervisor”が由来だ。略語である「SV」と呼ばれることもある。日本国内では店長、施設長、エリアマネージャーなどと共に、職種ではなく役職として設置されているのが一般的だ。
元々海外では管理や監視業務を行う人物そのものを、業種を問わずスーパーバイザーと呼ぶことが多い。日本では、外資系企業に設置されていることが多いが、小売業、飲食業、福祉業、コールセンターなどにもスーパーバイザーが設置されているケースが多くある。
業種ごとのスーパーバイザーの役割や仕事内容
日本では全ての業種にスーパーバイザーが設置されているのではなく、特定の業種にのみ存在する役職だ。
また、業種によってスーパーバイザーのおもな役割や仕事内容、意味合いが異なってくる。同じ業種でも企業によって異なる場合もあるが、下記では、業種ごとのおおよそのスーパーバイザーの役割や、仕事内容について解説していく。
小売業、飲食業のスーパーバイザーの役割や仕事内容
小売店や飲食業におけるスーパーバイザーの役割は、担当エリア内における監視と、店舗と本社との橋渡しだ。エリアの管理者、監督者であることから「エリアマネージャー」と呼ばれることもあるが、役割や仕事内容は名前が変わってもスーパーバイザーと同一である。
スーパーやコンビニなどの小売業、ファミリーレストラン、居酒屋、ラーメン店、焼肉店などの飲食店は、いずれもチェーン、フランチャイズ、直営店と同一エリア内に同グループの店舗が設置されている特徴がある。
エリア内での競合との戦略は必須となるため、小売店や飲食業におけるスーパーバイザーの役割は、地域性が関連しているとも言えるだろう。
小売店や飲食業のスーパーバイザーのおもな仕事内容は以下の通りだ。
・担当エリアの業績管理
・各店舗の店長への指導やコミュニケーション
・本社と各店舗との意向のすり合わせ
おもな仕事は、担当するエリアの業績管理だ。スーパーバイザーは担当するエリアの店舗1つ1つに足を運んで、売上アップへのアドバイスや指導を行う。また、担当エリアの競合の調査もスーパーバイザーの仕事となる。
おもに店舗の従業員への教育やディスプレーについてのアドバイス、オペレーションの進め方などは店長が行うが、課題がある場合や改善が見られない場合、スーパーバイザーが店長へ指導や教育などのサポートを行うこともある。
スーパーバイザーは本社と各店舗との橋渡しとして、本社からの通達を各店舗に伝えたり、通達が実行されているかを確認したりもする。店長が自店舗に関する管理業務を行うのに対して小売業・飲食業のスーパーバイザーはそのひとつ上の段階である、担当エリアの管理業務を担っていると言えるだろう。
アパレル業のスーパーバイザーの役割や仕事内容
アパレル業におけるスーパーバイザーは、担当する店舗の運営支援をおもに行う。アパレル業のスーパーバイザーの仕事内容を以下にまとめた。
・店舗と本社との橋渡し
・運営コンサルティング
・店長や従業員の育成
小売店や飲食店のスーパーバイザーと同じく、アパレル業のスーパーバイザーも本社と店舗との橋渡し役を行う。全ての店舗が同じ水準となるように、本社からの意向を店舗へ適切に指示する。逆に店舗型から本社へ希望や要望があるときには、スーパーバイザーを通じて本社へ伝えられる。
店舗の業績アップや運営のための、コンサルティングもアパレル業のスーパーバイザーは行う。店舗のディスプレイなどに対してアドバイスをするのは小売店や飲食業のスーパーバイザーと同じだが、アパレル業のスーパーバイザーは在庫や売れ筋のチェックを行い、場合によって本社へ仕入れに関する交渉も行う。在庫のコントロールなど、店舗側へ一歩踏み込んだサポートを行っているのも特徴だ。
店長や店舗従業員の育成も、アパレル業のスーパーバイザーが行う。アパレル業ならではのコーディネートやメイクなどのアドバイスも、スーパーバイザーからの視点でアドバイスができる。必要に応じて店長や店舗従業員と面談を行うため、店長や店舗従業員全体のスキルアップを一緒に目指す立場ともいえるだろう。
福祉関連のスーパーバイザーの役割や仕事内容
社会福祉施設や福祉関連機関におけるスーパーバイザーとは、従業員への研修や教育を行う熟練した能力やスキルを持つ指導者を指す。福祉業界では、従業員の能力やスキルアップ、職場環境の改善などを目的とした研修「スーパービジョン」が随時実施されている。スーパービジョンでの指導や教育を行うのがスーパーバイザーであり、対して研修を受ける人は、スーパーバイジーと呼ばれる。
スーパービジョンで指導を行うスーパーバイザーになるには、スーパーバイザー登録規程に従って申請を行い、スーパーバイザーとして登録される必要がある。そのため、福祉関連業におけるスーパーバイザーとは、役職ではなく役割や職種を指しているのが特徴だ。
コールセンターのスーパーバイザーの役割や仕事内容
コールセンターのスーパーバイザーとは、コールセンター全体の管理や監視、監督を行う役職を指す。主なコールセンターのスーパーバイザーの仕事内容は、以下の通りだ。
・オペレーターの勤怠管理
・オペレーターの育成、研修
・オペレーターとしての業務
・コールセンター業務の確認と管理
・業務改善に向けた企画、提案
オペレーターの勤怠管理やシフト作成は、コールセンターのスーパーバイザーの仕事のひとつだ。個人の希望やコールセンターの要望に応じてオペレーターの人員配置を行う。オペレーターの育成や研修では、新人オペレーターへの指導や教育はもちろん、ベテランのオペレーターへの指導やスキルアップのための研修も行う。
オペレーターでは対応が難しい顧客への対応やアドバイスの提供、オペレーターが抱えている課題の解決など、業務上でのサポートも適時行う。さらに、オペレーターが円滑に働ける環境を整えるのもスーパーバイザーの仕事だ。
コールセンターのスーパーバイザーは、マネジメント業務に加えて自身も顧客への応対などのオペレーター業務も行うのが特徴だ。他業種のスーパーバイザーがマネージャーであるのに対して、コールセンターのスーパーバイザーはプレイングマネージャーであるのも、他業種との違いといえるだろう。
さらにコールセンター業務の確認や管理、業務改善のための企画や提案など、コールセンターの品質向上のための業務も担っている。ただし、コールセンターによって企業の目指す風土や考えが異なるため、会社の持つ考えを理解した上で業務改善を目指すことがスーパーバイザーには求められている。
テレビや映画製作におけるスーパーバイザーの役割や仕事内容
テレビや映画などの映像作品におけるスーパーバイザーは、監修者の役割を持っている。映像作品のジャンルごとに専門家であるスーパーバイザーが付き、演出や内容などに対するアドバイスや提案を行う。
また、書籍や音楽作品などでも、監修者という立場のスーパーバイザーが付くことも多い。作品の内容に矛盾がないか、事実と反する点はないかなどをスーパーバイザーが監修することで、世に出る作品が仕上がっていくと言えるだろう。
外資系企業のスーパーバイザーの役割や仕事内容
外資系企業のスーパーバイザーは、従業員やチームの監視、監督を行う役職だ。日本国内の企業にあてはめると、係長や課長などの管理職が該当することが多い。そのため企業によってスーパーバイザーの担う役割や仕事内容が異なる。
おもな外資系企業のスーパーバイザーの仕事内容は、以下の通りだ。
・ワークフローの管理
・新人の教育や研修
・チームのスケジュール作成や管理
・人事部や上司へ人事評価の報告
・業務の評価とフィードバック
・従業員の問題解決のサポート
チームが円滑に業務を遂行するために、ワークフローの作成や管理はスーパーバイザーに任されている。チームに新人が入ったときに、会社のルールや業務内容の指導などを行うのも、スーパーバイザーの仕事だ。
チームメンバーにシフト勤務者がいる場合には、スケジュールの作成や管理をスーパーバイザーが行う。上層部と従業員との橋渡しもするため、従業員の査定や評価を上司や人事部に報告する役目も担う。ほかにも業務の評価やフィードバック、従業員の問題解決のサポートなど、業務が円滑に進むためにスーパーバイザーが働きかけていることも多い。
スーパーバイザーに求められるスキルや資格
一段階上の管理や監視、指導を行うスーパーバイザーになるためには、必要となるスキルもある。スーパーバイザーに求められるスキルや資格を解説する。
マネジメントスキル
スーパーバイザーは複数の店舗やスタッフの管理を担うため、マネジメントスキルは必須となる。計画通りに物事を進めるスキルや、目標を設定して達成させるスキル、適切に評価ができるスキルなどが求められる。
コミュニケーションスキル
スーパーバイザーは、本社と店舗、従業員と上司など人と人の間に立って調整を行う役割も持っている。店長や従業員の課題解決や、スキルアップのための指導や研修も行う。同じ社内の人間同士はもちろん、顧客や関係者と接する機会も多いため、コミュニケーションスキルも求められる。
数値管理スキル
スーパーバイザーには、担当している店舗やエリアの業績を上げる役割も持っている。そのためには、店舗や担当エリアの売上や利益などをつねに把握できる数値管理スキルも必要だ。目標設定のためにエクセルなどの表計算ソフトを使うスキルや、グラフなどにまとめられるスキルも求められる。
柔軟さ
スーパーバイザーは、本社からの通達が出たら担当店舗へ赴き、適切な指導を行う。また、コールセンターのスーパーバイザーのように、トラブルが発生したときや従業員では対応しきれない案件に対しては、スーパーバイザーが対応する。とっさの出来事に対しても対応できる、柔軟さや臨機応変さも必要なスキルと言えるだろう。
リーダーシップ
スーパーバイザーには担当するエリアや店舗の店長やスタッフ、チームのメンバーたちをうまくまとめ上げるためのリーダーシップが必要だ。リーダーシップのあるスーパーバイザーなら、担当エリアの店舗の店長やスタッフ、メンバーからの人望も厚く信頼も得られるため、目標達成への統制が取れたり、業務効率が上がったりといったメリットもある。
広い視野
スーパーバイザーは、担当するエリアにある店舗から、店舗の店長、スタッフ、チームのメンバーなどあらゆるものを同時に管理、監督することが求められる。課題や問題点が発生するまえに早期に対応できるように、つねに広い視野で自分の担当する範囲を管理する必要がある。
充分な業務経験および特定の資格
スーパーバイザーになるためには、担当する業種の十分な実務経験が必要だ。未経験業種へのスーパーバイザーになることはほぼ不可能と言える。福祉業界におけるスーパーバイザーのように、特定の資格取得が必要となるケースもある。
スーパーバイザーは人や店舗をつなぐ重要な役職
スーパーバイザーの概要や各業種のスーパーバイザーの役割や仕事内容、スーパーバイザーに求められる資質やスキルについて解説した。スーパーバイザーは担当する店舗や人材などを監視するだけでなく、人材の育成や競合の分析、働きやすい環境の整備など多くの役割を担っている。
さらに店舗などの現場と本部をつなぐ橋渡しの役割も持っている。店舗と本部間で温度差や認識の違いがあっても、スーパーバイザーが間に入ることで円滑な意思疎通が可能となるだろう。