帳合とは?小売流通業における意味と役割、メリット・デメリットなどを解説

2022.06.15

2022.05.27

流通業界でよく耳にする用語に「帳合」がある。もともとは会計用語の「帳簿合わせ」を意味するが、卸売・小売業においては「帳合取引」を指す。

日本では昔から帳合取引が行われており、小売業者はもちろん、メーカー側にとっても様々なメリットがある。ここでは、流通業で使われる帳合という用語の意味と帳合取引を行うメリット、デメリットについて解説する。

帳合(ちょうあい)とは?用語の意味・仕組みを解説

帳合は、「ちょうあい」と読み、流通業界の他にも、食品業界や出版業界、医薬品業界など、さまざまな業界で使われる用語である。

帳合取引、帳合商品、帳合価格、帳合が付く、帳合をもらうなどといった使い方をする。売買取引を行う業者や企業であれば、頻繁に耳にする用語かもしれないが、一般的には耳慣れない言葉だろう。流通業界における帳合という用語の意味と仕組みについて解説する。

会計用語で勘定と帳簿を照合・確認すること

帳合とは、本来会計用語として使われていた言葉であり、手元にある現金や商品の勘定と帳簿を照合し、記入された数字の正誤を確認、帳簿の正確性を高める会計上の作業「帳簿合わせ」を指す。

この帳簿を合わせる作業は、取引先や銀行などと帳簿を照合する作業にあたる。収支を帳簿に記入し、損益を計算するといった意味もある。

他にも、専門用語として伝票印刷においては、複写用紙で順番通りに用紙を重ねることを帳合という。また、帳合が会計用語に分類されているのは、帳合と呼ばれる和式簿記が日本では古くから利用されていたためだ。現在主流である洋式簿記に移行される明治期まで、帳簿をつける際に帳合法が用いられていた。

卸売・小売業界では取引関係があること

流通業における帳合とは、自社と取引関係にあること、固定の卸売業者、仕入れ先を持つことを意味し、「帳合取引」を略した言葉とされている。

スーパーマーケットなどの小売業で使われる帳合は、小売店と卸売業者間で取引口座が開かれている状態、どこの卸売業者を通して、商品を配送、販売しているかを表す用語でもある。

卸売業者がメーカーと小売業者の間に入って帳合関係にあるもの同士で取引を行い、商品の安定供給を確保している。帳合は江戸時代からある言葉で、当時は米相場において行われた空米取引、先物取引のことを帳合取引と呼んでいた。

帳合先や帳合取引の意味と仕組

メーカーや小売業者にとっての帳合先とは、取引関係にある特定の中間業者、卸売業者のことを指し、帳合先との取引を帳合取引という。卸売業者はベンダー、問屋、商社、帳合卸商などの別称があり、チェーンストアなどでは決まった中間業者を介した帳合取引が一般的である。

帳合先である卸業者は、取引がスムーズに行われるよう、メーカーと小売業者との橋渡し役として機能し、手間や時間を要する調整や交渉、在庫管理など、煩雑な業務の代行を担っている。

商品やメーカーごとによって、帳合先が異なる場合が多い。帳合取引には、特定の業者が小売店に商品を納品する場合と、メーカーが商品の納品を行い、特定の中間業者に伝票だけ通すことを求められる場合がある。

帳合取引の役割とは?採用される理由

欧米と比較しても、日本の商材は多品種で、小ロットでの注文が多いことから、独自の販売ネットワークや在庫管理・物流システムを有する卸売業者の存在は必要不可欠である。帳合取引の役割と、日本国内で多くの企業や業者から帳合取引が採用される理由を見ていこう。

信用ある業者間で安定的に取引を行うため

小売業者にとって、日々安定して商品の供給が行われなければ、品揃えを確保することは困難である。希望の商品を必要なだけ仕入れるには、毎日入札で仕入れ先を決定していては非効率であり、その日によって商品が仕入れられないリスクが生じる可能性もあるだろう。

流通業では先に商品を納品して、その場で代金を支払うのではなく、後払いの掛け売りで取引を行うことが多い。そのため、確実に代金回収が可能と判断した取引経験を持つ業者間で取引を行う傾向にある。このような背景から、信頼ある業者同士で安定的に取引を行うために、帳合取引が採用されている。

配達代行や納入を任せた方が利便性がよいため

日本国内で帳合取引が行われていた理由として、山が多く流通の便が良くない、小規模な集落を多数抱える日本の複雑な地形が背景にある。商品を各地域に効率的に流通させるためには、土地勘や流通網が必要だ。メーカーだけでは、人口が点在する地域へ商品を行き渡らせるのは難しい。

そこで、メーカーがそれぞれの地域にある卸売業者に商品を運んで、卸売業者から小売業者に配達、販売を代行してもらう帳合取引が広く行われるようになった。物流が発達した現在でも、特に地方の小売店などでは帳合関係が強固で、利便性の高さから主流の取引として活用されている。

帳合取引を行うメリット

メーカーと小売業者が卸売業者を介さずに取引を行えば、どちらも今以上に利益率は上がるだろう。

しかし、卸売業者を利用することで生じるデメリットよりも、帳合取引を行うことで得られる情報や利便性に大きなメリットがある。

一般消費者が安心して商品を手にできるのは、帳合で仕入れが滞らず、取引が円滑に行われているからともいえる。メーカーと小売業者、それぞれの立場から帳合取引を行うメリットについて解説する。

小売業者が帳合取引を行うメリット

小売業者が帳合取引を行うことで、帳合先である卸売業者の信頼を利用して、さまざまなメーカーから幅広い商品が安定的に仕入れられるようになる。

前述の帳合取引が採用される理由でも触れたように、取引経験がない状況で小売業者が希望する商品を仕入れたいと思っても、信用力の問題などでメーカー側から取引を敬遠される傾向にある。

また、中間業者という立ち位置の卸売業者は多くの情報が入手できるため、売れ筋の情報などを提供してくれるうえに、価格や納期の調整なども代行してくれるので、小売業者は販売に集中することが可能となる。

他にも、メーカーに直接商品を注文するとなると、大量での注文が必要になり、納品にも時間を要してしまうが、帳合取引なら必要な量をすぐ納品してもらえる点もメリットといえる。メーカーとの交渉や調整以外にも、小売店に代わり、卸売業者が在庫管理を行ってくれることで、在庫リスクを抱える必要がなくなる。

また、帳合先からは優先的に商品を供給してもらえることもあり、流通量が少ない時期であっても、比較的安定して商品の入荷が見込めるだろう。

メーカーが帳合取引を行うメリット

帳合取引には小売業者だけではなく、メーカー側にも多数のメリットがある。メーカーが各地方の小売店に直接商品を納品するとなると、その都度少量の供給を行っていては負担が大きくなる。

卸売業者に商品を一括で納品することで、運賃や保管料といった費用負担も減り、納入した在庫から少量での供給も可能になるうえに、一定の量の商品を買い取ってもらえれば、安定的に収益を上げられ、経営面でも安定する。

商品の販売や配達、商品代金の回収まで、メーカーの代わりに小売業者との交渉を卸売業者が一手に担ってくれるため、販売業務や物流業務、代金回収の手間とリスクが軽減できる。

卸売業者が販売・物流を代行してくれることで、メーカー側は作ることに専念できるので、より効率的に質の高い商品を多く製造できるようになる。小売業者と同様に、卸売業者と帳合関係にあれば、売れ行きや売れ筋商品、消費者に関する情報などが得られて、なおかつ販売店を新規開拓する必要がなくなるのも利点だ。

帳合取引で考えられるデメリット

帳合取引にはさまざまなメリットがあるが、いくつかデメリットも存在する。中間業者である卸業者を通すことで、仕入れ値に対してマージンが発生するため、費用の負担が大きくなる場合がある。

利益とマージンを踏まえた価格で商品が販売されるので、消費者にとっては余計なコストがかかることになる。帳合取引によって業者間だけでのメリットを追い求めすぎると、消費者へのデメリットにつながる。結果、商品が売れなければ、安定的な取引は見込めなくなるだろう。

また、帳合取引が固定されている場合、帳合先以外の競合他社が入り込めず、市場において独占的な取引となる可能性もある。独占禁止法に準じた帳合、取引への配慮が必要になる。

小売業者にとっては、帳合先である卸売業者が提示した価格で仕入れるしかないデメリットもあり、価格競争が行われないため、高めの価格になりやすい。

帳合の意味・仕組みを理解しよう

インターネットの普及や物流機能が整った現代においては、卸売業者を通さずに、ネットショップや小売店を展開し、直接消費者に販売するケースも増えている。

しかし大企業であれば問題はないが、中小企業は帳合先である卸売業者を利用しなければ、商品カテゴリーごとにメーカーやブランド数が多い日本の商品は捌ききれず、時間や労力だけではなく、流通コストの増大は避けられない。

日本では昔から帳合取引が行われてきた歴史があり、メーカーや小売業者に多くのメリットをもたらす帳合は、今後も活用されていくだろう。卸売・小売業などの流通業界で使われる帳合の意味・仕組みやメリット・デメリットをしっかり理解し、商取引を円滑に進めていきたいものだ。

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