「変化と挑戦」で仲卸業界を変える! 浜松 “まぐろのプロ集団” が乗り出したデジタルシフトと新たな販路開拓
2024.10.07
目次
株式会社SANKO海商
取締役副社長 田中正和様
課題 : 仲卸業者の減少を背景に、新たな販路開拓が迫られている。
施策 : 小売を始め、「まぐろ即売会」認知拡大のためトクバイを活用(商品投稿、クーポン施策)
効果 : デジタル施策開始後、売上200%アップ、コスト圧縮。若年層の取り込みも成功実感。
―今回お話をお伺いしたのは
浜松市中央卸売市場の「まぐろの海商(SANKO海商)」は、まぐろに特化した業者として40年の歴史を持つ水産物仲卸チーム。お話を伺ったのは、株式会社SANKO海商の取締役副社長、田中正和様です。
「漁業従事者は年々減少。なんとかその流れに歯止めにかけたい」

田中様:市場内取引が中心であった従来型の取引から、法改正によって荷受けが大手小売スーパーなどと市場外取引ができるようになり、仲卸事業者数は減少していく一方。このままでは仲卸としてのBtoB事業が5〜10年後に成り立たなくなる…….。そんな食品流通を取り巻く状況を踏まえ、新たな販路開拓の施策のひとつとして「小売」を始めました。
―まぐろ一筋40年!仲卸業界を変えるために、全員で挑む「まぐろ即売会」

田中様:月に1度「まぐろ即売会」を開催し、まぐろ解体師が解体の実演を行います。そこで好評をいただいたまぐろを始め鮮度抜群の海鮮を、より多くの人に手軽に味わっていただくため、イオンモールのフードコートにも店舗展開。出張解体ショーなども行っています。

地元や、遠方からの大勢のお客様を前に実施される、宮城県産天然本まぐろ解体ショーの様子(まぐろの海商 即売会 大塚加工場にて)。大きなまぐろ包丁でテンポよく解体が進むたびに、歓声や拍手が湧き起こります。
ファミリー層の取り込みのため、子どもが喜ぶお菓子掴み取りイベントやクイズ形式での実演など、工夫を凝らした取り組みも。

解体されたまぐろは、その場で切り落として値付け。鮮度抜群の状態で、買って帰ることができます。即売会では、まぐろ丼などの商品購入も可能。
「まぐろ即売会」集客の着想はSNS!
―デジタルシフトとトクバイ導入の背景は?
田中様:当初、販促はチラシのみでした。折込部数は、最大5万部。ピンポイントでチラシを巻く地域を決め、少しずつその地域をズラして試しましたが、地域によって全く反応がない月があり、これでは効率が良くないのではという話に。
さらに、お客様の多くが60歳以上の高年齢者。客単価は良い一方で、当初狙っていた「ファミリー層」がほとんどいなかったんです。テレビCMも打ったけれども、来店効果はなし。そこで、SNSを通じてフォロワーを集めそこに発信することで若い層を呼び込もうと考えました。

田中様:その時ちょうど「せっかくインスタなどのSNSでフォロワーを集めているのだったら、トクバイでも集められるよ」と(トクバイを活用していた親会社の店長から)聞いて、トクバイを始める決断に至りました。月額1万円程度であれば、金額的に無理のないスタートだと感じました。
「即売会」来店の効果実感あり!
―導入後の効果についてどのように感じていらっしゃいますか?
田中様:SNSや友人・家族から聞いて来場される方が増えました。「トクバイを見た」というお客様も増えているし、潜在的にはもっとユーザーがいるのではないかと思います。即売会は25%が初回来店者、75%は2回以上のリピーターです。実際に毎回25%の新規顧客が加わっているのは、いい循環だと感じています。
“コツコツ投稿”が実り、フォロワーは1,000人規模へ
チラシ作成のため画像撮影、撮影用の商品手配など、ECチームが「せっかくの初挑戦を盛り上げたい!」と、トクバイの商品投稿向けに丁寧に画像を撮影しています。

トクバイでは、即売会来場で、来場者に嬉しいお土産がもらえる「プレゼントクーポン」を発行。
「こうしたコツコツとした作業が功を奏してか、月に1度の即売会に対し1,000人近いフォロワー数に育っているのは大きいと感じています」と田中様。
売上に対するインパクトとコストカット
田中様:即売会を開始してから売上増加比は200%です。折込やCMにお金かけていた時の販促費を丸々カットしつつ、売上が上がるのは良い循環です。地道にコツコツと、SNSの活用、フォロワー施策を継続し、例えばクーポンをうまく活用するなどして、フォロワーを獲得していくのは重要だと感じています。
このまま売上を伸ばし、将来的には魚を使った新商品を開発し、仕入れ、加工、販売まで一気通貫で行える常設店を出すことを見据えるSANKO海商。
その際に、トクバイで獲得したフォロワーやSNSのフォロワーに対し、最初から拡散・アプローチできる点にもトクバイ継続のメリットあるとおっしゃいます。
―最後に、業界への想いを語ってくださいました
田中様:トクバイを使って即売会に足を運んで頂きながら、お客様の声を反映した、お客様がもっと喜ぶ商品開発をしていきたいと思っています。水産業界全体に言えることとして、深刻な「子どもの魚食離れ」があります。家庭で魚をさばく機会が減っているだけなく、家の中で魚を焼くと臭いが残る、骨を取るのが手間などと感じる方が増えており、食卓から魚主体の献立が減っているようです。
すると、水産業界自体もますます小さくなっていくことがこの先見えているので、この「即売会」を通じて、子どもたちに、魚を食べる機会に触れてもらえることを願っています。それが、いま私たちがトクバイを使ってファミリー層のお客様をもっともっと増やしていきたい理由です。

株式会社SANKO海商
1979年創業。浜松市中央卸売市場において水産物仲卸の一角をになう。2021年より、株式会社SANKO MARKETING FOODSのグループに加わる。別名「まぐろの海商」。流通が極めて少ない南まぐろや鮮魚をメインに、目利きが仕入れ、ベテランが加工。自社船を含むSANKO船団が漁獲する魚や、豊洲の大卸・綜合食品の仕入力を最大活用した海鮮を使った商品開発を行う。