セブンが地域フェアを初めて一斉に開催、全国11エリアで地域に入り込み、課題と向き合い、商品開発にはストーリー
2024.10.15
セブン-イレブン・ジャパンは、2024年10月15日から28日までの14日間、北海道、東北、新潟北陸、関東、長野山梨、東海(岐阜、愛知、三重)、東海(静岡)、関西、中国四国、九州、沖縄の11エリアを対象にした地域フェアを一斉に開催する。
企業理念である「明日の笑顔を共に創る」を実現するために掲げた4つのビジョン、「健康」「地域」「環境」「人財」のうちの、「地域」に焦点を当てたもの。
約2万1000店舗を展開するセブン-イレブンでは、これまでも地域ごとの商品開発を進め、その地域で販売する取り組みを実施してきた。
今回は、新たに「みんなで食べて応援」をテーマに掲げ、特に地元産食材を使用した商品を開発し、地域の工場で製造、そのエリアのセブン-イレブン店舗で販売することで、地域の原材料の継続的な調達、生産者応援を図る取り組みを強化した上で、全国11地区で一斉に展開することが大きな特徴になっている。
「地方に目を向けると、少子高齢化、地域の格差がどんどん広がってきている。とりわけ農業を取り巻く環境に目を向けてみると、生産者の高齢化、良いものが作れる環境下にあっても、なかなか後継者がいないため、人手不足になっている場所も非常に多くなっている。原材料の持続的な供給に大きな課題があるし、何よりも持続可能な原材料調達は優先課題の1つとしてセブン-イレブンも捉えている。セブン-イレブンとしては地域課題と向き合いながら生きる社会の実現に向けて着々と進めている状況」(鷲野博昭・セブン-イレブン・ジャパン商品本部地区MD統括部総括マネジャー)

同社では創業50周年に当たる23年から地域フェアを全国で65回実施、アイテム数では延べ491に上る規模となるなど取り組みを拡大してきたが、県単位で特定の地域のみ実施していることが多かった。今回は県単位ではなく、全国を11のエリアに分け、エリア単位とした上で、同社で初めて全国を対象に一斉に展開することで、アピール度を高め、認知度のさらなる向上を狙う。
エリア単位としたのは、取り組みを「地産地消」から「地産多消」に拡大するためのステップでもあるという。
「優良原材料を少し広域のエリアで消費をいただく。県単位での地産地消の取り組みから、少しエリアを広げて地産多消に取り組みを拡大している」(鷲野総括マネジャー)。
商品によっては将来的には全国展開、あるいはグローバル展開といった拡大も考えられるだろう。
さらに今回、取り組みのストーリー、ヒストリーを重視。「各エリア、注目すべき取り組みのストーリーを掲げている。取り組んできたヒストリーを紹介していく形で展開している」(鷲野総括マネジャー)
その商品がどのような背景から作られたのかということ自体、その商品の特徴となり、さらに強みともなり得る要素となると考えられることから、注目したい要素である。
今回は合計100アイテムを用意。「うまいもの(ん)大集合」を1つの統一冠として各地域名を添えての展開。対象商品には「みんなで食べて応援」というシールを貼付する。
鷲野総括マネジャーは「地域に寄り添いながら、継続的に今後進めていく」と語るなど、取り組みがあくまで継続的ものであることを強調する。生産者としては、設備投資ができるのも安定的な販路があってこそ。「地域」のためにも、一過性の取り組みとはしないことが重要だ。
今回、全国での一斉展開に当たって、元プロ野球選手のイチロー氏を起用したWEB動画「地域篇」を10月15日に公開。セブン-イレブン・ジャパンのホームページ特設サイトおよびセブン‐イレブン・ジャパン公式YouTubeチャンネルで公開し、認知度の向上を図る。
特設サイトURL/https://www.sej.co.jp/activity/ichiro_4visions/
特に惣菜などでは、「飽き」との戦いのため、商品開発のたねが常に求められている。新規商品のヒントとして、地域で親しまれる商品に注目し、さらにそれを地産多消にまで拡大することを視野に入れ、かつストーリー、ヒストリーを重視する今回の取り組みは、商品開発という活動に対してインパクトのあるものといえる。
3社の寡占状態にあるコンビニで、直近では相対的に業績が厳しくなってしまっているセブン-イレブンが「地域」を深掘りすることで、どのように業績を変えていくか。商品開発における戦略のストーリー、ヒストリーとしても注目したい。
目次
各地域のフェア情報
※店舗によって価格が異なる、一部取り扱いがない商品や商品名、規格が異なる場合がある
【北海道】北海道うまいもの大集合

全国でも有数の収穫量を誇る和寒町産のカボチャについて、廃棄となる規格外のサイズのカボチャを使った取り組み。今回は、ナッツとクリームを組み合わせた「メープル香るナッツと和寒町産かぼちゃのサラダ」を発売する。
また、北海道のブランド作物として地理的表示(GI)保護制度に登録されている「ところピンクにんにく」を使用したおむすび、北海道産サツマ芋を使ったシュークリームやパン、豚丼の人気専門店「ぶたはげ」が監修した炭火焼き豚丼など北海道らしい商品を9品発売。
対象エリア/北海道
発売商品(一部抜粋)
メープル香るナッツと和寒町産かぼちゃのサラダ
価格/298円(税込み321.84円)
販売エリア/北海道

ごきげんパン(道産さつまいもホイップ入り)
価格/178円(税込み192.24円)
販売エリア/北海道

【東北】東北うまいもの大集合

2011年、東日本大震災で陸前高田市、気仙沼市のワカメを扱う地元水産企業の工場が被災し、「大きな損害を受けた三陸産ワカメを何とか救いたい」という思いから、「生冷わかめ」を使ったおにぎりを商品化。
他にも秋田県の郷土料理であるいぶりがっこを使用したカップデリ、福島県産トマトを使用したロコモコなど、合計10品を発売する。
対象エリア/青森県、秋田県、岩手県、山形県、宮城県、福島県
発売商品(一部抜粋)
東北限定三陸産わかめのおむすび
価格/100円(税込み108円)
販売エリア/青森県、秋田県、岩手県、山形県、宮城県、福島県

いぶりがっこの和風ポテトサラダ
価格/328円(税込み354.24円)
販売エリア/青森県、秋田県、岩手県、山形県、宮城県、福島県

【新潟北陸】新潟北陸うまいもの大集合

食生活の多様化などから減少傾向の国内の米の消費量を受け、米の生産量が多い新潟県や北陸地方では、新たな米の消費策として「米粉」の需要拡大に向けた取り組みに力を入れている。
セブン-イレブンでも「地域の課題解決に貢献していきたい」という思いから、地域の「米粉」を使ったしっとり食感の「フィナンシェ」や能登半島で古くから親しまれている魚醤「いしる」で仕立てたおにぎりなど、地域の原材料を使った商品に加え、ご当地メニュー「ボルガライス」など合計9品を発売する。
対象エリア/新潟県、富山県、石川県、福井県
発売商品(一部抜粋)
まるいフィナンシェサンドチーズクリーム
価格/198円(税込み213.84円)
販売エリア/新潟、北陸

いしる焼き鯖の混ぜ飯おむすび
価格/150円(税込み162円)
販売エリア/新潟、北陸

【首都圏・北関東】関東うまいもの大集合

群馬県は「こんにゃくいも」の収穫量が全国1位で、国内生産量の9割以上のシェアを占める。最近は、「こんにゃくいも」の価格下落や資材高騰、国内での消費が課題になっている他、海外輸出が好調である一方で円安の影響があることもあって、国内での需要の高まりが望まれている状況にある。
その群馬県産コンニャクを使ったカップデリや、埼玉県産小麦使用肉汁うどんなど、関東1都6県のご当地メニューや地元食材を使った商品を発売。関東1都6県、約8000店舗での同時開催は初の試みとなる。
対象エリア/関東1都6県
発売商品(一部抜粋)
味しみ玉こんにゃく群馬県産こんにゃく使用
価格/258円(税込み278.64円)
販売エリア/関東

埼玉県産小麦使用肉汁うどん
価格/598円(税込み645.84円)
販売エリア/関東

【長野山梨】長野山梨うまいもの大集合

かつて長野県はブルーベリー収穫量が全国1位だったが、2020年以降生産者の高齢化と深刻な担い手不足により、収穫量が減少。日照りの良さや寒暖差によって大きく、甘く、育つという「大鹿村産ブルーベリー」を広く知ってもらうため、ブルーベリーを使用したオムレットを開発。
また、山梨県の郷土料理「ほうとう」とラーメンを掛け合わせた山梨県笛吹市新名物の「ラーほー」など惣菜からスイーツまで幅広くラインアップ。
対象エリア/長野県、山梨県
発売商品(一部抜粋)
信州産ブルーベリーのクリームオムレット
※信州産ブルーベリーのジャムをホイップクリームとソースに使用
価格/330円(税込み356.40円)
販売エリア/長野山梨

笛吹新名物ラーほー本格鶏がら醤油
価格/498円(税込み537.84円)
販売エリア/長野山梨

【東海】東海うまいもの大集合
愛知県が産出額全国1位の「うずら卵」だが、現在「うずら卵」は、学校給食での使用が減り、さらに燃料費が高騰するなど生産者にとって厳しい状況が続いている。愛知県産の「うずら卵」の消費を増やしていくため、今回カップデリの「おつまみうずら煮玉子」を商品化。
また、愛知県で生まれ育ったブランド小麦「きぬあかり」を麺に使用したカレーうどんや愛知県で親しまれている「おいしい愛知牛乳」を使用したホイップみるくプリンなど東海地の食材を使った商品を発売する。
さらに静岡エリアでは、焼津産カツオを使用したかき揚げそばや静岡県産紅ほっぺを使用したちぎりパンなど、静岡県限定の商品を展開。
対象エリア/愛知県、岐阜県、三重県、静岡県
発売商品(一部抜粋)
東海(岐阜、愛知、三重)

おつまみうずら煮玉子愛知県産うずらたまご使用
価格/298円(税込み321.84円)
販売エリア/愛知県、岐阜県、三重県

おいしい愛知牛乳使用ホイップみるくプリン
価格/290円(税込み313.20円)
販売エリア/愛知県、岐阜県、三重県

東海(静岡)

クラウンメロンほいっぷのスイーツメロンパン
価格/228円(税込み246.24円)
販売エリア/静岡県

静岡限定かき揚げそば
価格/460円(税込み496.80円)
販売エリア/静岡県

【関西】関西うまいもん大集合

「お米が美味しい日本で、美味しいもち麦をつくろう」という思いから2017年、兵庫県加東市で国産もち麦の栽培は始まった。もち麦に関するイベントや学校給食などを通して、もち麦の地産地消を進め、地域の活性化や健康増進への取り組みを行っている。
もち麦の地産地消を進めることが人の健康を支えるだけでなく、地域農業を支え、地域の元気につながると考え、今回兵庫県産もち麦を使用した「もち麦もっちり!鮭ときのこのおむすび(兵庫県産もち麦使用)」を開発。
また、比叡ゆばを使用した和風あんかけ豆腐丼や有田みかんを使用したコッペなど、近畿2府4県の地域食材を用いたメニューや地域でなじみのあるメニューを商品化した。
対象エリア/近畿2府4県
発売商品(一部抜粋)
もち麦もっちり!鮭ときのこのおむすび(兵庫県産もち麦使用)
価格/118円(税込み127.44円)
販売エリア/近畿2府4県

しましまドルチェ宇治抹茶のパンナコッタ
価格/270円(税込み291.60円)
販売エリア/近畿2府4県

【中国四国】中国四国うまいもの大集合

愛媛県の「愛南の真鯛」では、愛南漁協、愛媛大学、愛南町が地域で一体となり、持続可能な養殖に取り組んでいる。セブン-イレブンとして、これからの時代に沿った持続可能な養殖業をもっと広く知ってほしいという思いから「愛南の真鯛」を使ったおにぎりを商品化。
また、香川県のソウルフード「かしわ丼」とカレーを組み合わせた商品や島根県出雲産のシイタケを使用したカップデリなど瀬戸内地域を代表するご当地メニューや地域食材を使った商品を発売。
対象エリア/中国、四国
発売商品(一部抜粋)
愛媛県産真鯛の鯛菜めしおむすび
価格/180円(税込み194.40円)
販売エリア/中国、四国

広島お好み焼き肉玉そば
価格/598円(税込み645.84円)
販売エリア/中国、四国、関西、九州

【九州】九州うまいもん大集合

長崎県は日本有数の漁獲高を誇る漁業地域で、中でも「アジ」は漁獲量全国1位。しかし、昨今の環境の変化により漁獲量は減少し、魚の消費量も徐々に減ってきていることに加え、水産業全体での人手不足も課題となっている。
「アジを使った商品づくりを通して、魚の良さやおいしさを広く伝え、漁業を取り巻く問題の対策につなげていきたい」という思いから、長崎県産のアジを使用したアジフライおむすびを開発。
また、宮崎名物のチキン南蛮丼、大分名物のだんご汁など九州7県にちなんだご当地メニューをそろえた。
対象エリア/九州7県
発売商品(一部抜粋)
長崎県水揚げアジ使用アジフライおむすび
価格/180円(税込み194.40円)
販売エリア/九州7県

大分名物だんご汁(味噌味)
価格/480円(税込み518.40円)
販売エリア/九州7県

【沖縄】沖縄の食大集合

年々生産農家が減り、生産量も減少している「サトウキビを盛り上げたい」という思いの下、沖縄県黒砂糖共同組合と連携し、取り組みを進めてきた。沖縄を代表する特産品を守るために、黒糖の積極活用を通してサトウキビ農家を応援したいという思いから、沖縄県産の黒糖を使用した「ベイクドチーズケーキ」「メロンパン」の販売を開始。
また、沖縄県産豚を使用した「炭火焼豚丼」「炭火焼豚ロースのおむすび」、沖縄のソウルフード「沖縄そば」、沖縄県産紅イモを使用したモンブランケーキなど、沖縄が感じられる商品ラインアップ。
対象エリア/沖縄県
発売商品(一部抜粋)
黒糖ベイクドチーズケーキくるみ入り
価格/248円(税込み267.84円)
販売エリア/沖縄

炭火焼き豚丼沖縄県産ロース使用
価格/640円(税込み691.20円)
販売エリア/沖縄
