インタビュー
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2024.08.30
ザ・トップマネジメント Wolt Japan ナタリア・ヒザニシヴィリ ゼネラルマネジャー
競合を意識するより、ユーザー、パートナーにとってのベストを追求、「ラストマイル」はウォルトが担う ――Wolt(ウォルト)の概要、グローバルと日本の状況について。 ヒザニシヴィリ ウォルトは、フィンランドのヘルシンキのスタートアップとして2014年に創業した。今年で10年目となる。日本での事業展開は20年、ちょうどコロナパンデミックの時期であったわけだが、日本市場においてオペレーションを始め4年目になる。 14年の創業以来、さまざまな国、さまざまな市場に拡張しようとしているところで、「ウォルト」ブランドとしては、いまは27カ国で展開している。ちなみに米国のドアダッシュを親会社として持つため、同…
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2024.08.09
ザ・トップマネジメント マルエツ 本間正治社長
ポリシーは「従業員のために」。従業員が生き生き、笑顔になることが、マルエツが「変わる」につながる ――社長就任から約1年半。現状の成果は。 本間 成果は2つある。まずは数字面。2023年度は、スーパーマーケット(SM)はフォローだった。増収増益、なおかつ(既存店前年比)客数が102%強(102.9%)という意味では、初年度としては現場の力を借りながら、1つの手応えは現場の方でも感じてくださったかなと思う。 ただ、片方では今期の足元というと、それは、長続きはしないと思っている。本当の意味で「変わる」ということの数字の成果は、まだちょっと時間がかかるのかなと思う。 少なくともMD(マーチャンダイジ…
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2024.06.12
ザ・トップマネジメント ヨークベニマル 大髙耕一路社長
ベニマルが「戻ってくる場所」であり続けるために組織を再設計、イトーヨーカ堂再生にも、デリカの製販一体モデルの移植で貢献する ――3月から社長に就任した。 大髙 この2月に社長になることが決まったときに、(従業員の)皆さんにお伝えしたのは、「まず、いの一番でやはり商品を大事にしましょう」ということ。 特に「鮮度」の部分。いま鮮魚であれば丸魚の売場を一気に拡大している。とにかく午前中は、やはり鮮度感の高い、お子さまたちが来たときに、「魚の名前を覚えたよ」と言ってもらえるような売場をつくりたいという名誉会長(大髙善興氏)の思いがそこに出ている。 精肉もL字の冷ケースを使って、やはり写真を見ただけで、…
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2024.05.23
ザ・トップマネジメント 西友 大久保恒夫社長
本州500km圏内集約の一方でM&A積極化で規模拡大図る、目指すのは店とネットを合わせた、「お客さまの満足」という価値を創造する店 ――北海道と九州の店舗事業を譲渡する。背景は。 大久保 まず、西友は「総合量販店」ではもうなくて、食品スーパーになっている点がある。売上高構成比では、アパレルやGM(ゼネラルマーチャンダイズ)は5%以下になっている。完全に食品スーパーになっている。 日本は地域の食文化が非常に発達しているため、その地域、地域のお客さまの食文化、ニーズに対応することが重要だろうと思っている。これが一番大きい。 加えて、食品は単価が200円ぐらいで粗利益率も低い。物流コスト負担…
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2024.04.01
ザ・トップマネジメント カスミ 塚田英明社長
3月から約1500品目値下げで客数、客単価、売上げが回復基調、今期はブランデ3号店の出店も計画 ――旗艦店フォーマットのBLΛNDE(ブランデ)では有料会員プログラムの「ブランデプライム」の導入を開始したが、いまはブランデではない店でも会員を募っている。その意図は。 塚田 カスミの場合、セルフレジの利用率は全社で69%ある。うちスキャン&ゴー(のスマホPOS)で買物されている方は全社で約6.5%。一方、(有料会員プログラムを導入している)ブランデでは最初からセルフレジしかないため100%セルフレジで、スキャン&ゴーで買物されている方が約38%いらっしゃる。 新店でこの会員を募っ…
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2024.03.22
ザ・トップマネジメント オーケー 二宮涼太郎社長
客数が多い銀座店も既存店のようにじわじわ客単価上昇中、11月の大阪出店に向けて関西のし好も勉強中 ――今回、日本橋に出店した経緯は。 二宮 かなり前から出店計画があったもので、時間がかかったがようやく日本橋の店が開店したという感じだ。敷地も限られているため、2フロアでこの規模だが、周辺の競合と比べれば、売場面積が取れたこともあって出店を決めた。 ――店づくりの特徴は。昨今は都市部にも小型店を出店しているが。 二宮 売場も限られるので、拡縮もあまり極端にはできない部分もある。コンパクトにまとめたという感じだ。2フロアではないが、昨年(5月)にオープンした札の辻店(東京・港)と大体、規模としては似…
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2024.02.19
ザ・トップマネジメント サミット 服部哲也社長
実績積み重ねてきた生鮮総菜が強みに、ネットスーパーは店の1つの「部門」、実店舗のプラスの要素と捉える ――中期経営計画の「頂2025」のアクションプランにはMD(マーチャンダイジング)強化、コストコントロール、プロセスセンター&物流改革、DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組み推進などの項目があった。うまくいったところ、逆に課題について。 服部 まだまだ全然、方針どおりの状態になっていないのが、MDの強化。そんなに簡単に結果が出るものでもないと思っているので、改装店などでチャレンジしたり、コンサルタントにも入っていただいたりしながらやっている。 特に加工食品などは、まず「整理…
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2024.01.05
ザ・トップマネジメント ヤオコー 川野澄人社長
「1品単価が既存店売上げを押し上げ、高い伸びが実現、落ち着いてくる今後は会社の力が試される」 ――2023年の振り返りと24年の方針について。24年からは新中期経営計画が始まるが、その大方針を含めて。 川野 お陰さまでこの(2023年)11月までの数値では売上げ、利益共に非常に当初想定を上回るような状況で来ている。予想外に1品単価の上昇が業績を引っ張ったなという1年になったと思っている。 来期(24年度)以降、第11次の中期経営計画がスタートするわけだが、対外的な発表を5月以降に行う予定で、まだまとまっていないところもあるが、大きな方向性等についてお話をさせていただきたい。 今期(23年度)で…
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2023.08.21
ザ・トップマネジメント 「新」スーパーマーケット論 カスミ 山本慎一郎社長
アプリの後にあえてプラスチックカードを導入、デジタルの買物の入口に ――カスミは茨城県地盤で、どちらかというと地方での展開が中心だ。首都圏の人口密集地とは違う難しさがある。 山本 人口動態の問題がある。われわれのところでも、(自社で手掛ける)移動スーパーがどんどん増えていて、いま60台ぐらい展開している。増えていくのは買物アクセス困難者の数が増えているということだろうし、やはり高齢者が増えて、胃袋が小さくなる、あるいは施設に入り家庭内での喫食の機会がどんどん減っていく。 短期ではなくて、中長期的な課題に対して、どうやって対応していくかということが、まずある。1つは高齢者が増えるなど、世代がシフ…
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2023.04.24
ザ・トップマネジメント リクルートMUFGビジネス 夏目英治社長
決済手段乱立の日本のキャッシュレスの中で「生活口座」を構築し、お金のやり取りのハブ目指す リクルートと三菱UFJ銀行が共同出資する子会社のリクルートMUFGビジネスは決済ブランドの「COIN+(コインプラス)」と、そのコインプラスを組み込むデジタル口座管理、決済アプリの「エアウォレット」を手掛けている。同社の夏目英治社長に同事業が目指す姿と小売業界のキャッシュレスを含む決済手段の状況と今後について聞いた。 ――コインプラス、エアウォレットはどのようなサービスか。 夏目 「コインプラス」は決済ブランドだが、もともとは決済をやりたいと思って事業を始めたわけではない。 私自身はリクルートからの出向に…
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2022.12.16
ザ・トップマネジメント「ベイシア 相木孝仁社長」:新リーダーが描く次のステージ
出店再開で再度成長に舵、商品力も強化し、ベイシアを「尖った」存在に ——もともとアドバイザーのような形でベイシアにかかわっていた。 相木 2021年7月から12月まで経営会議に出たり、個別にミーティングをしたりといった形でお手伝いのようなことをしていた。 ——22年1月から副社長に、7月には社長に就任した。よりかかわりを深くという形か。 相木 そうだ。私もすごくおもしろいと思ったし、ベイシアの方々も興味を持ってくれた。 ——期待される役割をどう考える。 相木 例えば、グループ企業のカインズもワークマンも「尖っている」といえる。ベイシアは着実に、堅実に歩みを重ねてきているが、すごく「尖っている」…
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2022.09.07
ザ・トップマネジメント「ベルク 原島一誠社長」:商勢圏拡大時の戦略
出店エリアが広がることで地域対応の必要性痛感、海に面した神奈川では魚を強化、惣菜の味付けも南北で変えている ——今回、フォルテ横浜川和町店の出店に際して。 原島 ベルクの社名の由来は、「Better Life with Community」の頭文字を取ってBELCとなっている。改めて地域社会と共に発展していく、より良くしていくという使命を帯びて出店した。「with」には「共に」という意味が込められている。川和町の皆さまと共により良い生活、発展をしていきたいと思っている。 「新鮮な食品」は当然のこととして、やはり「Better」というものを1つのキーワードとしている。品質をより良く、より新鮮に、…
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2022.01.10
ザ・トップマネジメント 令和4年新春特別編 ヨークベニマル 大髙善興会長
「コロナ特需が終息する中、生き残りを懸けた競争時代に、開発中の都市型300坪型を磨き込み、ドミナンス強化で生き残る」 ——2021年を振り返ると。 大髙 20年の2月からコロナ特需でマーケットが大きく変化した。その中で、スーパーマーケット(SM)は非常に恵まれた業態だった。 ただ、21年10月から緊急事態宣言が解除され、10月はそうでもなかったが、11月は(20年春の特需の影響が大きかった21年4~6月を除いて)久しぶりに(既存店売上高が)前年比割れになった。11月に入ってからかなり外食、あるいは大型店など(にお客が戻ることで)いろんな意味でSMのコロナ特需が終息を打った。 11月は19年対比…
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2022.01.07
ザ・トップマネジメント 令和4年新春特別編 ヨーク 大竹正人社長
「サテライトキッチン活用都心型モデルに手応え、22年度は個店別にもう一度マーケット調査をして品揃えを見直す」 ——2021年度を振り返ると、どのような年度だったか。 大竹 一番の変わり目は9月から10月のところ。潮目が変わったような気がする。 お客さまの消費行動も、やはりどちらかというと節約志向に入ってきたのかなという感じがしている。買われ方もいままでは、まとめ買いが多かったが、必要なものを必要なだけに変わってきた。 一方で、やはり二極化の傾向はある。(セブン&アイグループのプライベートブランドの)セブンプレミアムはいま苦戦しているが、(高クオリティラインの)ゴールドは2桁以上伸びてい…
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2022.01.06
ザ・トップマネジメント 令和4年新春特別編 ヤオコー 川野澄人社長
「原材料高、コスト高、マーケット縮小の厳しい環境下、ゼロサムゲーム抜け出して新しい価値提供目指す」 ——2021年度はどのような年だったか。 川野 一番は、新型コロナウイルスの影響が強く出たというのが、前期に続いて今期であったと。7月、8月、9月と、夏場に感染拡大があり、それに伴う巣ごもり需要が大きかったと思う。 ただ、巣ごもり需要に加えて、前期から取り組んでいる価格政策については、一定の効果が出てきたと思っている。客数を増やすことに効果を発揮してきた。なかなか数字上、分析しにくいが、手応えは感じている。 20年と大きく違うところは、デリカの3部門(惣菜、寿司、ベーカリー)が大きく伸びたこと。…